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北海道で酪農!特徴・牧場の比較

北海道で酪農がしたい人のための
牧場選び4つのポイント

雄大な北海道の自然や酪農にあこがれる人は多く、農業の求人の中でも、北海道の酪農家求人は大変人気があります。 近年は、酪農体験や景観などあらゆる側面から、牧場が観光資源にもなっていて、酪農家も多様化が進んでいます。
「酪農がしたい」と一言で言っても、牧場の特徴によって働き方も違ってくるため、自分のやりたい酪農の仕事を見つけるには、 その特徴を把握し比較して自分に合った牧場を選択することが大切です。

北海道は広大!地域によって特徴があります

北海道は九州の2倍以上の面積があり、日本の面積の約20%を占めます。北海道全体に酪農地帯が広がっていますが、地域によって気候も風土も違うため、酪農においても地域によって特徴があります。特に道北・道東は、冷涼な気候を生かして酪農が盛んに行われています。

北海道で特に酪農が盛んな道東エリア

北海道の生乳生産量は全国トップであり、日本の牛乳・乳製品の自給率確保を支えています。その中でも、十勝エリア(帯広を中心とした地域)、根釧エリア(釧路根室地域)が特に酪農が盛んな地域となっています。

十勝エリア

十勝は、「日本の食料基地」とも呼ばれ、酪農だけでなく畑作も盛んです。北海道の生乳生産量は、全国の生産量の50%以上を占めますが、その中でも十勝は高いシェアを確保しています。

■主要産地の生乳生産量(千トン)

資料:農林水産省「平成25年牛乳乳製品統計」

根釧エリア

耕地面積が北海道の17%(約20万ha)を占めるほど、広大な農地が広がっているエリアです。そのうちの98%が牧草地であり、日本最大の草地型(循環型)酪農地帯として発展しています。

■牧草作付面積(千ha)

資料:農林水産省「平成25年産飼肥料作物の作付(栽培)面積」、
新たな根釧酪農構想検討会議「根釧酪農ビジョン」

市町村別・牛の飼養頭数ランキング

牛の飼養頭数が多い北海道の市町村を、上位10位のランキングにまとめました。やはり十勝エリアと根釧エリアが中心となっています。

1別海町根釧エリア113,469頭
2士幌町十勝エリア69,087頭
3標茶町根釧エリア53,627頭
4清水町十勝エリア49,324頭
5中標津町根釧エリア45,191頭
6新得町十勝エリア34,981頭
7上士幌町十勝エリア30,901頭
8鹿追町十勝エリア30,292頭
9帯広市十勝エリア28,837頭
10大樹町十勝エリア28,302頭
資料:独立行政法人家畜改良センター「市区町村別飼養頭数(平成26年9月末時点) 」

また、1位別海町の人口は14,923人(※1)、2位士幌町の人口は6,132人(※2)、3位標茶町の人口は7675人(※3)となっており、ほとんどの市町村で人口より牛の数が多いという、酪農王国ならではの面白いデータが出ています。

※1 平成30年7月末時点
※2 平成27年10月1日 国勢調査(こくせいちょうさ)速報集計より
※3 平成30年6月末時点

北海道の酪農求人はこちら

牧場比較4つのポイント

POINT1. 経営規模の違い

北海道に限らず、酪農家の規模拡大が進んでいて、生乳生産量が多いメガファーム・ギガファームと呼ばれる牧場の戸数も拡大を続けています。生乳出荷量が1万トンを超えるギガファームは全国に14戸ありますが、そのうちの5戸が北海道の経営体です。(2017年3月時点)
また、北海道には、複数の酪農家による共同経営によって規模を拡大しているメガファームも多いという特徴があります。

