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農家の後継者になるには?支援制度や補助金について解説

近年、日本の農業を取り巻く状況は厳しいものになっています。
まずは単純な数の話をすると、日本の農業従事者数は年々減少しています。農林水産省のデータによると、農業従事者は減少傾向が続いており、令和2(2020)年は136万3千人と、平成27(2015)年の175万7千人と比べて22%減少しました。

また、農業従事者の平均年齢は上昇しています。2020年のデータでは、農業従事者の平均年齢は67歳を超えており、高齢化が進んでいます。このため、多くの農家が引退を迎える中で、後継者不足が顕著となっています。

深刻な農業の後継者問題。当サイトは後継者問題の要因、この問題を解決するための様々な制度やテクノロジーについて具体的な事例を交えつつ解説したうえで、この後継者問題を逆手に取った『お得な』農業事業を紹介します。

農業後継者不足問題【3つの原因】

①地方の少子高齢化

少子高齢化により深刻化する農家の後継者問題

日本の農業従事者の平均年齢は高いです。しかし、ボリューム層であった団塊世代(一般的には1940年代後半にかけて生まれた人々を指し現在70代の人々を差す世代)の農家が現在一斉に引退、あるいは引退を考えています。
一方で、合計特殊出生率の低下、都市部への人口の流入等の理由で農村地域の人口減少が進んでおり、若い世代が減少しています。

こうして農家の後継者不足が深刻になっているのです。

例えば、山形県は果樹栽培が盛んな地域ですが、若い世代が都市部に流出し、農業を継ぐ人が少ないため、果樹園が放棄されるケースが増えています。例えば、さくらんぼやぶどうの生産地では、高齢化した農家が後継者を見つけられず、畑を維持するのが困難になっています 。

②収入の不安定性

不安定な収入の農家

後継者が表れない原因の一つとして、農家という仕事の収入が不安定であるからという理由があります。もちろん、自然を相手する第一次産業であるため気候の変化や災害の影響をもろに受けます。
また社会情勢にも影響されやすく、近年のウクライナ情勢の影響から世界単位で物価上昇が進んでいることもあり農作物を育てるための肥料も例外ではなく値上りしています。ものによっては価格が倍増しているものもあります。

安定した職業を求める傾向が強い若者にとっては農業という仕事は魅力的に移ることは少ないのでしょう。

③農業という仕事に対してのマイナスイメージ

農業へのマイナスイメージ

先ほど述べた収入の安定性に加えて、「農業って重労働で過酷そう」「田舎に住むと娯楽が少ない」等の農業という仕事に対するネガティブなイメージが払拭されていない現状もこの後継者不足問題の一つの理由になっています。

詳細な理由は各農村によって様々ではありますが、主な理由としてはどの市町村でもこの三つの要素が当てはまります。もちろん、国や各地方自治体はこの問題を深刻視しているため対応策を打ち出しています。

農業の後継者問題…解決の糸口は?

少子高齢化は農業の範疇では解決しようがありません。そこで後継者不足に悩む農村はIターン、Uターンといった地方移住者に焦点を当ててこの問題を解決しようと試みています。

二つの需要を繋ぐ事業継承マッチングサービス

農家を引退し農地を手放す人が増加しています。一方、「49歳以下の新規就農者」に絞って見ると、実は増加傾向にあるのです!脱サラして地方で農業を始めるという人も近年は少なくないです。

農水省『令和4年新規就農者調査結果』

4. 新規参入者数
新規参入者は3,870人で、前年に比べ1.0%増加した。このうち49歳以下は2,650人で、前年に比べ1.5%減少した。
新規参入した部門別にみると、露地野菜作が1,370人と最も多く、次いで果樹作が700人、施設野菜作が640人となっている。

上の引用を見ると49歳以下の若手新規就農者は増加傾向にあります。
ここに目を付け引退農家と就農事業者を繋ぐマッチング事業が拡大しています。
この事業は双方にとってメリットのあります。

・事業をたたむ際の撤去費用等が掛からない(事業を受け渡す側)

