農業で移住すると子育て環境はどう変わる?暮らしの変化と、移住前に確認したいポイント
自然の中で働き、家族の時間を大切にする。農業と移住がつくる子育ての環境とは?
「子どもを自然の多い環境で育てたい」「家族で過ごす時間をもっと増やしたい」。そんな思いから、地方への移住や、農業という働き方を考えることもあるのではないでしょうか。
一方で、「農業の仕事と子育ては両立できるの?」「保育園や学校、病院は大丈夫?」と、不安に感じることも多いはずです。この記事では、農業を仕事にして移住したときに子育ての環境がどう変わるのかを、良い面と気をつけたい面の両方から紹介します。あわせて、使える支援制度や、移住前に確認しておきたいポイントもまとめました。
農業で移住すると、子育ての環境はどう変わる?
通勤時間が短くなり、家族と過ごす時間が増えやすい
総務省の「令和3年社会生活基本調査」によると、平日に通勤・通学をした人の1日あたりの通勤・通学時間は、全国平均で1時間19分。都道府県別では神奈川県が1時間40分と最も長く、千葉県・東京都が1時間35分と続きます。一方、最も短い山形県・宮崎県は56分で、最も長い神奈川県とは1日あたり44分の差があります。
農業の仕事は、畑やハウスのある場所が職場です。地域によっては車が主な通勤手段になりますが、職場の近くに住めば移動の時間を短くしやすくなります。通勤にかかっていた時間を、子どもと過ごす時間や家族で食卓を囲む時間にあてられるのは、移住して農業を仕事にする大きな魅力のひとつです。
出典:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要」
自然が遊び場になる
田んぼのあぜ道で虫を探したり、川で遊んだり、雪が降れば一面の雪景色の中で遊んだり。地方では、季節の移り変わりを肌で感じながら、のびのびと体を動かして遊べる環境が身近にあります。五感をたっぷり使う自然の中での遊びは、子どもにとって心に残る体験になるでしょう。
親の仕事と「食べもの」が、子どものすぐそばにある
農業を仕事にすると、親がどんな仕事をしているのかを子どもに見せやすくなります。種をまいた野菜が育ち、収穫されて食卓に並ぶ。そんな過程を間近で見ることは、食べものを大切にする気持ちや、働くことへの理解を育むきっかけにもなるでしょう。自分の親が育てた作物を「おいしい」と食べる経験は、子どもにとって特別な思い出になるかもしれません。
住まいにゆとりを持ちやすい
地域によっては、都市部に比べて家賃や土地の価格が手ごろで、庭付きの一戸建てなど広い住まいを選びやすくなります。子どもが走り回っても気になりにくい住まいは、子育てのしやすさにもつながります。空き家バンクなどで住まいを紹介している自治体もあります。
地域の中で子どもを見守る関係が生まれる
地域によっては、近所の人が子どもの顔と名前を覚えていて、登下校の様子を見守ってくれることもあります。地域の行事やお祭りに家族で参加するうちに、親以外の大人とのつながりの中で子どもが育つのも、地方ならではの子育ての環境といえます。子育て以外も含めた、地方で農業を仕事にする魅力については都会の毎日に疲れたあなたへ。地方で農業を仕事にする7つの魅力で紹介しています。
農業の仕事と子育ては両立できる?
