vol.1株式会社留守農場



プロの農家を次々と輩出!!株式会社留守農場の人材育成の秘訣とは!?



- 株式会社留守農場
- 事業概要
畑作、露地野菜、施設野菜、果樹 - 所在地
千葉県八街市 - 従業員数
9名
- 6次産業の現場で栽培から販売まで学べる!
- 環境にやさしい低農薬栽培、酵素農法を実践!
- 自立した経営のできる「骨太な力強い農業者」を育成中!
農業ジョブの運営スタッフが業務を体験し、現場をレポートする「農業密着24時!」。今回は千葉県八街(やちまた)市の「株式会社留守農場(以下、留守農場)」からお送りします。 環境に優しい『リサイクル型』の農業を実践するだけでなく、「骨太な力強い農業者」の育成にも注力している留守農場。 新入社員の鈴木が、その裏側に迫ります!
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留守農場 代表
留守 剛 さん
留守農場をまとめあげる「親方」。大学卒業後にサラリーマン、弁当屋の経営を経て、家業である農業を継ぐ。
現在は低農薬栽培、酵素農法による多品目栽培を行いながら、直売や6次産業化などにも積極的に取り組んでいる。
また、人材育成にも注力しており、多くの研修生が留守農場で農業を学んでいる。
農業に熱く、面倒見の良い気さくな人柄で、スタッフからの信頼も厚い。
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農業ジョブ 運営スタッフ
鈴木 鵬也
2014年3月東京農業大学卒業。
新卒で株式会社LifeLabに入社。
「農業の現場を見ないとはじまらない!」と、レポーターに立候補。
体力はあると豪語しているが、その自信の程やいかに。
2014年5月某日、取材班は早朝都内を出発し、電車を乗り継いで千葉県八街市を目指します。
待ち合わせ場所の大網駅で、迎えに来てくださった留守さんと合流し、 まずは留守農場の野菜が並ぶスーパーマーケットを案内してもらうことになりました。
皆さんのお邪魔にならないよう、頑張りますので、本日はよろしくお願いいたします。










































ちょっと農場に行く前に、ウチの野菜が並んでいるスーパーに寄って行きませんか?
実は開店前なんだけど、僕がいるから大丈夫ですよ(笑)



スタッフから「親方」として慕われている留守農場代表の留守さん。



開店前のスーパーに潜入する一同。



留守農場の特設コーナー。独立間近の研修生が考案した加工品や野菜も並んでいます。










































ここのスーパーは農場から近いというのもあって、週4回くらいは訪問するようにしていますね。
常設コーナーなので、売り場づくりも責任を持って取り組んでいます。
このスーパーには、留守農場の特設コーナーが常設されていました。
コーナーには、茎付きの大きなにんにく、根しょうが、珍しい形の赤かぶ、 紫のかぶ、大根など、おなじみの野菜から、珍しい色、形をした野菜、さらには加工品まで、様々な商品がきれいに包装されて陳列されていました。
千葉県では他にも60店舗ほどで留守農場の野菜を販売しているそうです。 留守農場では、スタッフには大きな裁量と挑戦の機会を与えており、経験を積んだスタッフは留守農場で育てている野菜の他にも、 自分が挑戦したい野菜や興味のある野菜を育てることができるとのこと。
中にはハバネロやジョロキアといった、珍しい種類の唐辛子を育てているスタッフもいるそうです。 また、生産だけでなく、このスーパーのように自分の作った野菜を売るコーナーを持たせてもらったりと、販売の部分にまで携わることも可能です。
スーパーを後にした一同は車に戻り、留守農場へ向かいます。



留守農場に到着!作業着に着替えます。



留守さんの娘さん、ちひろちゃんも鈴木を応援!



車で今日の仕事場へ!










































もう一つは、酵母入りのペレット肥料を購入して、畑にまきます。酵素を水に溶かし、葉面散布といって植物に直接かけることもあります。
品目は私自身で30品目くらい。研修生も多いから合わせると60品目くらいかな。皆変わったものばっかりやってますよ!
車で少し走るとほ場に到着、本日最初の作業はトウモロコシ畑の「除草」です。
留守農場では低農薬栽培を行っており、除草も人の手で行っています。トウモロコシ畑の除草は、 「マルチ」というプラスチック製のシートとシートの間に生えている雑草を、棒の先端に刃がついた除草用の器具でそぎ取っていく作業です。
単純な作業ですが、身体に負荷をかけないような姿勢の工夫や、同じ作業を続ける根気が必要です。



まずは留守さんのお手本から。



マルチとマルチの間を除草します。



持ち方がまだぎこちない鈴木。
除草作業は効率重視でたんたんとやっていくという感じですか?










































同じ除草でも難しいのもあって、例えばニンジン畑の除草とか、草が見つけられなくて、ニンジンを抜いちゃったり雑草が残っちゃったりする。目が追えなくて、草が残っちゃう。これは経験が必要ですね。
低農薬栽培を実践するからこそ必要となる、丁寧な仕事。周りのスタッフさんが効率よく作業するなか、ぎこちない動きの鈴木は徐々に遅れをとることに。。
任された区画の半分にも至らないうちに、腰が痛いと訴え始めましたが、業務体験は始まったばかり。休む間もなく、トウモロコシの間引き作業に移ります。
せっかく育っている苗をなぜ間引く必要があるのか、その作業の意味についても聞いてみました。



