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雇用就農とは?独立就農との違いと、農業法人で働いて農業を始める6つのメリット

農業を始める方法は「独立」だけじゃない。農業法人に就職して農業を仕事にする「雇用就農」という選択肢

「いつか農業を仕事にしたい」。そう考えたとき、自分で農地を借りて、機械をそろえて、農家として独立する姿を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。そして、お金や技術、土地のことを考えて、一歩を踏み出せずにいるかもしれません。

実は、農業の始め方は独立だけではありません。農業を営む会社の社員やスタッフになって働く「雇用就農」という方法があります。この記事では、雇用就農の仕組みやメリット、独立就農との違い、その先のキャリアまでをわかりやすく紹介します。

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農業の始め方は大きく3つ

農林水産省の「新規就農者調査」では、新たに農業を始めた人を次の3つに分けています。

・新規自営農業就農者:農家の世帯員で、学業やほかの仕事から、主に自家の農業に従事するようになった人
・新規雇用就農者:農業法人などに常雇い(年間7か月以上)として新たに雇われ、農業に従事するようになった人(雇用就農)
・新規参入者:土地や資金を自分で調達して、新たに農業経営を始めた人(独立就農)

実家が農家でない場合、選択肢になるのは主に「雇用就農」と「独立就農」の2つです。

雇用就農で農業を始める人は、独立する人の約3倍

令和7年の新規就農者調査によると、令和7年2月から令和8年1月までの1年間に新たに雇用就農した人は1万250人。これに対し、独立して農業経営を始めた新規参入者は3,360人でした。農業を始める人のうち、雇用就農を選ぶ人は独立する人の約3倍にのぼります。

さらに、49歳以下で新たに農業を始めた人(1万4,410人)に限ってみると、そのうち7,030人、およそ半数が雇用就農という形で農業の世界に入っています。雇用就農は、いまや農業の入り口として大きな役割を担っているのです。

出典:農林水産省「令和7年新規就農者調査結果」(令和8年8月公表)

雇用就農とは?どこで、どんな仕事をするの?

雇用就農の代表的な就職先が、農業法人です。株式会社や農事組合法人などの法人の形で農業を営む事業体で、野菜や果物、米、花、きのこ、畜産など、扱う品目はさまざまです。2025年農林業センサス(確定値)によると、農業経営体全体の数が5年前より22.3%減る中で、法人経営体は約3万4千と、5年前より10.1%増えています。

仕事内容は、種まきや植え付け、栽培管理、収穫といった現場の作業が中心です。職場によっては、出荷の準備や加工、販売、農業機械の操作、スタッフのとりまとめなど、農業経営に関わる幅広い仕事を経験できることもあります。農業法人については農業法人とは?法人化するメリット、デメリットや手続きについて解説します!で詳しく紹介しています。

独立就農のハードルは「農地」と「資金」

自分の農業経営を持つ独立就農は、大きなやりがいのある道です。一方で、始めるまでに越えなければならない壁もあります。

全国農業会議所が独立就農した人などを対象に行った調査(令和6年度 新規就農者の就農実態に関する調査)では、新規参入者が就農時に苦労したこととして、「農地の確保」「資金の確保」「営農技術の習得」「住宅の確保」が上位にあがっています。農地を探し、機械や施設をそろえ、技術を身につけ、販売先を見つける。これらを一人で同時に進めるのは、簡単なことではありません。

独立就農の準備については新規就農に必要な4つのもので詳しく紹介しています。

雇用就農の6つのメリット

雇用就農なら、独立就農のハードルの多くを避けながら農業を仕事にできます。主なメリットを見ていきましょう。

1. 農地や機械を用意しなくても始められる

農地や機械、ハウスなどの設備は職場が用意しているため、まとまった資金がなくても農業の仕事に就けるのが最大の特徴です。独立に向けて土地探しや資金集めに時間をかける前に、まずは農業の現場に立つことができます。

2. 毎月の給与で生活の土台をつくれる

独立就農では、作物を育てて売上が立つまで収入が得られない期間があり、天候や相場によって収入が大きく変わることもあります。雇用就農なら、働いた分の給与を毎月受け取れるため、生活の見通しを立てながら農業に取り組めます。

3. 現場で実践的な技術を身につけられる

農業の技術は、本や動画だけではなかなか身につきません。雇用就農では、経験を積んだ先輩スタッフと一緒に働きながら、実際の畑やハウスで、季節ごとの作業を一つひとつ覚えていくことができます。研修制度やマニュアルを整えている職場もあります。