酪農家は経営規模によって分類されています

日本の酪農家は家族経営が多いですが、近年は法人経営が増えています。年間の生乳出荷量や飼育頭数で「メガファーム」「ギガファーム」と分類され呼ばれています。

生乳出荷量経産牛※1
メガファーム1000トン以上100頭以上
ギガファーム1万トン以上1000頭以上
※1:経産牛(出産経験のある牛、特に乳を搾る牛のこと)
※メガファーム・ギガファームの明確な定義はありませんが、ホクレンが指すメガファームの基準、一般的なギガファームの基準を示しています。

規模感の違いで違う働き方・学べること

牧場の規模で働き方も違ってくることが多いです。規模が大きいほど企業体制が整い、福利厚生や研修制度が充実している・最新設備が導入されている傾向にありますので、就職先を決める際には大きな魅力になってくるでしょう。

しかし、大規模牧場は役割が分けられて効率化されている場合が多いので、一通りの仕事を経験したい方、特に将来独立就農を考えている方は、小規模な牧場で働きながら学ぶのも良いかもしれません。また、小規模な牧場の方が牛一頭一頭とのふれあいも多くなります。

POINT2.牛舎の違い

酪農経営は、牛の頭数によって牛舎の構造が異なります。牛舎の構造が異なると、牛の飼育方法に違いが出てきます。

繋(つな)ぎ牛舎

牛を同じ場所に繋ぎ留めて飼育する構造の牛舎のことです。乳牛の頭数が少ない場合に採用される構造で、日本の多くの牛舎が、この繋ぎ牛舎です。
一頭一頭が繋がっているので管理がしやすく、少ない労働力、特に家族経営でも管理できるというメリットがあります。

フリーストール・フリーバーン牛舎

牛が自由に歩き回れる構造の牛舎のことです。牛の頭数が多くなると、この構造が採用されます。
繋ぎ牛舎よりも多額の設備投資が必要となりますが、繋ぎ牛舎と同じ面積でより多くの頭数を管理できたり、牛が自由に動けるのでストレスがかかりにくいというメリットがあります。一頭ごとに仕切られているものを「フリーストール」、自由に寝ることができるものを「フリーバーン」といいます。

フリーストール
フリーバーン
引用:公益社団法人中央畜産会
給餌する(餌を与える)部分は共通の構造

給餌する部分はフリーストール・フリーバーン共通の構造です。牛が自ら柵に近づいてきて、柵から顔を出して餌を食べます。

放牧

放牧は、基本は牛舎で飼いつつ、時間帯を決めて牧草地に放し飼いにする形です。
牛が自ら自然の牧草を採食するため、飼養管理や飼料生産の省力化が出来るというメリットがあります。また、放牧は牛のストレスを最大限に抑えることができる飼育方法であるため、動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点でも大きなメリットがあります。

しかし、朝夕の搾乳の為に牛舎に呼び戻すため、牛舎の近くにまとまった放牧地が必要となるので、広大な土地がなければ成り立ちません。そのため、広大な土地がある北海道ならではの飼育スタイルとも言えます。
北海道酪農=放牧、と考える方も多いと思いますが、実は放牧をしている牧場は少ないのが現状です。また、放牧で大規模酪農は難しいので牧場規模も小さく、(大規模牧場は前述のフリーストール・フリーバーンが主流)、そのため求人も少ないです。放牧牧場の求人を見つけたら、ぜひ注目してみてください。

POINT3.搾乳方法の違い

搾乳とは「牛の乳を搾る」酪農家とって、基本となる大事な仕事です。搾乳の方法は搾乳設備や搾乳機器によって異なります。

パイプライン

パイプライン方式は、飼育する頭数が少ない繋ぎ牛舎で主に導入されています。
牛の乳頭にセットして搾乳を行う「ミルカー」という機器を、一頭一頭の牛のもとに持って行って搾乳を行います。一頭一頭の健康状態をしっかり観察できるといったメリットがある一方、腰をかがめての作業や搾乳機械を牛がいるところまで移動させる必要があり、労働者への負担が大きいというデメリットがあります。