間引きでは二本の苗のうち生育の良い方を残し、もう一方を抜いていきます。



これはわかりやすい例。抜くのは右です。除草と違って判断も必要な作業です。



腰をかがめる作業がつらくなってきた鈴木が早くも弱音を吐き始める。
間引きをしていて気になったのですが、そもそも何のために2本植えるのでしょうか?










































育ち方も微妙に異なるので、全体の大きさを揃えたり、あとは強い方の芽を残す、という意味もありますね。
午前の作業はトウモロコシ畑の除草と間引きで終了。
既に鈴木は疲労困憊のようですが、お昼休憩を挟んで午後の作業に移ります。
午後の最初の作業はサツマイモの定植(=苗を植えること)の作業から。
定植のコツは、「成長点」と呼ばれる芽の部分を地上に出し、残りを一定の深さで植えること。
まずは午前の作業でも登場したマルチに一定間隔に穴を空け、そこに手作業で苗を植えていきます。



定植はベテラン研修生の小川さんに教えていただきます。小川さんは農業ジョブ経由で 留守農場を知り研修を申し込んだそうです。



マルチにローラー型の器具で定間隔に穴をあけ、定植ポイントをマークします。



穴に苗を差し込み、土をかぶせます。この際、「成長点」という芽のような部分が隠れないようにするのがポイントです。

























小川さんに成長点を教えてもらう鈴木



コツをつかみ作業開始。



サクサクと進んでいく研修生の皆さん。鈴木はまだ慣れないので丁寧に作業。




























農業は最初は地元の新潟でやろうと思って農家さんに押し掛けて行って、何軒か断られながらも、教えてくれるとこ見つけて、そこでサラリーマンやりながら休みの日に教えてもらってたんですけど。
その人に、新規就農するんだったら新潟よりも雪の降らない関東のほうがいいよっていわれて。なら、なんのしがらみもないし、新潟の師匠さんの言うとおりにしようって。




























ここでサツマイモの定植は一旦終了。次の作業、ニンニクの収穫に向かいます。
でも植えるからには美味しいサツマイモに育ってほしいので、もっと頑張ります!










































スピードも大事ですが、やはり農作業は丁寧さがモノを言う部分もありますね。
ニンニクの畑に到着。
土の中に埋まっているニンニクが、どのようにしてスーパーに並ぶ「商品」になるのか、今回はその作業工程を追ってみました。



ニンニク畑に到着。まずは芽摘みからスタート。



芽の部分を手で引き抜いていく。プチっプチっと気持ちよくきれいに切れる。



みずみずしい切り口。ニンニクの良い香りもする。
まずは「ニンニクの芽摘み」から。地上に出ている芽は放置しておくと、ニンニクの種が生まれ、どんどん栄養を吸収してしまうそうです。
それを防ぐために芽を摘むわけですが、実は芽も大事な商品に。摘んだ芽はコンテナにまとめて出荷するそうです。



集まったニンニクの芽を自慢する鈴木



引き抜くと土の中から見慣れたニンニクの姿。一般的な品種なのに、サイズがとても大きい。



ニンニクの芽だけでも、この量です!
ニンニクの本体の方は作業場に持って帰り、一つひとつ丁寧に根を切り落とします。
根を切り落として皮をむいた真っ白なニンニクは、スーパーに並んでいる、おなじみの形をしていますね。



ニンニクの根を丁寧に切り落とします。



留守農場の紅一点で主力メンバーの内藤さん。内藤さんも農業ジョブ経由で留守農場に応募されたそうです。



皮を剥ぐときれいなニンニクに!今日の作業はこれにて終了です。










































着替えてお風呂に入って、晩御飯にしましょう。
午前・午後と業務を体験し、くたくたの鈴木。晩御飯は留守農場の野菜を使った料理をいただき、2日目への活力にします。



留守農場で採れた野菜をふんだんに使った奥さんの手料理が食卓に並びます。



め、めちゃくちゃおいしい!



小川さんも参加。笑顔がこぼれます。










































もともと農業をやっていた親も店先で野菜の直売をはじめたんですが、その後、40歳手前で私も農業をはじめました。10年くらい前ですね。










































あと、30歳過ぎたりして農業やりに来る人の方が我慢はできたりしますね。
小川さんなんかはいろいろ社会で辛酸なめてきてるらしいし、これしかない!という感覚でうちに来てる人は本気だね。本気なら素直に吸収していける。
下手でも不器用でも一生懸命、本気ならやっていけると思う。うちは仕事をしっかり教えるから、そういう人はすぐに仕事を覚えられるね。










































