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群馬県で未経験から農業を始めた方の本音インタビュー

未経験から新規就農するにはたくさんのハードルがあり、不安に思う方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。今回は群馬県高崎市で無農薬、無化学肥料栽培に取り組む生産者団体「くらぶち草の会」に所属する農家さんに、群馬県で就農をした理由や家族への説得、新規就農を目指す方へのアドバイスなどを聞いてみました。

くらぶち草の会は、新規就農希望者向けに1~2年間の実地研修を行っている他、独立をした農家で構成された生産者団体としての役割も担っています。
お話を聞いたのは、くらぶち草の会で実際に研修を受け、新規就農をしたこちらの3名です。

なぜ農業の道を選んだのですか?

簾藤さん
東京で会社員をしていた中、「定年まで毎日満員電車に揺られて過ごすのか…?」とふと思ったのがきっかけです。転職を機に今までと違うことを始めたいと考え、農業に興味を持ちました。
妻の助けを借りずに農作業するつもりだったため、就農フェアで出会った多くの地域の方が「夫婦で作業しなきゃ」と口を揃える中、「1人でも大丈夫」という受け入れ先の代表の言葉に背中を押され決意しました。
50歳まで会社員として働いていましたが、雇われの身に不安と、独立事業への憧れを抱いていたタイミングで子どもたちが社会人に。子育ても一段落したので、本格的に動き出すことにしました。
就農準備は退職の1年前からスタートし、知識や資金を蓄えていきました。野菜栽培を選んだ理由は「やりたいこと」と「やれること」を現実的に考えた結果でした。最初は「島でマンゴー栽培!」なんかも考えていましたが、家族に伝えても納得してくれないだろうな…と。
平船さん
秋山さん
「フィールドに出て、体を動かせる学部」だと考え農学部を選んだので、就農は全く考えていませんでした。
就農という選択肢が生まれたのは、大学院に進み、就職先を考え始める時期でした。それでもサラリーマンと天秤にかけている状態で、最終的には同じ農学部出身の妻と相談をして就農を決めました。
私も含め、群馬県にたくさんの新規就農者がいる理由は「市と県の連携がしっかりしているから」だと思います。就農までは群馬県の担当者さんに手厚くサポートしていただいたので、不安な要素も気軽に相談できたし、先輩就農者もたくさんいるので心強かったです。

就農を決意した際、ご家族にどう伝えましたか?

簾藤さん
転職をしたいと前々から妻に話していましたが、農業をやりたいと伝えた時はさすがに「えっ?」と驚かれました。
最終的には現地で直接受け入れ先の雰囲気や暮らす環境を見てもらい、移住を決意してもらいました。妻に農作業をお願いしなかったのも納得してもらえた大きなポイントだと思います。
反対されることは当然分かっていたので、可能な限り準備をしてから話をしました。
家族に伝えたのは収支の見込みや怪我をして仕事ができなくなった時の対策、農業を選ぶまでのプロセスなど。何回かに分けて説明し、じっくり懸念点を解消していきました。
準備は「言われる側の気持ち」を想像しながら進めました。こういった点は会社員の経験が役に立ちましたね。
平船さん
秋山さん
妻も農学部出身のため就農をすることへの理解があり、説得は必要ありませんでした。ただ、農業を仕事にして暮らしていく厳しさは2人とも分かっていたので、「ちゃんと生活ができる農家」になれる地域があれば就農をしようと決めていました。

実際に就農してみて、イメージと違った部分はありましたか?

簾藤さん
作物の状態によって繁忙期やゆったりした時期があるのかな、と考えていましたが、結局1年間ずっと作業に追われる毎日です。自分で栽培計画を立てているので、ある程度は分かってはいたことですが。1人で全ての作業をこなすのは大変だけど、ちょっとしたひらめきや考えをすぐに試すことができるのは本当に楽しいです。
やってみないと分からないことがたくさんありました。いらないものを買ってしまったり、段取りが難しかったり。
農家としての生活で大切なのは取捨選択をすることだと思います。周りの人たちが優しいのでいろいろと助言してくれますが、それらの案を採用するかは自分次第です。取り入れて何かあっても自分の責任ですしね。農業には正解がないので、まずは試して、失敗して、徐々に判断力を身につけていくことが大切だと学びました。
平船さん
秋山さん
もともと農業に興味があるわけではなかったので、あまり夢をもって始めたわけではありませんでした。なので多少大変なことがあっても「まあこんなこともあるよね」と前向きに考えることができていると思います。
ただ、思ったよりも周りの人たちが優しいな、と感じました。「田舎はよそものに厳しい」というイメージを何となく持っていたのですが、地域柄なのか新規就農者に慣れてる方が多く、親身になって接してくれました。

今後の目標を教えてください

簾藤さん
今後は作業時間を減らしつつ、売上と所得を上げていきたいと考えています。毎日日誌をつけることで、次の年に活かせるデータが充実するので、就農の際はぜひ試してみてください。
いかに楽をして稼げるか、にフォーカスをして経営をしていきたいです。どの野菜が高く売れるのか、作業が簡単なのはどの野菜なのか、など。これからが楽しみです。
平船さん
秋山さん
変わらず家族経営を続けていくので、子育てをしながら仕事と生活が両立できる環境を整えていきたいです。子どもはまだ小さいですが、これから成長すると何かと変わってきそうですしね。そういった時に臨機応変に対応できるのも家族経営の利点かな、と思います。

これから就農を目指す方へアドバイスはありますか?

簾藤さん
自分にとってしっくりくる地域を探すことが大切です。土地が決まれば栽培計画を立てられるし、農地は一度決めると簡単には移動できないので。
私は最初に群馬の話を聞いた時に「ここだ!」とすぐに決めてしまいましたが、たくさんの地域を調べて訪問して、皆さんもビビッと来る土地を探してみてほしいです。
とにかく貯金です!いろいろな支援金もありますが、初期費用が何かとかかるのであっという間に無くなります。するべき投資はしっかりしないと、後々やりたいことができなくなっちゃいますしね。
農作業をスタートすることができれば、そこからのランニングコストはあまり発生しないので、最初にしっかり準備をして乗り越えることが大切です。
平船さん
秋山さん
行政や自治体の方に話を聞くことです。普遍的なことはネットで調べられるけど、具体的な話は直接聞かないと分からないことがたくさんあります。
農業は地域ごとの特色や事情の影響が特に強いし、そもそも受け入れを行なっていないかもしれない。いい担当者さんに巡り合えば、就農まで親身にサポートをしてくれるので、いい地域と自分に合う担当者さんを探すのがオススメです。

まとめ

未経験からの新規就農は難しそうに感じますが、入念な準備とサポートを活用することで、これまでもたくさんの方が群馬県で農業デビューをしています。新規就農の入口は多種多様。相談会やネットで情報収集。農業体験への参加や、農家さんのもとで働いて知識を付ける選択肢もあります。
就農を目指す方もまだお悩み中の方も、まずは群馬県で就農体験から始めてみませんか?

くらぶち草の会では、農林中央金庫と協力し、2023年11月15日(水)に就農体験イベントを開催しました。
※本募集は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました!

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