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vol.3井出トマト農園

トマト一筋80年!!お客様目線の経営で驚異の成長を続ける都市型農業の現場に潜入!!

  • 井出トマト農園
  • 事業概要
    施設野菜
  • 所在地
    神奈川県藤沢市
  • 従業員数
    30名
  • 農林水産大臣賞(2013年)など、受賞歴多数!
  • 先進技術の導入や加工品販売も積極的に行う、成長企業です!
  • TV出演、CM出演実績も多数!メディアからの注目度も高い農園!

農業ジョブの運営スタッフが業務を体験し、現場をレポートする「農業密着24時!」。
今回は東京から車で1時間弱、神奈川県藤沢市にある株式会社井出トマト農園さんに密着します。
2014年1月に法人化し、テレビなどのメディアでも数多く取り上げられている井出トマト農園さん。驚異の成長を続ける秘訣に迫ります!!

今回お世話になる方
株式会社井出トマト農園
井出 寿利 さん

先代から事業を継承後、時代に即した新戦略を次々と実践。わずか8年間で年商1億円を突破させ、更なる事業拡大を目指して自慢のトマトに日々愛情を注ぐ。
2013年7月には「第62回全国農業コンクール」にて「名誉賞」「農林水産大臣賞」を受賞。最新技術の導入や海外視察も積極的に行っており、業界内でも注目を集めている若手農業経営者。

レポーター
農業ジョブ 運営スタッフ
渡邉

農業高校卒業後に上京し、東京農業大学に入学した農業女子。株式会社Life Labに入社後は農業ジョブの運営業務に携わる。学生時代は農業実習の授業が大好きで、今回の密着取材のレポーターに立候補。

趣味は美味しいご飯を食べ、美味しいお酒を飲むこと。

1日目

残暑も厳しい2014年9月某日、取材班は早朝から神奈川県藤沢市へ。
井出トマト農園さんに到着してまず目に着いたのは何棟も立ち並ぶ立派なハウス。
その向い側には直売所兼事務所があり、さっそくご挨拶へ。

おはようございます。ライフラボの渡邉です。今日は一日お世話になります。
それにしても皆さん朝早いのですね。普段だったら私はまだ寝ている時間です・・・。
井出トマト農園の井出です。今日はよろしくお願いします。
この仕事をする上で早起きは基本中の基本ですからね。僕は毎朝6時に起きて、7時にはひと仕事終えていますよ。
渡邉さんはまだまだ眠そうですね・・・。よかったら眠気覚ましに、うちの農園のトマトで作った自慢のトマトジュースを飲んでみませんか?すごく美味しくて、元気が出てきますよ。

代表の井出寿利さん。生産から販売までマネジメントを行う敏腕経営者です。

これが井出トマト農園のトマトジュース。鮮やかな赤色が食欲をそそります。

さっそくいただきます。

・・・!!
すごくおいしいです!こんなトマトジュース初めて飲みました!
ありきたりな表現かもしれませんが「ジュースなのにトマトを食べているような感じ」がしますね!
衝撃です、、美味しくて目も覚めました!
うちのトマトジュースは余計なものを入れていませんから、トマト本来の味がするんです。強いて言うなら塩が少しだけ入っているだけですかね。「キズのついたトマトや、見ための悪いトマト」を加工品に使うところもあると思うのですが、 うちは商品として出せるトマトを加工しています。そうでないとこのキレイなトマトの色みも出せませんからね。

