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冬に野菜はどう育つ?冬野菜あれこれ

スーパーに行けばいつでも美味しい野菜がある。
冬でも野菜は育っている!

農家さんの一年をなんとなくイメージすると「春に種を植え、夏に育ち、秋に収穫する」、なんて考える人が多いのではないでしょうか?
実りの多い秋を超え、少しずつ寒くなってくると農家さんの仕事は減る。実はそんなことはありません!
寒い時期に欠かせない鍋料理の主役である白菜や水菜、あつあつが嬉しいおでんの大根、みんな大好きカレーのジャガイモや人参は、秋の終わりから冬にかけて旬を迎えます。
むしろ冬からが繁忙期、そんな農家さんも大勢いるのです。

また、八百屋やスーパーに行けばいつでも新鮮な野菜を買うことができます。
例えば春から夏にかけて旬のアスパラガスが、冬だからといって店頭から消えることはまずありませんよね。
それらも全て、農業に携わる方の努力があってこそ成り立っているのです。
それでは冬の野菜についてじっくりと見ていきましょう。

そもそも冬野菜ってなんだろう?

冬の野菜は甘くておいしい!?

そもそも冬野菜は、どうして寒い時期に収穫の最盛期を迎えるのでしょうか?
それはルーツが寒い地域にあるからです。例えば大根のルーツは地中海近辺とされ、ネギのルーツは中央アジアとされています。これはどちらも北海道と同等以上の緯度にある地域であり、元々寒い地域で栽培されていた野菜なのですね。
それを日本で育てようとするならば、冬が旬となるのは自明の理です。

また寒い地域をルーツに持つ野菜には、寒さから自分の身を守るために水分を減らして糖分を増していくという特徴があります。
水分中の糖度が高くなることで凝固点が下がり、野菜は凍りにくくなるのです。ちなみに大根などの地中に埋まっている野菜は、地表に近い方が寒さを感じるため甘くなるのだとか!
またほうれん草は、夏に収穫されるものよりも冬に収穫されるものの方が3倍のビタミンCを含んでいるという研究結果もあります。
厳しい環境の中で育つ野菜は栄養価も高く、たくましく育つのですね。

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冬の野菜は関東で育つ?

冬野菜はどこの地域で多く栽培されているのでしょうか。いくつか具体例を挙げながら見ていきましょう。

まずは大根。東京都中央卸売市場の取扱量第一位は千葉県、第二位は神奈川県です。
先に述べたように、大根のルーツは地中海近辺。千葉と神奈川は同じく海に面した地域です。潮風に負けずに育つという特徴から栽培が盛んになったという経緯があるほか、関東ローム層の赤土層の柔らかい土壌が、地中深く伸びる大根の栽培に適しているという理由もあるようです。同様の理由で、関東圏では冬野菜のネギも盛んに栽培されています。

次に白菜。第一位は茨城県、第二位は長野県です。
冬野菜の代名詞として知られる白菜は実はそこまで寒さに強い性質ではなく、水分量も多いためあまりに寒すぎると中身が凍ってしまうのだとか。
上部をひもで縛るなどの工夫をほどこしながら栽培をするそうで、比較的緯度が低く、かつ日照時間も長い関東平野や那須高原などで盛んに栽培されています。

このように、地理的・地質的要因から冬野菜は関東圏で栽培されていることが多いのですね。

北海道でも冬野菜は育つのか?

北海道でもならではの栽培方法とは?

さて、それでは地域を少し変えて北海道を見ていきましょう。
冬の北海道といえば、一面を雪でおおわれた銀世界をイメージしますよね。そんな環境でも冬野菜は育つのでしょうか?

結論を先に述べると、冬の北海道でも野菜は盛んに栽培されています!みなさんは「雪下野菜」や「越冬野菜」という言葉を聞いたことがありますか?