農業には、季節によって忙しさが大きく変わるという特徴があります。植え付けや収穫の時期には朝早くから作業をしたり、天候に合わせて予定が変わったりすることもあります。家族の協力体制や、子どもを預けられる場所を事前に考えておくことが大切です。
一方で、農業法人などに就職する場合は、勤務時間や休日が雇用契約で決められるため、生活のリズムをつくりやすくなります。保育園の送り迎えに合わせて勤務時間を調整してもらったり、育児休業を取ったりしながら働いている人もいます。実際に農業法人で働きながら子育てをしている人の声は、農業の未来を担う新規雇用就農者インタビューでも紹介しています。
子育てとの両立を重視するなら、求人を見るときに、勤務時間や休日だけでなく、繁忙期の働き方や、急な休みへの対応、育児休業の取得実績なども確認しておくと安心です。
移住と子育てで使える支援制度
移住支援金(子育て世帯への加算あり)
国と自治体が実施する「移住支援金」は、東京23区に住んでいる人や、東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)から東京23区へ通勤している人などが、東京圏の外や東京圏内の条件不利地域へ移住し、一定の要件を満たした場合に支給される制度です。支給額は都道府県が設定し、国の基準では世帯で100万円以内(単身は60万円以内)。さらに、18歳未満の子どもと一緒に移住する場合は、子ども1人につき最大100万円が加算されます。
移住先で、都道府県のマッチングサイトに掲載された対象の求人に就職することなどが要件になっています。移住元での居住・通勤の期間や、移住後5年以上住み続ける意思があることなど、ほかにも細かな条件があり、実施しているかどうかや金額は自治体によって異なるため、移住を考えている地域の窓口で必ず確認しましょう。
出典:地方創生ウェブサイト「移住支援金」
自治体ごとの子育て支援
子どもの医療費の助成や保育料の軽減、出産や入学時のお祝い金など、自治体ごとにさまざまな子育て支援があります。対象年齢や金額は自治体によって大きく異なるため、移住先の候補を比べるときは、子育て支援の内容もあわせてチェックしてみましょう。
農業を始めるための支援
農業を始める人向けにも、研修や就農を支援する制度があります。詳しくは農業で使える補助金・助成金まとめで紹介しています。
移住前に確認したい、子育て環境のチェックポイント
自然が豊かな地域ほど、都市部とは生活の前提が変わることもあります。移住してから「こんなはずじゃなかった」とならないよう、次のポイントを確認しておきましょう。
・保育園・幼稚園:入園できる見込みはあるか。延長保育や一時預かりはあるか
・学校までの距離と通学手段:小・中学校までどのくらいか。スクールバスはあるか
・医療機関:小児科や夜間・休日に受診できる病院が近くにあるか
・買い物と車:日常の買い物はどこでするか。家族で車が何台必要になりそうか
・進学の選択肢:高校や習い事の選択肢、通える範囲はどうか
・子育て支援の内容:医療費助成や保育料、子育て支援センターなどの制度や施設
・気候と地域の行事:冬の雪の量や、地域の行事・自治会の活動など
ネットの情報だけではわからないことも多いので、実際に現地を訪ねて、子育て中の地域の人に話を聞いてみるのがおすすめです。移住先の選び方については田舎移住を成功させるポイント3つで、子育て以外の生活面で確認したいこと(生活施設や交通、地域コミュニティなど)は田舎暮らしでできる仕事とは?【移住の際に気を付けること6選!】で紹介しています。
家族で移住を進めるための4ステップ
STEP1 家族で「大切にしたいこと」を話し合う
自然の多さ、通勤時間、教育、実家との距離など、家族それぞれが大切にしたいことを話し合い、優先順位をつけておきましょう。
STEP2 移住相談窓口で情報を集める
都道府県や市町村の移住相談窓口では、仕事や住まい、子育て支援についての情報を得られます。オンラインで相談できる窓口もあります。
STEP3 家族で現地を訪ねてみる
移住体験ツアーやお試し住宅を用意している自治体もあります。農業体験に参加して、仕事のイメージをつかむのもよいでしょう。農業体験については農業体験の魅力とは?で紹介しています。
STEP4 仕事と住まいをセットで考える
農業の求人の中には、寮や社宅、住宅手当があるものもあります。仕事と住まいを一緒に決めると、移住後の生活の見通しが立てやすくなります。いきなり遠くへの移住に不安がある場合は、「移住はまだ怖い」人へ。関東近郊で始める農業という選択肢も参考にしてみてください。
まとめ:農業と移住で、家族の時間を大切にする暮らしを
農業を仕事にして移住すると、通勤時間が短くなったり、自然が身近になったり、親の仕事を子どもに見せられたりと、子育ての環境が大きく変わる可能性があります。一方で、繁忙期の働き方や、保育・医療・通学などの生活環境は、地域や職場によってさまざまです。
大切なのは、家族にとって何を優先したいのかを考え、仕事と暮らしの両方の条件を確かめたうえで移住先を選ぶこと。「子育てと両立しやすい職場を知りたい」「移住先の仕事について相談したい」と感じたら、農業の仕事にくわしいキャリアアドバイザーに、まずは気軽に話を聞いてみませんか?




