農園では試験栽培を行っている品種も含めると13品種のトマトを栽培しているのですが、味の違いを楽しんでもらえるように品種ごとにトマトジュースやトマトケチャップを作っているんです。リピーターの方も結構多いんですよ。
他にはトマトジャムやカレールーなども作っています。これはオススメレシピなんですが、牛乳にトマトジャムを入れると美味しいんです。よかったら是非試してみてください。
(取材後記:トマトジャム入り牛乳は後ほど美味しくいただきました!)
ええ!そんなにあるんですか。確かに、店頭には沢山の商品が並んでいるんですね。どれも美味しそうです、、!
これらはやはり、今注目されている「6次産業化」を意識されたのですか?
う~ん、最初にトマトジュースを作ろうと思ったきっかけは、お客様に「トマトジュースってどうやって作ってるの?」
って聞かれたからなんです。その時にちゃんと答えられなくて「だったら自分で作ってみよう!」って思ったんです。
だから6次産業化を意識していたわけではないんですよ。お客様の声に応えていったら、現在のようなラインナップになったんです。

こちらはトマトケチャップ。使っている品種によって風味の違いが楽しめます。

お客様に商品を楽しんでもらえるようにオリジナルレシピを配布しているそうです。

ケチャップもしっかりいただく渡邉。うま味がギュッと詰まっています!

お話を聞くと、先代から事業を継承した際に「どうしたらお客さまに手にとって、喜んでもらえるか」ということをとことん考え抜いたそうです。 そして「高品質のトマトを作ること」「お客さまの声を聞いて販売戦略に活かすこと」の2軸で事業計画を立てることで、組織の成長につながったそうです。

現在では口コミでトマトやオリジナル商品の評判が広がり、レストランのシェフからの指名買いや、遠方から直売所に来てくださるお客さままでいらっしゃるとのこと。

こちらが井出トマト農園さんの直売所です。取材中も次々とお客さまが来店していました!

トマトコーナーの一部。色とりどりのトマトが並びます。

こちらは加工品のコーナー。どれも絶品でした!

事務所でお話を聞いたあとは、パートさんの朝礼にも参加し、いよいよ作業開始です!
まずはハウスにお邪魔して、収穫のお手伝いをさせてもらうことになりました。

いざハウスに潜入です!

広い・・・先がぜんぜん見えません。

着いて早々、パソコンをチェックする井出さん

すごい・・・先が見えません。こんなに広いハウスに入るのは初めてです。
ここはうちのメインのハウスで、このハウスでは商品として出荷している9種類のトマトを全部栽培しています。
全部で7棟あるハウスは3000坪ほどありまして、年間でおよそ200トンのトマトを収穫しています。
収穫作業の前に、ちょっとハウスのデータを確認させてくださいね。
ハウス内にパソコンがあるんですね!ここではどんなデータをチェックしているのですか?
ハウス内の「温度」や「湿度」、太陽光の強さを表す「照度」、それから「二酸化炭素の濃度」などをチェックしています。 農業は自然が相手なので「勘」も必要かもしれませんが、高品質のトマトを作り続けるためにはデータ収集が欠かせません。 お客さまと信頼関係を築き上げるためには美味しいトマトを「常に」生産することが重要なんです。

とはいえ、作業によっては勘や経験が必要な部分もありまして。そうだ、作業の前にちょっとうちのトマトを食べてみてください。
えっ、いいんですか(笑)やった~!

こちらは「ピッコラカナリア」という品種。オレンジ色が鮮やかです

早速いただきます!ピッコラカナリアは糖度が高く、濃厚な味!

紫色の「トスカーナバイオレッド」どんな味がするのでしょうか。

鮮やかな黄色の「イエローアイコ」フルーティな甘さが口中に広がります。

品種ごとの味の違いや特長をわかりやすく解説していただきました!

全品種を食べてご満悦の渡邉。今日は取材ですよ。。。。(撮影スタッフ談)

どれもこれも美味しいです!それにはっきりと味の違いが分かります。
品種ごとに酸味や甘みが異なって、別の品種も食べてみたくなりますね!
味だけでなく、食感や見た目も違うので、お客様には飽きずに楽しんでもらえます。

沢山食べていただきましたが、実は初めて収穫の作業をしてもらう人には、それぞれのトマトを味わってもらっているんです。そうすれば「この位色づいたトマトが美味しい」って実感できますよね。
口で説明するより、まずは味わってもらった方が収穫のタイミングも把握してもらいやすいんです。
9種類全部食べさせてくれた理由はそういうことだったのですね。てっきり取材だからだと思ってしまいました・・・。
でも井出さんの言うとおり、それぞれのトマトを収穫するタイミングが掴めたような気がします!