これらは読んで字のごとく、「雪」の「下」で「冬」を「越」す野菜の生産方法です。
越冬キャベツが有名な北海道和寒町では、この生産方法が生まれたのは偶然の出来事がきっかけだったと言われています。
その昔、豊作で市場価格が暴落し、出荷しきれず残ったキャベツを仕方なく畑に放置したそうです。やがて雪が解けて春を迎えた頃、まだ青々としているキャベツが畑に並んでいるのを見て食べてみたところ、その甘さは普段栽培しているものを大きく上回っていたのだとか。

野菜は寒さを感じると糖度を増す傾向にあります。しかしあまりに寒すぎると凍ってしまう。
雪が覆うことによって寒さを与えながら、凍ることを防ぐ(かまくらと同じ原理ですね)ことに偶然成功したのですね!

他にもジャガイモや白菜、人参なども同じ手法で美味しく育てることに成功しており、雪下野菜・越冬野菜は見事ブランドとして全国的に売り出されているそうです。

北海道の冬野菜生産量

それでは次に北海道の冬野菜生産量を見ていきましょう。
代表的な冬野菜と北海道の生産量ランキングがこちらです。

東京都中央卸売市場取扱量全国ランキング/シェア北海道産の取扱量が多い時期全国の取扱量が多い時期
大根約20,000t3位(シェア約18%)7月~10月11月~3月
ネギ約3,000t7位(シェア約6%)8月~11月9月~1月
白菜約2,500t5位(シェア約2%)9月~10月10月~2月
男爵いも約28,000t1位(シェア約90%)9月~12月9月~12月

先ほど越冬野菜という生産方法の話をしましたが、それは全体で見るとあくまで小規模な話。しかし、大根や白菜、ネギなどの生産量は上位に食い込んでいるところは、流石というべきでしょう。
ちなみに全体的な時期が少し早めになっているのは気候的な要因です。

また、じゃがいもは秋口から収穫を行い、雪下などでの熟成期間を経ての出荷のため時期が冬になっているようです。もちろん冬にお休みをとる北海道の農家さんもいるようですが、一年に渡って栽培をする農家さんも少なくはないのですね!

年中おいしい野菜が食べられる理由はなんだろう?

冬野菜は畑以外でも育っている!

それでは最後に、スーパーに行けば年中おいしい野菜が食べられる理由についてです。

種まきの時期を調節して収穫時期を前倒す、または後ろ倒す

一番オーソドックスな方法がこちらです。足が早いキャベツなどの葉のものは2月~9月頃まで2、3週間おきに種まきをしてシーズンを通して収穫できるようにします。1つの苗から1つしか育たないキャベツやブロッコリーなどは何度かに分けて植える農家さんもいるそうです。

ハウス栽培を行う

ハウス栽培を行えば、温度や湿度などの調節が可能なため、季節を問わず収穫を行うことができます。ハウスで育てられる主な野菜は、レタスなどの葉の物などの作物です。

長期保存、熟成を行ってから出荷する

じゃがいも、人参、ニンニク、キャベツ、南瓜、玉ねぎなどの身体を温めてくれる根菜類などは適温で保存すると1年は持ちます。
また熟成を行ってから出荷することで、味がよくなる野菜もあり、そうした工夫をされている農家さんもいるのだとか!

植物工場にて栽培を行う

植物工場とは、屋内にてLEDなどの人工光と栄養を与え徹底管理し栽培する方法です。生育に効果的な色の光だけを当てる、各種センサーで状況を管理するなど非常にハイテクな栽培方法で、天候に左右されず、無農薬で、都市部で生産した新鮮な状態のものを出荷することができるというメリットがあります。
現在、植物工場を利用した新しい事業に取り組んでいる大手企業も多くあります。しかし、ノウハウが確立されていないほか、コストもかかるため、これからに期待の高まる新しい生産方法です。

まとめ

冬は雪が降るので野菜を栽培している農家さんはお休みなのだろう、と実は私もそう考えていました。
しかし実際は、創意工夫をしながら冬野菜や冬に出荷できる野菜を栽培している農家さんも大勢いらっしゃいます。

お仕事を探される際、こうした知識を持って農業ジョブを見てみると違った視点から面白い発見があるかもしれません。

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この記事を書いた人

  • 農業ジョブ 編集部
  • 農業求人情報サイト「農業ジョブ」編集スタッフ。
    仕事の魅力やそこで働く方たちを日々取材しています。

    日本の農業・林業・漁業を盛り上げるべくさまざまな視点から情報を発信中!
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