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和牛ってなあに?

料理の評価基準にもなる和牛。その「和牛」を名乗るには厳格な基準があります。
安心・安全な和牛とは何かを見ていきましょう。

しゃぶしゃぶやステーキ、焼肉などなど…。お肉料理が好きな方、多いですよね?テレビや雑誌のグルメコーナーでも頻繁に取り上げられているお肉料理ですが、その中でよく耳にする言葉の1つが「和牛」!「A5ランクの和牛を使用し…」や「稀少な和牛の部位を…」といった謳い文句ももはや常套句のようになっていますよね。スーパーやデパートに買い物にいった際も「和牛」という文字を見かけることが多いのではないでしょうか。
そして、その和牛を見聞きするのと同じくらい存在するのが、「国産牛」です。和牛と国産牛。文字だけ見ればどちらも日本産の牛じゃないの?違いって何?と考える方も多いのではないでしょうか。しかし、和牛=国産牛という訳ではありません!
今回は、安心・安全な牛肉選びの基準にもなっている「和牛」というブランドを名乗るために必要な基準と、「国産牛」との違いをご紹介いたします。

和牛or国産牛?スーパーでも見かけるこの違いとは

和牛≠国産牛

まず、国産牛とは日本国内で一定期間生育された牛全般を指します。後ほど紹介する和牛も同様ですが、どちらも出生地が日本とは限りません。日本国内で3ヶ月以上肥育されている牛や、これまでの肥育期間の中で最も長い期間を国内で肥育されている牛が「国産牛」として扱われます。
国産牛に関して言えば、肥育場所と期間のみに基準が置かれているため、品種や出生地は問われません。生まれが日本でなくとも、日本で定められた環境内で一定期間肥育されていれば、国産牛を名乗れるんですね。

対して、和牛を名乗るためには品種に基準が置かれています。そのため、出生地や肥育場所の指定は存在しませんが、特定の4つの品種のみに限定されており、その定義は厳正を極めています。その4品種とは、「黒毛」・「褐毛」・「無角」・「日本短角種」です。それぞれの特徴については次項にて紹介しますが、いずれの品種も純血個体でなければなりません。
これらの厳選され、食肉用に品種改良が進んだ4種のみが「和牛」として名乗ることができ、国内外問わず人気を博すことができるのです!

和牛に分類される4品種

では、「和牛」として名乗る権利を得ている4品種をそれぞれ紹介いたします。

黒毛和種

和牛と聞いて多くの人が思い浮かぶ品種ではないでしょうか?現在日本で肥育されている和牛の90%以上がこの黒毛和種です。明治時代に外国種と交配し改良され、昭和19年に日本固有の肉用種に指定されました。特徴としては、黒毛の単色で角やひずめまで黒いことです。また、脂肪交雑の面で優れ、脂の風味やきめ細かさに定評があります。

褐毛和種

黒毛和種に次いで多い品種であり、熊本県と高知県で多く肥育されています。元々、赤牛と呼ばれ使役牛として上記の2県で肥育されていた品種が改良され、黒毛和種と同じく昭和19年に日本固有の肉用種に指定されました。地域によって若干体毛の色が異なり、金色やオレンジ色などの褐色が特徴的です。また、脂の含有量が少なく、ヘルシーでまろやかな赤身が堪能できる品種となっています。

日本短角種

東北地方で多く肥育されている品種であり、在来の南部種に外来のショートホーン種を交配し、改良されました。改良が重ねられた結果、昭和32年に日本固有の肉用種に認定されました。濃褐色の毛を有し、赤身の多さ、柔らかい肉質、豊富な栄養素の含有が特徴です。

無角和種

山口県を主産地とした、現在はかなり頭数が減少してしまっている品種です。黒毛和種にアバディーン・アンガス種という外来種を交配し生まれました。黒毛和種、褐毛和種と同様に昭和19年に日本固有の肉用種に認定されました。赤肉を豊富に含むことから、美容や健康の面からも注目されています。

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登記とトレーサビリティ

これまで紹介したように、今日、和牛は限られた4品種のみが認定されています。それゆえに、国内外で人気があることも頷けますし、食す際にも安心できますよね。しかし同時に、それらの限定的な和牛の品種を貴重な資源として守らなければならない、という課題もあります。また、消費者に対して安全・安心を保証し、「和牛」としてのブランドを維持する義務もあります。これらの課題や義務を果たすために、和牛の登記やトレーサビリティといった制度が設けられています。ここでは、和牛というブランドを支える制度を紹介します!