ひとしきりトマトをいただいた後は、いよいよ収穫作業へ。井出さんのお手本を見ながら、渡邉も挑戦です。

まずは井出さんのお手本から、ヘタの少し上の部分からトマトをもぎます。

余分な茎をハサミで切り落とします。

次々と収穫していきます。

こんな感じです。簡単でしょう?とはいえ最初はゆっくりでいいので、やってみてください。
うちの大事な商品になるトマトなので、慎重にお願いしますね。

緊張して手が震える渡邉。井出さんも心配そうに見守ります。

やっとできました!1分もかかってしまいました・・・

「トマトの収穫なんて久々で~」と言い訳をする渡邉。

はじめに手で収穫する際の力加減が難しいですね・・・力を入れすぎると、ヘタと一緒に取りたいところをトマトの実だけ取ってしまいそうですし。私がこのペースでやっていたら一日かかっても終わりませんね・・・。
最初は誰でもそうですよ。しばらくやって、やっと慣れるものです。
美しい見ためを保ったまま収穫することも重要なのですが、スタッフには収穫時間を意識して作業してもらいたいので、 一人一人にストップウォッチを配ってるんです。スタッフ自身で収穫にどのくらい時間がかかっているか把握してもらってます。

ストップウォッチを渡している理由は、競争をさせているわけでも、制限時間を決めているわけでもないとのこと。
収穫を担当するスタッフ一人ひとりに作業時間を意識してもらうだけでも、個人の意識が高まり、作業スピードが上がるそうです。
小さな工夫が事業の成長には欠かせない、とのことでした。

次はさきほど食べたイエローアイコの収穫。黄色くて少し細長い形が特徴です

井出さんのお手本を参考に、ミニトマトの収穫もお手伝いさせていただきます。

鮮やかな黄色が食欲をそそります!

ミニトマトの収穫はハサミは使わず、すべて手で行います。先ほどと同じ様にヘタの少し上に少し力を加えると簡単に取れますよ。でも、ヘタを残したまま実だけ取れてしまうことが多いので気をつけてください。
うーん、さらに力の入れ具合が難しいです・・・(茎をグイグイ押す渡邉)
・・・あ、実だけ取れてしまいました・・・、すみません・・・・。
あら、やってしまいましたね。でもこれも慣れです。
こういう細かい作業は手先が器用な人だとすぐに習熟しちゃうんですよね。

その後も井出さんにアドバイスを頂きながら何とか収穫を終了。
単純で簡単かと思いきや、見ため以上に難しい作業でした。渡邉もコツをつかみはじめたのは収穫作業の終了間際でした。
今は収穫量が少ない季節なので早めに終わりましたが、シーズン中は朝から日が暮れるまでひたすら収穫作業を行う事もあるそうです。

思っていた以上に難しかったです。正直、もっと簡単にできると思っていました。
そういえば、ハウスに入ったときから気になっていたのですが、このトマトは背が高いですよね。高さは何メートルくらいあるのですか?
2.5メートル以上はありますよ。下の方を見てください、長くて太い茎もあるでしょう。

うちでは「ロックウール水耕栽培」という栽培方式でトマトを育てているんです。この茎が埋まっている部分に肥料(養液)が流れているんですね。企業秘密も多いのですが、例えば排液のデータを元に、肥料の濃度を変えたり、計画的に育てるために色々と工夫をしています。
井出さん独自の工夫があってこそ、安定的に苗を成長させて、1年間収穫し続けることができるのですね。
やはり生産現場は勉強になることが沢山あります、、!