ミルキングパーラー

ミルキングパーラー方式は、飼育する頭数が多いフリーストール牛舎で採用されていることが多く、中~大規模牧場で導入されています。
パーラーとは搾乳をする部屋のことで、複数の牛をパーラーに集めて、効率よく搾乳して行く方法です。人の目線の位置に牛の乳が来るような設計になっているので、ミルカ―をセットしやすく、人的負担が軽減されるなどの長所があります。パーラーの種類は大きく2つの違いがあります。

パラレルパーラー

パーラーが縦長で、両サイドに牛を並べて搾乳する方式です。搾乳をする人が真ん中で動き、一頭一頭を搾乳していきます。牧場により、1列に並べる牛の数が変わっていきます。例えば、同時に8頭並ぶパーラーを8頭W(はちとうだぶる)などと言い、8頭×2列なので、同時に16頭を絞ることが可能です。

ロータリーパーラー

円形のパーラーが、牛を乗せて回転する方式です。牛が自らロータリーパーラーに入場し、一周している間に担当者が搾乳を終わらせ、一周し終わったら牛がパーラーを出ていきます。担当者は決められた持ち場で搾乳作業をし続けるので、作業効率が格段にあがります。
ギガファームなどの非常に大規模な牧場で導入しているケースが多いです。

ロボット搾乳

搾乳は、ミルカ―を手作業で乳頭に装着するのが一般的ですが、近年は搾乳ロボットの導入で自動化している酪農家もいます。
牛が自らロボットに入って行き、一頭ごとに大きさや場所が違う乳頭の位置をレーザーが正確に検知し、自動で搾乳機を装着して搾乳します。さらに、牛につけられている首輪やタグとロボットが連動し、絞った生乳のデータから一頭ごとの健康状態等も把握できます。

搾乳時間を無くすことができるので、働く人の肉体的負担・労働時間が大幅な削減など多くのメリットが認められています。そのため、労働者を増やすことなく規模の拡大も実現できます。
数千万単位の投資が必要なので一般的な普及は先になりそうですが、ロボット搾乳の需要は今後ますます増えてくるでしょう。

POINT4.一般的な酪農牧場と専門牧場の違い

酪農牧場は生乳生産=搾乳作業がメインの事業である場合がほとんどですが、乳牛の育成を専門に行う「預託専門」の牧場もあります。
育成牛の預託専門牧場とは、酪農家の方々から子牛を預り、牛乳が搾れる直前(分娩する2ヶ月前)までの約2年間育て上げて酪農家へお返しする牧場のことです。

生乳生産を行う酪農牧場は朝・夕2回の搾乳作業が必要なので、早朝~昼前まで作業し、長時間休憩を挟み、夕方~夜まで再度作業するのですが、預託専門の牧場は搾乳作業が無いため、勤務時間に間延びが無く働きやすいというメリットがあります。

北海道の牧場選びで失敗しないためには?
~『牧場就職のプロ』に相談しよう!~

待遇面や仕事内容など、自分が目指す酪農スタイル雇用条件で牧場を選ぶことが大切です。経営規模や牛舎の違い、搾乳方法の違いなどで牧場を分類することは出来ます。しかし、実際は一つ一つの牧場によって細かい仕事内容や待遇には違いが出てきます。結局は自分の目で見てみなければ分からないことも多いし、職場の雰囲気なども、やはり実際に現地へ行かなければ実感することは難しいです。

これから北海道の牧場へ就職したい方は、移住を伴うケースがほとんどかと思います。引っ越しまでした後に「就職先に失敗した」と後悔しないように、複数の牧場に見学・面接に行って比較検討することをおススメします。

農業求人情報サイト・農業ジョブでは、キャリアアドバイザーがあなたに合った牧場の紹介や、見学や面接の手配も無料でサポートしています。場選びのポイントのほか、北海道の暮らしについての質問など、何でもお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

  • 農業ジョブ 編集部
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