草取りにしても、一斉にスタートして、うまい人に比べて下手な人は半分もできないんですよ。あと、なまぬるいところじゃだめだしね。










































それで年間5件ほどなんですけど、買ってくれたお客さんから電話をもらうことがあって。
やっぱり直接「おいしい」と言ってもらえる瞬間はやりがいというか、農業をやっててよかったな、と思います。
自分の育て方が間違っていなかったんだな、と実感できる瞬間ですね。
留守農場の作物として出荷する以上「より美味しいものを作ろう」「そのために土づくりも頑張ろう」と思うようになります。
それに、せっかく作るなら「自分が食べてみたい」「子供にも食べさせられる」野菜を作りたいですしね。
さっき農場の仕事が終わった後、内藤さん、残って自分の畑で作業をされていました。










































独立間近のスタッフは60アールほどの畑を任せていますね。まだ早いかな、という人は5アールくらい。
技術力に合わせて、少しずつ広げていくようなイメージです。ちなみに内藤さんは朝も、農場の仕事の前に自分の畑で作業してますよ。
給料、休みがどうとかじゃなくて、本気の人はハングリー。給料上げても、やらない人は一生懸命やらないよね。


























毎日、朝から晩まで必死にやるから、無駄遣いしないじゃん。必要なものは買っているけど、しっかり貯めているから、マイナスにはならない。人生うまいこといっているよ。


























農業の話や人材育成の話、鈴木の恋愛相談など、美味しい料理を頂きながらのインタビューは夜遅くまで続きました。
この日はスタッフの皆さんが暮らす寮にお世話になり、業務体験は2日目を迎えます。



2日目は5時起き。鈴木は朝が弱いです。



朝ご飯をいただき、2日目作業スタート。昨日の反省を活かして、定植に再挑戦!



素早く丁寧にを意識し、定植を行います。昨日よりはスムーズに進んでいます。






















昨日の疲れが見えるものの、コツを掴んだのかだいぶ動きが変わってきた鈴木。
任された区画の定植をしっかりと行い、次の作業、ソラマメの収穫に移ります。
ソラマメの収穫は1日目に行ったニンニクの芽の収穫と違い、順番に全部取ればいいというものではなく、 収穫に適した成長度のものだけを選別し、さらに、房がやぶれたり茎が折れたりしないように注意しながらの作業が求められます。
これまでの作業に比べると難易度は上がります。はたして鈴木はうまくできるのでしょうか。



スタッフの田中さんからのご指導。田中さんも農業ジョブ経由で留守農場のメンバーになったそうです。



葉をかき分けると、出てきました。ふっくら育った大きなソラマメ。



しっかりと見極め、収穫に適したものだけをもぎ取り、かごに入れていきます。










































それから、力任せに引っ張ると、皮の部分がやぶけてしまうこともあるので注意してくださいね。大事な商品なので。



休憩のおやつタイム。お菓子とジュースでほっと一息つきます。



立派なソラマメ、豆も大きくておいしそうです!



数時間の作業の成果、こんなに収穫できました!
旬を迎えたソラマメの収穫も、慣れないながら無事終えることができました。
そして昼食後の2日目午後、農業体験最後の仕事は、留守農場の土づくりを支える堆肥づくりの作業を体験させていただけることに。
なんと年に2回しかない貴重な作業ということです。留守農場の農法のキーとなる堆肥づくりに迫ります!



これが半年前に仕込み、発酵が進んだ堆肥。今からこれを半年後に向け仕込みます。



まずは大量の米ぬかを用意。



ダンプカーの荷台に敷き詰めていきます。



次はその上に油粕を敷いていきます。



次は魚粉



そしてカニ殻。チクチクしていて踏むと痛い。



仕上げに既に出来上がっている酵素堆肥を撒きます。これがタネになり発酵します。



層になった堆肥の素を、少しずつ崩しながら水を振りかけることで発酵を起こします。



この工程を3回行い、必要分の堆肥づくりが完了。半年後には発酵堆肥となります。










































なかなか大変な作業ですが、ここで手を抜いてしまっては美味しい野菜は作れません。
留守農場を卒業していくスタッフも、土づくりの大切さだけは忘れてほしくないですね。
堆肥づくりが完了したところで、今回の体験は終了。
寂しいですが、お別れのときがやってきました。
お世話になった皆さんにご挨拶をして、業務体験は終了です。
2日間の農作業で疲れが見える鈴木でしたが、美味しい野菜を作るプロセスや、皆さんが農業に取り組む姿勢を間近で体験することができ、清々しい表情です。



内藤さんがお土産に自分の畑の野菜を持ってきてくれました。



特設コーナーにおいてあったカブだ!ありがとうございます!



ワンちゃんにもお別れの挨拶
未経験の僕にも丁寧にご指導いただき、2日間と短い時間でしたが、本当にお世話になりました。










































2日間だと農業の魅力を全てお伝えすることは難しいのですが、少しでも野菜づくりの楽しさ、厳しさを感じてくれたなら何よりです。
これから日本の農業を盛り上げるのは若い世代だと思いますので、頑張ってくださいね。
それから、筋肉痛にならないように、今日はしっかり体をほぐしてくださいね。



留守農場の皆さん、2日間、本当にありがとうございました!