高さ2.5m、茎の長さは8mあるトマトの木

ここに肥料が流れています

これが培地の役割をするロックウールです

収穫したトマトの重さを量り、収量のデータを記録してこの作業は完了です。
休憩を挟んで別のハウスに移動し、「芽かき」と「誘引」作業を行います。

収穫を終えたトマトを計量します。

休憩中のひとコマ。パートさん達とのおしゃべりに華が咲きます

井出さん手作りの直売所兼事務所。(DIYがご趣味とのことですが、趣味の範囲を超えています・・・すごい)

次は芽かきと誘引をしてもらいます。芽かきは主茎と葉柄の間に生える「わき芽」を取る作業です。 これをしないと、大切な養水分を余計なわき芽にまで行き届けてしまいますからね。トマトを生産する上ではかなり重要な作業になるので、少なくとも週に1回は行います。 「誘引」も同じくらい重要でして、、、トマトは自分では上向きに伸びないので、人の手でトマトの姿勢を整えてあげるんです。うちでは上から吊るした黒い紐に苗をからげる様な感じで誘引をしています。

主茎と葉柄の間に生えてるのが「わき芽」これを手で取っていきます。

黒い紐と井出さんの左手に持っている白いクリップで姿勢を整えます。

井出さんにコツを教えてもらいながら渡邉も挑戦します。

わき芽を見つけて取ることはできるのですが、最後の「誘引」が難しいですね。うまく立たせることができません・・・。 さっき収穫していたトマトの茎と違ってまだ細くて柔らかいので、紐にからげる時に苗が折れてしまいそうになります。
これも感覚を掴むまでは難しいかもしれませんね。 芽かきや誘引も収穫と同様に、スタッフには作業スピードを意識しながらやってもらっています。あらかじめ作業にどのくらいの時間がかるのか計り、作業量を見積もって一日の作業計画を立ててもらっています。 単純作業かもしれませんが、「ただやればいい」ということではないのです。これは一般的な会社で仕事をする上でも同じですよね。

一通り作業を終えた一同。
最後にスタッフの方が作業を行った箇所を井出さんが一つ一つチェックしていきます。 こんなに広いハウスをチェックするのは大変ではないですか?との問いには「スタッフさん達の作業を疑っている訳ではないですが、改善案をアドバイスしてあげれば、そのスタッフさんの成長につながりますからね」との事。
従業員の方々に対して丁寧に指導する井出さんの様子は、今回の取材中に何度も見受けられました。

入念にチェックしていく井出さん

気になる所を発見。パートさんに声をかけます

丁寧に説明をしています

・・・??? これは何か問題があるのですか?わき芽もきれいに取られていて、誘引も異常無いように思いますが・・・。
そうですね、たしかに「芽かき」はきれいにできていますし、誘引も出来ています。
・・・でも誘引の際、紐を少しきつく巻きすぎですね。まきつける間隔もせまいです。想像してみてほしいのですが、 人間も腕にぐるぐると紐をまきつけられて、その上引っ張られたりしたら痛いですよね。
トマトも一緒なんです。まきつける間隔を広く、優しく絡ませるくらいがトマトにも負担がかからずちょうど良いのです。
なるほど。たしかにそうですよね・・・当たり前のようなことでしたが、全然そんなこと考えていませんでした。
スタッフさんも次回作業する際に意識して、コツも思い出しやすそうな説明ですよね。すごく分かりやすいです!
人とか身近なものに例えて話をしたりすると、やっぱり分かってもらいやすいですからね(笑)
さて、午前中は施設の見回りをもう少ししましょうか。

芽かきと誘引を終えた一同は別のハウスへ。ハウスに入ると、屋根に見慣れない白い塗料がまぶしてありました。

ハウスの上には何やら白い塗料が・・・

肥料タンクのモニタでハウス内を流れる肥料のデータをチェックします。

給液の仕組みを解説していただきました!