和牛の登記事業

和牛の登録事業は、大正9年から10年にかけて各県で始まりました。今日では、(社)全国和牛登録協会などの家畜登録機関が中心となり、和牛4品種の登録を管理しています。
登録の区分は、生育段階によって分けられていますが、最も重要なのは子牛の時に登録される「子牛登記」となります。それぞれの登録内容について、簡単にご説明いたします。

子牛登記

すべての登録事業の基礎となる記録です。出生後4ヶ月以内に、地域の登記検査委員等が生産地において子牛の登記検査を行います。母牛の登録証明書や授精証明書といった必要書類の確認に加え、個体識別耳標の装着確認や身体的異常の有無の確認が行われ、個体を識別するとともに子牛登記証明書を発行し、品種の証明とします。この記録は、牛の戸籍の管理だけでなく、母牛の繁殖成績としても活用され、「和牛」として消費者からの信用を獲得する根拠となる、大切な証明です。

基礎・本原・高等登録

すべての登録事業の基礎となる記録です。出生後4ヶ月以内に、地域の登記検査委員等が生産地において子牛の登記検査を行います。母牛の登録証明書や授精証明書といった必要書類の確認に加え、個体識別耳標の装着確認や身体的異常の有無の確認が行われ、個体を識別するとともに子牛登記証明書を発行し、品種の証明とします。この記録は、牛の戸籍の管理だけでなく、母牛の繁殖成績としても活用され、「和牛」として消費者からの信用を獲得する根拠となる、大切な証明となります。

【基礎登録】
繁殖牛として必要な基本的資格条件を満たした牛。この中で、極めて能力の高い牛は、高等登録を経て、改良の中核となる場合もあります。

【本原登録】
和牛の改良・増殖を集団的に取り組んでいる地域のベースを構築する牛。改良の基礎となる種牛の供給が主たる役割であり、この中から優れた個体は高等登録へとすすみ、改良の中核的な牛群を構成します。

【高等登録】
ある程度生産に用いられ、具体的な繁殖成績が判明している中で、血統・体型・繁殖成績・産子成績・不良形成に関する5つの資格条件を満たした種牛に対して与えられる最も高次の登録区分。地域や経営の中で、和牛の改良の中核となります。

これらの登録をすることで、証明書が発行され、育種改良の基本的な情報の提供や取引に使用されます。また、家畜登録機関によっては種雄牛の生産能力を計測する検定などを実施していることもあります。

そして、消費者への更なる安心・安全性を保障するため、平成15年12月1日より施行された牛トレーサビリティ法に基づき、子牛登記時に確認される個体識別耳標の装着が義務付けられています。耳標に記された個体識別番号から、消費者は購入した和牛の出生日や出生地、流通経路などの閲覧が可能となり、その情報が「和牛」としての確たる証拠にもなります。

消費者からの信頼される「和牛」というブランド価値を守るために、国・自治体・組織が一丸となって制度作りに取り組んできたんですね。

よく聞く「A5ランク」といった格付けについて

「A5ランク」は美味しさの証明じゃない!?