4. 農業経営を内側から見られる

どの作物をどれだけ作り、どこに売り、どうやって利益を出しているのか。農業法人で働くと、栽培だけでなく、販売や人の管理を含めた「経営としての農業」を間近で見ることができます。これは、将来独立を考える場合にも大きな財産になります。

5. 給与や休日などの条件が契約で明確になる

雇用されて働く場合、給与や勤務時間、休日などの条件は、働き始める前に書面などで示されます。また、法人で働く場合は、一定の条件を満たせば健康保険・厚生年金の対象になります。働く条件があらかじめわかったうえで農業を始められるのは安心材料のひとつです。なお、農業は労働基準法の労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されない業種のため、休日数などは求人票や契約内容でよく確認しましょう。くわしくは農業に就職。知っておきたい労働基準で紹介しています。

6. 自分に合う農業を見極められる

実際に働いてみると、「思っていたより体力が必要だった」「この作物の仕事が性に合っている」など、やってみて初めてわかることがたくさんあります。いきなり大きな投資をする前に、どんな作物、どんな地域、どんな働き方が自分に合っているのかを確かめられるのも、雇用就農ならではの良さです。

国も雇用就農を後押ししている

農林水産省には、就農を希望する49歳以下の人を新たに雇用する農業法人などに資金を交付する「雇用就農資金」という制度があります(このほかにも交付の要件があります)。この制度には「雇用就農者育成・独立支援タイプ」という区分もあり、人を受け入れて育てる側を国が支えることで、雇用就農という入り口を後押ししています。

雇用就農を選ぶ前に知っておきたいこと

メリットの多い雇用就農ですが、事前に知っておきたい点もあります。

・作るものや進め方は職場の方針による:何をどのように育てるかは、基本的に会社が決めます。自分のアイデアを試したい場合は、提案できる環境かどうかを見ておきましょう
・条件は職場によって大きく異なる:給与や休日、研修制度、住まいのサポートなどは法人ごとにさまざまです
・独立を考えているなら、事前に伝えておく:将来の独立を応援してくれる職場もあれば、長く働いてくれる人を求めている職場もあります。面接などで方針を確認しておくと、入社後のすれ違いを防げます

農業法人を選ぶときの視点(組織の規模や勤務地、独立支援の有無など)は【農業界で就職活動】基本情報を集めてキャリアプランを作ろうで、職場選びで確認したいポイントは農業正社員の仕事は本当にきつい?実態と向いている人を解説でも紹介しています。

雇用就農のその先は?広がるキャリアの道

雇用就農は、「独立までのつなぎ」だけではありません。その後のキャリアには、さまざまな道があります。

農業法人で長く働き、責任ある立場を目指す

経験を積んで、農場の責任者や生産管理、販売の担当、経営幹部などを目指す道があります。規模の大きな法人では、栽培以外にも活躍の場が広がっています。資格を取って仕事の幅を広げる方法は農業で収入を上げるには?資格手当・昇給につながる資格の選び方で紹介しています。

経験を積んでから独立する

働きながら技術や経営の知識を身につけ、地域の人とのつながりをつくってから独立する道もあります。農業法人の中には、独立を目指す人を受け入れて支援しているところもあります。独立するときに使える支援制度は農業で使える補助金・助成金まとめで紹介しています。

雇用就農を始めるための4ステップ

STEP1 興味のある作物や地域を考える
野菜、果樹、畜産など、どんな農業に関わりたいか、どの地域で暮らしたいかをざっくり考えてみましょう。最初から一つに絞る必要はありません。

STEP2 農業体験や見学で現場を知る
短期の農業体験や職場見学に参加すると、仕事の内容や職場の雰囲気が具体的にわかります。農業体験については農業体験の魅力とは?で紹介しています。

STEP3 求人を探して条件を比べる
給与や休日だけでなく、研修制度や住まいのサポート、将来のキャリアの考え方なども比べてみましょう。

STEP4 応募・面接
応募書類の準備から入社までの流れは農業法人へ就職するためには?で詳しく紹介しています。

実際に雇用就農した人の声は農業の未来を担う新規雇用就農者インタビューでも読むことができます。

まとめ:雇用就農は、農業を仕事にする現実的な第一歩

農業を仕事にする方法は、独立だけではありません。雇用就農なら、農地や資金を用意しなくても、給与を受け取りながら技術と経験を積むことができます。実際に、近年は毎年1万人前後が雇用就農という形で農業の世界に入っています。

そのまま農業法人で活躍するのも、経験を積んで独立するのも、すべては最初の一歩から。「どんな職場が自分に合うのかわからない」「まずは話を聞いてみたい」という人は、農業の仕事探しにくわしいキャリアアドバイザーに相談してみませんか?

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この記事を書いた人

  • 農業ジョブ 編集部
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