農業で収入を上げるには?資格手当・昇給につながる資格の選び方
資格は「取ること」より「収入につなげること」が大切。農業で稼ぐ力を伸ばす資格の選び方とは?
「農業の仕事でもっと収入を上げたい」「これから農業に転職するなら、しっかり稼げるようになりたい」。そう考えたとき、選択肢のひとつになるのが資格の取得です。
ただし、資格はたくさん取ればよいというものではありません。大切なのは、職場で役立ち、評価や待遇につながる資格を選ぶことです。この記事では、農業で収入アップを目指す人に向けて、収入につながる仕組みと、目的に合った資格の選び方を解説します。
資格が農業の収入アップにつながる3つのルート
資格が収入につながる道すじは、大きく分けて次の3つです。どれも職場によって制度や評価のしかたは異なりますが、知っておくと資格選びの軸ができます。
ルート1:資格手当がつく
農業法人の中には、特定の資格を持つ社員に手当を支給しているところがあります。求人票の「手当」や「待遇」の欄に、資格手当の記載があるかをチェックしてみましょう。
ルート2:任される仕事が増え、評価や役職につながる
資格があると、大型の機械の運転や出荷場での荷役、品質管理など、担当できる仕事の幅が広がります。「この作業はあの人に任せよう」と頼られる場面が増えれば、評価や昇給、リーダーへの登用につながる可能性も高まります。
ルート3:条件のよい職場へ転職しやすくなる
資格は「何ができるか」を客観的に示す材料になります。経験とあわせてアピールできれば、待遇のよい求人に挑戦しやすくなります。
収入につながる資格を選ぶ3つのポイント
・今の職場(目指す職場)で実際に使うか:使わない資格は評価されにくい。扱う作物や機械、仕事内容に合っているかを確認する
・現場で人手が足りない作業に関わるか:機械の運転や荷役など、資格を持つ人が限られる作業ほど頼りにされやすい
・「育てる」以外の仕事に広がるか:品質管理・経営管理・加工販売など、利益に直結する仕事に関われる資格は、長い目で見て収入アップにつながりやすい
収入アップにつながりやすい農業の資格6選
ここでは、上の3つのポイントにあてはまりやすい資格を厳選して紹介します。
①大型特殊自動車免許・けん引免許(農耕車限定)
どう収入につながる?
大型のトラクターやコンバインで公道を走れるようになり、ほ場間の移動や機械作業を任せてもらいやすくなります。大型の機械を使う農業法人では、持っている人が重宝されます。
押さえておきたいポイント
トラクターなどは、作業機を付けた状態で全長4.7m・全幅1.7m・全高2.0m(安全キャブなどがある場合は2.8m)のいずれかを超える場合や、最高速度が15km/hを超える場合、公道走行に大型特殊自動車免許が必要です。さらに、そのトラクターで車両総重量750kgを超えるけん引式の作業機を引いて公道を走る場合は、けん引免許が必要です。どちらも農耕車に限った「農耕車限定」の免許があり、都道府県の農業大学校などで取得のための研修を行っている場合もあります。
②フォークリフト運転技能講習
どう収入につながる?
収穫物や資材の運搬、出荷作業など、出荷場や倉庫での荷役を担当できるようになります。栽培の現場だけでなく、出荷・物流の部門でも活躍の場が広がります。
押さえておきたいポイント
最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転には技能講習の修了が、1トン未満の場合は特別教育の受講が必要です。
③ドローンの操縦に関する資格
どう収入につながる?
農薬や肥料の散布、ほ場の見回りなどにドローンを活用する現場が増えています。新しい技術を使いこなせる人は、スマート農業を進める職場で頼りにされる存在になれます。
押さえておきたいポイント
2022年12月から、ドローンの国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)の制度が始まりました。ただし、農薬散布を行うために国家資格が必須というわけではありません。一方で、ドローンによる農薬散布は航空法上の「危険物輸送」「物件投下」にあたるため、国の承認などの手続きが必要になる場合があります。農業用ドローンのメーカーなどが行う講習の受講が、機体の購入や運用の条件になっているケースもあります。ルールは見直しが続いているため、国土交通省などの最新情報を確認しましょう。
④JGAP指導員
どう収入につながる?