ここのハウスの屋根には白い塗料が撒いてあるようなのですが、これはなんですか?
これは「遮光剤」ですね。その名の通り、光を遮ってハウス内を高温になりすぎないようにしてるんです。
生育段階では高温になりすぎてもトマトの生育に良くないですからね。僕が屋根に上って撒いたんですよ。
社員にもやらせたことがあるのですが、パイプの上を歩くのは慣れないと怖いらしくて。
さすがに体験してもらうのは危ないので、今日はやめておきましょう(笑)

それにしても、ここのハウスの苗はちょっと元気がないみたいですね。。。肥料のデータを確認させてください。
このタンクについているモニタには沢山数字が並んでいるのですが、どんなデータをチェックしているのですか?
このモニタでは肥料の濃度と給液量をチェックしています。収穫の際にお見せした培地(ロックウール)に液肥が行きわたるのですが、このモニタでは培地を通過する前と後の肥料の濃度と量がわかるようになっています。
そうすると「どの程度トマトが栄養を吸収したか」わかりますよね。これも生育の度合いとデータを見比べて、微調整するようにしています。
なるほど。これは水耕栽培だからこそできる管理方法なのですか?
そうですね。データ管理ができて、機械制御ができるのが水耕栽培の強みの一つかもしれません。
土で栽培する土耕栽培でもデータ管理はできるとは思うのですが、簡便でなく、難しい気がします。
井出トマト農園でも様々な栽培方法を実践しながら現在の「ロックウール水耕栽培」にたどり着いたのですが、現代農業の一つの形かな、と思っています。もうひとつ、現代っぽい施設として「苗テラス」もご紹介しますね。

井出トマト農園では安定した生産を行うために苗づくりにも取り組んでいるそうで、「苗テラス」という育苗システムを紹介してくださいました。育苗からトマトの生産までの仕組みを自社でコントロールすることで、安定した経営基盤を作り上げることができるそうです。

ハウスの奥には見慣れない倉庫のようなものが。。

こちらが噂の苗テラスだそうです。中は一体どうなっているんでしょうか?

いざ潜入です!

苗テラスについて解説してくださる井出さん。最先端の設備に驚きを隠せない渡邉。

これは播種から約14日目の苗だそうです!

トマトのシーズン中はこのような感じです。これはすごい!

すごい!小さな植物工場みたいですね! ここでも機械を用いて制御をしているようなのですが、どのような条件で苗を育てているのですか?
これも自慢の設備です。今はトマトのシーズンではないので苗は少ないですが、シーズン前は苗でいっぱいになります。
テラス内で制御しているのは温度や湿度、光の量、二酸化炭素濃度などですね。入口の横にあるコントロールパネルで操作できます。
そうなんですね、様々な所で農業の機械化を感じます。
そういえば苗の奥の方、壁にはたくさん穴が空いていますがこれは何ですか?
壁に空いている穴は“ファン”ですね。ここから空気を引き抜いて風を起こします。
葉は光合成を行う際、気功から二酸化炭素を出しますよね。そうすると葉の裏面に二酸化炭素の薄い層ができます。 これを「葉面境界層」と言うのですが、この境界層を壊さないと光合成が活発に行えなくなってしまうので、ファンで風を起こして境界層を壊してあげているんです。

苗テラスはこれらを一貫して管理できるので、結果的にとても良い苗ができます。すごく役立っていますよ。
すごいですね・・・!見学させていただく施設すべてが勉強になります!
トマトの栽培については、学生の頃に多少勉強したつもりだったのですが、ここまで進歩しているものなんですね!
先日オランダ視察も行ったのですが、日本はまだまだ農業技術では遅れをとっています。先ほども触れましたが、今はデータの活用が容易になりましたし、情報収集はしっかりして「美味しいトマトを作る」ための投資は積極的に行いたいと思っています。
さて、お昼の時間になりましたし一旦休憩しましょうか。午後は販売に関する業務も体験してもらおうと思います。