・資本が揃っている状況から事業を開始できる(事業を引き継ぐ側)

リース事業(顧客に対して器具や設備などの物件を長期的に貸し出すサービス)のため農家が手離した農場や牧場をストックしている。自治体も増加しています。以下の記事で紹介されている。
北海道浜中町で酪農を営む渡邉剛さんの例では町のリース事業から牧場を借入れ酪農を始めています。

人手不足を解消する最新の農業テクノロジー

農薬を散布する農業用ドローン

最新の農業テクノロジーは、後継者不足や労働力の問題を解決するために重要な役割を果たしています。

【農業用ドローン】
ドローンを使って作物の健康状態をモニタリングし、病害虫の早期発見や施肥の最適化を図ることができます。例えば、北海道の農家ではドローンを利用して広大な農地を効率的に管理し、収量の向上とコスト削減を実現しています。また、農薬や肥料の散布にも利用され、労働力を大幅に削減します。ドローンによる散布は、高精度で均一に農薬を散布できるため、品質の向上にも役立ちます。

【スマート農業】
畑や温室に設置されたIoTセンサーが、土壌の湿度、温度、栄養状態などのデータをリアルタイムで収集します。これにより、最適な潅水や施肥のタイミングを自動で調整することができます。例えば、千葉県のトマト農家では、IoTセンサーを導入して収量が20%向上した事例があります。

スマート農業に取り組む農業求人一覧はこちら
このような農業テクノロジーは早くも現場で活用され、労働力の削減に寄与しています。

外国人技能実習生による貢献

農業を支える外国人技能実習生

外国人技能実習生は現在、日本の農業を支えています。特に、収穫期や繁忙期には、実習生の存在が農家にとって非常に重要になっています。
農業分野における実習生の受け入れを拡大し、彼らが安心して働ける環境を整備することで、日本の農業の持続可能な発展に寄与することが期待されます。

農業後継者として農業を始める選択肢

後継者不足が深刻化する日本では、以前のように子供が農業を継ぐことが少なくなってきています。
しかし、事業継承マッチング制度の拡充により今では引退する農家から経営基盤を譲り受けて農業を開始するという事例が増えてきています。

メリット

農地の取得や農業機械への投資など就農前に解決すべき問題を一気に解決することが可能です。
一般的に、新しく農業を始めるにあたって用意する資金の平均金額は570万円といわれています。この費用を節約して新しく事業を始めることができる選択肢は他にはないのではないでしょうか。
また、顧客も同時に引き継ぐことができるため坂路の確保できる点も大きなメリットの一つと言えるでしょう。

新規就農者への補助金

農地や農業機械を譲り受けることができるのに加えて、新規就農者は認定新規就農者制度や各市町村から補助金を受け取ることが可能です。
例えば、認定新規就農者制度では就農直後(3年以内)の所得を確保する資金(年間最大150万円)を得ることができます。

経営基盤を受け継いだうえで補助金も受けることができるので新規就農者は安心して事業を開始できます。

まとめ

日本農業は現在、深刻な後継者不足に悩まされています。
少子高齢化、農業に対するネガティブなイメージなどの要因がある中で事業継承のマッチングや最新技術、海外からの労働力といった現実的に可能な解決策によって少しづつ解決への兆しが見えてきています。
後継者として働くための制度、機会は拡大しています。新規就農を検討している方は後継者として事業を引き継ぐのも一つの手であるかもしれません。
農業ジョブでは、後継者不足に悩む農家の求人情報を多数掲載しています。
人気の寮・社宅完備や、未経験OKの募集も多数掲載しておりますので気になる方は農業求人一覧をご覧ください。

よくある質問

高齢化、都市部への人口流出、収入の不安定さが主な理由となっています。

政府や自治体が新規就農者に対して資金援助や研修プログラムを提供しています。 また、農業高校や専門学校、大学での農業教育を充実させ、若者に農業の魅力を伝える農業教育も行っています。ICTやスマート農業の導入も拡大しています。

農繁期の人手不足を補い、安定した農業生産を支えています。

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この記事を書いた人

  • 農業ジョブ 編集部
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