肉牛とは?酪農とは何が違うの?その仕事内容を解説します!
肉牛とは
概要(業種の基本情報)
乳や肉などを生産するために動物を飼育することを畜産といい、畜産で飼われる動物の中で、肉を生産するために飼われる牛を肉牛といいます。 肉牛の生産では一般的に、母牛に子牛を生ませ、その子牛を育てる「繁殖」と、市場で買った子牛を大きく育てる「肥育」の二つの工程に分かれており、それぞれを専門で行う牧場もあれば、両方を一貫して行う牧場もあります。酪農と同じ牛を飼う仕事ですが、肉牛の生産では酪農のような毎日の搾乳作業が無いなど、仕事のスタイルは異なります。牛の種類としては、黒毛和種、褐毛和種、無角和種、日本短角種、ホルスタイン種、交雑種などがあります。
生産物例、業界相関図
肉牛生産では、一般的に母牛に子牛を生ませ、その子牛を育てる「繁殖牧場」と、市場で買った子牛を大きく育てる「肥育牧場」の二つで生産工程が分かれます。企業経営の大規模牧場などでは、この繁殖と肥育の両方を一貫して行っている事業体もあります。繁殖牧場で生まれた子牛は、「素牛(もとうし)」と呼ばれる、生後6ヶ月~12ヶ月の肥育前の段階まで育成されます。そこで、素牛市場を経由するなどして肥育牧場に移されます。その後、牛は「肥育牛」として肥育牧場で肥育され、生後2年半から3年程で出荷されます。出荷後は、一般的に家畜市場、と畜場を経て枝肉となり、卸売市場、食肉加工業者などを経て量販店や肉屋などの小売店や飲食店に販売されます。
肉牛生産の仕事
肉牛生産の年間スケジュール(例)素牛
繁殖牧場では繁殖・育成・出荷、肥育牧場では肥育牛の飼養管理・出荷が主な仕事となります。牧草の自社生産を行う場合、春~夏頃に牧草の収穫の仕事がこれに加わります。肉牛の生産は他の酪農などの畜産業種と同様、動物相手の仕事となるため、一年365日休みはありません。そのためシフト制などを導入し、交代で休みを取るケースが多くあります。
肉牛生産の1日の仕事の流れ(例)
07:30~12:30 牛の状態観察、給餌、牛舎管理
12:30~14:30 休憩
14:30~18:30 給餌、治療、牛の状態観察
肉牛にはこんな仕事がある
仕事の種類
繁殖
肉牛の生産において、繁殖は牧場の経営を左右するともいえる重要な仕事です。確実に子牛を出産させることが求められる繁殖経営では、発情を見逃してしまうと、次の出産までの間隔が伸びてしまい、生産効率が悪くなってしまいます。そのため、牛の発情を見逃さないための日々の観察や、専門の獣医師等との連携、ITの活用など、さまざまな取り組みが行われています。一般的な繁殖牧場では、人工授精による種付けが行われます。これは獣医師や人工授精士等が行うケースもありますが、自社のスタッフが行う場合もあります。
子牛の哺育・育成
健康な素牛に成長させるため、子牛の哺乳や育成を行います。繁殖のみを行う牧場では、素牛市場でどれだけ高く牛が競り落とされるかが経営を左右するため、日々の体調のチェックや餌の配合などに特に気を配ります。
肥育
素牛を大きな肉牛に育てる工程が肥育です。最初は 粗飼料(生草、乾草、わら類等)を多めに与え、徐々により栄養価の高い配合飼料を増やしていく手法が一般的です。牛の生育段階や体調に合わせた飼料の配合が、肥育における重要なポイントとなります。
牧草収穫
自社で牧草を生産している事業体では、牧草の収穫も重要な仕事です。北海道などの大規模な敷地を有する牧場では、大型トラクターなどの機械を用いたダイナミックな農業がおこなわれます。
肉牛の仕事のやりがい・働く魅力
自然の多い環境で動物を相手に仕事ができる
北海道など、肉牛生産牧場は周りに自然の多い環境にあることが多いため、自然の中で働きたいという方には魅力的な環境です。また、主に牛を育てる仕事のため、動物が好きな方にとっても魅力的な仕事と言えます。
他業種の方も慣れやすい勤務時間
同じく牛を飼う仕事である酪農は早朝や夜の搾乳作業があるため、朝と夜がメインとなることが多いのに対し、肉牛の繁殖や育成の仕事では、基本的には朝~夕方の通し勤務です。なお、夜間の分娩等に対応できるよう夜のシフトがある牧場もあります。
まとめ
畜産で飼われる動物の中で、肉を生産するために飼われる牛を肉牛といいます。母牛に子牛を生ませ、その子牛を育てる「繁殖」と、市場で買った子牛を大きく育てる「肥育」の二つの工程に分かれています。牛をおいしく育てるためには健康管理、食事管理が不可欠であり、経験と知識が必要とされます。肉業の生産は日本の食卓を支える重要は仕事の一つです。
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肉牛のQ&A
- 肉牛とは?
- 畜産で飼われる動物の中で、肉を生産するために飼われる牛を肉牛といいます。 肉牛の生産では一般的に、母牛に子牛を生ませ、その子牛を育てる「繁殖」と、市場で買った子牛を大きく育てる「肥育」の二つの工程に分かれており、それぞれを専門で行う牧場もあれば、両方を一貫して行う牧場もあります。
- どんな人が向いていますか
- 牛を育てる仕事ですので、動物が好きな方や牛が好きな方に向いているでしょう。また、牛のちょっとした体調の変化等に気づく事が大切ですので、日々の決まった仕事をこなしながらも、周りへの気配りができる方には向いているでしょう。
- どんなキャリアが積めますか?
- 最初は法人や個人の牧場へ就職する事が最も一般的です。就職後は、経験を積んで農場長や経営幹部を目指すという道があります。肉牛に限らず、畜産は設備投資に多額の費用がかかるため、独立のハードルは非常に高い傾向にありますが、廃業した牧場施設を借りたり譲り受けたりして独立するケースや、経営を継承するかたちで独立するケースがあります。
- 長期休暇はとれますか?
- 毎日牛の世話が必要な仕事ですので、基本的にはシフト制で休日を取得するケースが多く、従業員の人数が少ない場合は長期の休暇は取りにくい傾向にあります。規模が大きく、従業員の多い事業体では、長期の休暇が取得しやすいケースもあります。
- 体力面が心配。女性でもできますか?
- 飼料の袋を運んだりと、ある程度の体力が必要な場合もありますが、機械化によって省力化が進んでいる牧場も多く、女性の活躍も多い業界です。
- 未経験でも働けますか?
- 獣医や人工授精士など、専門職の募集でなければ経験については問われないケースがほとんどです。未経験から肉牛牧場での仕事をはじめられた方も多くいます。