和牛という言葉と同じくらいテレビなどで耳にするワードが「A5ランク」などの等級ではないでしょうか。A5ランクの牛肉=極上肉の代名詞、つまり最高に美味しい!という印象を持たれる方が多いかもしれません。しかし、この等級は美味しさを表している等級ではないのです!ここでは、和牛も振り分けられているこの等級について解説します。

歩留等級

歩留等級とは、その牛1頭からどれだけの肉が取れるのか、ということを表しています。A、B、Cの3段階で評価され、Aに近づくほど多くの牛肉が取れるということになります。 つまり、「A5」という表記の内、アルファベットの「A」はこの歩留等級を表しており、生産牛としての重要な資質「どれほど市場にお肉を提供できるか」という市場価値を評価しているのです。

肉質等級

対して、数字の「5」は、肉質等級という文字通り肉質の評価値を表しています。この肉質等級の評価項目は4つあり「脂肪交雑」「肉の色沢」「肉の締まりおよびきめ」「脂肪の色沢と質」となっています。それぞれの項目を1~5の等級で評価し、その中で最も低い数値で等級が決定されます。つまり、「5」を冠していれば、この4項目全てにおいて最高評価の5を獲得していることになります。逆に、4項目中3項目が「5」であっても、1項目が「3」であればそのお肉の等級は「3」となってしまうのです。では、この4つの評価基準を見ていきましょう。

肉質等級の4項目

脂肪交雑

お肉の霜降り度合いの評価。脂肪交雑基準(B.M.S)という12段階の基準によって評価され、数値が上がるにつれ、霜降りの度合いが上がります。度合いがかなり多いとされる評価値8~12までが5等級を獲得します。

肉の色沢

肉色と光沢の複合的評価。肉色は牛肉色基準(B.C.S)という7段階の基準によって評価されます。1はオレンジ色に近く、7に近づくことで赤みが増していきます。良い色沢は3~5とされています。また、その色沢の判断に加え、目視による光沢の良し悪しの判定が行われ、両者の複合的判断の結果、等級が決定されます。

肉の締まりおよびきめ

肉眼による締まりときめの判定。目視によって、肉の締まりときめの良さを評価します。締まりがかなり良く、きめもかなり細かいもののみが5の等級を得ることができます。

4脂肪の色沢と質

脂肪色と光沢および質の複合判定。脂肪色は牛脂肪色基準(B.F.S)をもとに7段階によって評価され、1に近いほど白くなります。脂肪の色がきれいとされる1~4の評価を受け、かつ光沢と質がかなり良いものだけが5等級となります。

ここまで牛肉に与えられる等級をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?お気づきになられたかと思いますが、歩留等級にも肉質等級にも味や風味に関する評価基準はないのです!つまり「A5ランク=最高に美味しい」という訳ではないんですね。 しかし、ここで評価される脂肪の質やきめの細かさは、お肉の美味しさに通じる重要な要素でもあり、霜降りの割合が高くツヤのあるお肉は非常に人気が高いため、市場では高値で取引されています。それゆえに、A5ランク=高級=美味しさの証明という印象が広まっているのでしょうね。
和牛の中でも脂肪が少なく、赤身が主体の褐毛和種や日本短角種はA2やA3という評価が多いですが、近年では健康志向の高まりに伴い、A4やA5ランクのお肉に迫る価格の上昇を見せています。牛肉を食べる時、お買い求めの時は、この等級だけでなくそれぞれのもつ特色にも注目してみてください!

まとめ

和牛と国産牛の違い、そして和牛というブランドを守るための取り組みを知っていただけましたか?日本特有の美味しい牛肉は、今や世界中でも求められるほどです。その高い品質を誇る和牛を安定して食卓に提供するために最も大切な存在は、何より生産を担う農場です。 今回の記事を読み、私たちの食に必要不可欠なお肉を生産する農場に興味を持たれた方は、ぜひ自分に合いそうな農場を見つけてみてくださいね!

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この記事を書いた人

  • 農業ジョブ 編集部
  • 農業求人情報サイト「農業ジョブ」編集スタッフ。
    仕事の魅力やそこで働く方たちを日々取材しています。

    日本の農業・林業・漁業を盛り上げるべくさまざまな視点から情報を発信中!
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