GAP(農業生産工程管理)は、食品の安全や環境保全、働く人の安全などに配慮した農業を行うための取り組みです。JGAPなどの認証を取得している農業法人もあり、取引先から取り組みを求められる場合もあります。GAPを理解している人は、品質管理や安全管理の仕組みづくりを担う立場として評価されやすくなります。
押さえておきたいポイント
日本GAP協会が公認する基礎研修を受講し、研修の最後に行われる試験に合格すると取得できます。
⑤簿記・農業簿記検定
どう収入につながる?
農業で利益を出すには、作物を育てる力だけでなく、コストや売上を把握する力が欠かせません。簿記の知識があれば、経理や経営管理の仕事に関われるほか、将来の独立就農にも役立ちます。「稼ぐ仕組み」を理解できる人材は、管理職を目指すうえでも強みになります。
押さえておきたいポイント
一般的な簿記の検定のほか、一般財団法人日本ビジネス技能検定協会が実施する、農業に特化した「農業簿記検定」(1級・2級・3級)もあります。
⑥食品衛生責任者
どう収入につながる?
ジャムや漬物などの加工品づくりや、カフェの運営など、農産物の付加価値を高めて販売する「6次産業化」に関われるようになります。加工・販売部門を持つ農業法人で役立ちます。
押さえておきたいポイント
食品の製造・加工や販売、飲食店などの営業で、営業許可や届出が必要な施設には、原則として食品衛生責任者を置く必要があります。都道府県などが行う養成講習会を修了することで、食品衛生責任者になることができます。なお、自分で育てた野菜をそのまま販売する場合など、許可や届出がいらないケースもあります。必要な手続きは管轄の保健所に確認しましょう。
畜産や地域で活躍したい人は、こんな資格も
・家畜人工授精師:獣医師以外の人が家畜の人工授精を行うために必要な、都道府県知事の免許。畜産・酪農の現場で専門性を高めたい人に
・狩猟免許(わな猟など):狩猟者登録や市町村などの許可を受けることで、鳥獣害対策の捕獲に関われるようになる。地域から頼られる存在に
農業に関する資格をもっと幅広く知りたい方は、農業のおすすめ資格23選もあわせてご覧ください。
資格を収入につなげる3つのコツ
1. 求人票で「資格手当」「資格取得支援」を確認する
同じ資格でも、手当の有無や評価のされ方は職場によって違います。転職を考えているなら、求人票の待遇欄や面接で、資格がどう評価されるかを確認しておきましょう。
2. 取得したら、担当できる仕事を広げる
資格を取ったら、上司に伝えて、実際にその資格を使う仕事を任せてもらいましょう。資格は使ってこそ評価につながります。
3. 「資格+経験」でアピールする
資格だけでなく、「その資格を使って何をしてきたか」を語れると、転職や昇進の場面で説得力が増します。作業の記録や成果をメモしておくのもおすすめです。
資格取得を応援してくれる職場を選ぼう
資格の取得には、講習料や受験料、勉強の時間が必要です。法人によっては、費用の補助や、勤務時間内での講習受講、資格取得後の手当などの制度を用意しています。働きながら資格を取り、スキルと収入を一緒に伸ばしていける職場を選ぶのも、収入アップへの近道です。
まとめ:資格は「使って」収入につなげよう
資格を取っただけで収入が上がるわけではありません。大切なのは、職場で役立つ資格を選び、取得後に実際の仕事で活かすことです。手当・評価・転職という3つのルートを意識しながら、自分の目標に合った資格に挑戦してみましょう。
なお、資格の内容や取得方法、必要な条件は変わることがあり、都道府県によって異なるものもあります。受講・受験を考える際は、各資格の実施団体や自治体の最新情報を確認しましょう。



