オランダは農業の先進国として有名。オランダでトマト農家というと誰もが憧れる職業の一つだそうで、日本で言うプロ野球選手の様なステイタスなんだそうです。

最新の設備について説明を受け、時間は間もなく昼の12時。
事務所に戻った一同はスタッフの方と一緒に昼食を取り、1時間しっかりと休憩をしました。

しっかり休めましたか?午後は販売するトマトの袋詰めから始めましょう。
実はうちのトマト、100%ロスが出ないんです。
コレも企業秘密なので詳しくはお教えできませんが、統計データを集めながら袋詰めの方法もかなり研究していまして。
簡単に言えば、「お客さまに手に取ってもらえるような袋詰め」を心がけているんです。
そうなんですね!ただ単にキレイに見えれば良いわけではないのですね。
これまで井出さんのお話を聞いていると、本当に繊細で何気ないところまで着目していますよね。
細やかなところにも努力を惜しまないことこそが、成長の秘訣なのですね!

午後の開店と同時に、お客さまが次々と来店します。急きょ渡邉も店頭で接客することになりました。

袋の詰め方にもコツがあるそうです。真剣に耳を傾ける渡邉。

苦戦しながらも完成です!こうして袋詰めされたトマトが、商品として店頭に並びます。

急きょ店頭で接客のお手伝い。お客さまとのコミュニケーションも大事なお仕事です!

店頭にも出てもらってありがとうございました。助かりましたよ。 今日は折角なので「わいわい市」へトマトの出荷をしに行きましょう。 朝も出荷しているのですが、お昼過ぎになると結構品数も少なくなるので補充に行きます。

車に揺られること20分。JAが運営する地域のファーマーズマーケット「わいわい市」に到着です。
渡邉もわいわい市オリジナルキャップをかぶって陳列のお手伝いをすることになりました。

さあ着きました。平日でも結構にぎわってるでしょう。早速売り場で陳列作業です。
本当ですね!お客さんがいっぱいいます。それに広い! 季節の野菜に果物、お花や加工品まで・・・たくさんの商品がありますね!

藤沢市のファーマーズマーケット「わいわい市」です。市内で生産された農作物が並びます。

「わいわい市キャップ」を受け取ります。これで生産者の仲間入り!

井出トマト農園の一員として搬入のお手伝いをします!

裏口から潜入です!

井出トマト農園に割り当てられた区画にトマトを並べます。

レジ横には井出トマト農園自慢の加工品が並んでいました!

並び終えて早々、お客さまがどんどんトマトを手に取っていき、2~3分で半分以上売れていきました。
“飛ぶように売れる”とはまさにこのことです。

並べたばかりなのに!もうこんなに売れていくんですね! やはり井出さんのトマトを目当てに買っていかれるのですか?
そうなんですよ。みなさん「井出トマト農園のトマトが欲しいから」って買いに来てくださるんです。うれしい限りですね。こうして直接売り場に来るとお客さまの顔も見えますし、また良いトマトを集荷しよう、とやる気がでますね。

ここではトマトを手に取ってくれたお客さまと会話を楽しむ井出さんの姿が見られました。 こうした何気ない会話が、お客さまとの信頼関係を築くために重要なのだと感じた取材班。 井出さん曰く「こうした会話から次の改善点が見つかる」とのこと。
“何事もお客さま目線で経営方針を考えている”井出さんの意識の高さを伺えるシーンでした。

その後は農園に戻り、作業再開です。

さて、一日の締めに肥料づくりを行いましょうか。肥料を計量して、午前中に見学してもらった肥料タンクでブレンドします。ちょっと力仕事になってしまいますが、僕も手伝うので、最後にもう一仕事、頑張りましょう!

配合表に基づいて計量します。

タンクに入れて、水と混ぜます。

人間の手と機械でしっかりかくはんします。

井出さんにお手伝いいただいて無事に終わりましたが、肥料の入った袋は重くて運ぶのが大変ですね・・・ 普段会社では座ってパソコンばかりなので、久々に力を使いました。もう腕が痛いです・・・。
普段デスクワークの女性には少し大変だったかもしれませんね。 とはいえ本日の作業はこれで終了です。お疲れ様でした。

肥料づくりで本日の作業は終了。
最後に、井出トマト農園の今後について、少しインタビューをさせていただきました。

今日は一日ありがとうございました。生産から販売まで、至る所に工夫が施されていて、とても勉強になりました。 井出トマト農園としては、今後どのように規模を拡大していく予定なのでしょうか?
今よりもっとたくさんのお客さまと密に係わっていきたいという思いが強いので、うちのトマトと藤沢の農産物が買える 「大型直売所」と「トマトレストラン」の立ち上げ計画を立てています。実際にいろんな直売所や農家レストランへ視察に行ったり、シェフとメニューを決めたり、コンサルタントの方にアドバイスを頂きながら進めているところです。 直売所は高級スーパーのように上品な雰囲気にしたいと思っています。 レストランも清潔感があって広々としたオシャレな店内にしようかなと、、、あとはお惣菜がテイクアウトできたりして、うちの一番の顧客となっている主婦(夫)の皆さんに喜ばれる店舗を作りたいですね。

井出トマト農園のこだわり①直売所では試食・試飲OK!!ぜひ美味しさを知ってもらって、購入してほしいとのこと。

井出トマト農園のこだわり②商品に貼るラベルのデザインにもこだわります。

井出トマト農園のこだわり③商品購入時には毎月発行の「イデトマトニュース」を同封。いつも同じパンフレットを同封するよりも、お客さまに喜んでいただけるそうです。

すてきですね!直売所もレストランも行ってみたいです!
都心に近いこの立地も強みになりますね。近隣の方にとっては生活の一部になりそうです。

でも、少し気になるのは、新たな事業を展開するとなると、今以上のトマトの収穫量が必要になってしまいそうな気がしますが、生産については、やはり藤沢市内で規模を拡大していく予定なのですか?
鋭い質問ですね。実は、第2農場の建設を計画していまして。藤沢市とは気候が異なる、静岡県の高冷地での農場建設を考えています。気候が異なれば、藤沢市でトマトの収穫量が減ってしまう時期に第2農場で生産量を確保することができますし、2つの農場でうまく作型を決めれば通年で安定した収量を確保することが実現します。第二農場は2017年頃に稼働予定です。
井出トマト農園の成長ぶりはお話を聞いているだけでも「すごいな」と思います。 今日1日、新しい発見や井出さんの物事を見る目線の違いに、とにかく驚きっぱなしでした。
・・・こんなことを聞くのは失礼ですが、お仕事で失敗などはしないのでしょうか? お話を聞く限り、なんでもうまくいってらっしゃるような感じがします。。。
失敗やうまくいかないことは沢山ありましたよ。
天候の被害は何度も経験しましたし、ハウスの設備が盗まれたこともあったり、お客さまに指摘されることも沢山あります。

でも失敗があったからこそ次の改善点を見つけて成長できますし、そうして農園が大きくなってくれば、 さっき話した直売所やレストランも実現できるものになります。成長の原点は失敗にあると思いますよ。
最後に良いお話を聞けました・・・。今日はお忙しい中、本当にありがとうございました!
井出さんには農業のことだけでなく、それ以外のこともたくさん学ばせていただきました。

それと、農業ジョブから就農された社員の方もいらっしゃるとのことなので、後日インタビューに伺いますね!
こちらこそ、井出トマト農園の魅力や農業の仕事の魅力が少しでも伝われば嬉しいです。
都内からでも日帰りで来れますし、また遊びにきてくださいね!美味しいトマトを作って待っています!

「美味しいトマトを届けたい」という熱い想いと、収穫から販売に至る隅々まで行きわたった気配りが、驚異の成長を続ける理由なのではないでしょうか。現代農業の一つの成功モデルを見学して、取材班一同とても勉強になりました。農園の今後の事業展開にも注目です!

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