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農業マーケティングの今

農業マーケティングの今
~新しい流通ルートで儲かる農業へ~

近年は、鮮度や品質を維持して消費者に農産物が供給される、最適な流通ルートが増えています。流通の変化によってさまざまなマーケティング活動が可能となり、“稼げる農業”が実現されています。
また、農業マーケティングに関する本が多く出版されたり、セミナー・勉強会などのイベントが開催されたりもしています。農業マーケティング戦略は、農業従事者はもちろん起業家にも注目されています。
農業は農産物の生産活動における熟練の技術や知識に加え、それを生かす新しい発想により多くのビジネスチャンスが生まれているのです。

従来の農産物流通のしくみ

農産物は、農家から農協などの出荷団体、卸売市場、仲卸業者、小売業者を経て消費者に届きます。卸売市場を経て流通しているのは、野菜類の約76%、くだもの類の約47%とされます。
しかし、この流通ルートでは生産者から消費者にたどり着くまでに多くの事業者が関わっているため、中間マージンが高くなってしまうというデメリットがあります。各ステップで手数料等が引かれ、生産者が得られる収入が少なくなってしまうのです。

また、生産者は自分で作った農産物の価格決定権がなく多くの生産コストがかかったとしても、それを考慮した価格になるとは限りません。そのため「コストを気にせずこだわりの農産物を生産する」ということは簡単なことではありません。

流通ルート拡大!直接販売拡大でWin-Win

近年は農産物の流通ルートが多様化しています。農業にもマーケティングが必要であり、農産物を「JAにおろして終わり」ではありません。
卸売市場を経由せず、流通ルートを簡素化して利益を増やす農家や農業法人が増えています。さらに、顧客との密着を図り顧客ニーズを把握することで、ニーズにマッチした農産物を生産・販売できます。

消費者にとっても、生産者の「顔が見える」という安心感が得られるほか、新鮮でおいしい農産物が購入できるので多くのメリットがあります。収入が増えるというだけでなく、“顔の見える”形で生活者に届き支持されることは、生産者にとってもたくさんのメリットがあります。

産直通販

ネット通販をはじめとする、通信販売で農産物を売る方法です。ネット販売を行うためWEBサイトを開設したり、大手のネットショップ・オンラインモールに登録したり、さまざまな方法でネット販売を行ったりしている農家が多くなっています。低予算、少ない予算で始められるというメリットがありますが、ネットショップは多くあり、競合が多いというデメリットもあるでしょう。とはいえ、全国に販路を拡大できる大きなチャンスを作れる方法として多くの生産者が挑戦しています。

小売業者へ契約出荷

小売業者と直接契約し、出荷する方法です。市場出荷の場合、取引価格が日常的に変動しているため収入が安定しにくいのですが、契約出荷の場合は、契約時に出荷する品目や数量、価格などが決まるため、収入が安定しやすいというメリットがあります。収穫した野菜をそのままスーパーや百貨店などで「新鮮野菜」「朝採り野菜」などと販売しているケースもあります。

生産した大半の野菜を契約先に出荷している農業法人も多いです。新鮮な野菜を販売できることから、リピート顧客獲得・ブランド化にもつながり、多くのメリットが期待できます。

直売所・道の駅

近年、直売所・道の駅は「鮮度の高く、美味しいものを安く買える」として周辺住民や観光客から注目を集めています。中には農家が独自に直売所を運営しているケースも。直売所・道の駅では、価格を自分で設定して販売できます。出店手数料が安いため、小売店などと比べて販売額から差し引かれる費用の割合が低く、利益率が高いというメリットがあります。

しかし小売店とは異なり、全量を買い取ってもらえるわけではないため売れ残りを引き取る必要があり、売れるようにするための工夫も必要です。直売所や道の駅は、農家の収入増はもちろん、地域の活性化などさまざまな機能が求められていることから、農産物の販売だけでなくさらなるビジネスチャンスを見出せるかもしれません。

スーパー・コンビニなどで直売

近年は、スーパーやコンビニの一角に地元野菜の売り場(直売コーナー)が設けられているケースが増えています。農家が持ち込んだ地元の新鮮な野菜が並んでいるため、身近なお店で手軽に新鮮な野菜を購入できるとして、多くの人に喜ばれています。

売り場に限りがあるため、陳列できる量は限られますが、持ち込む農作物や量の取り決めがない場合が多く、出荷しやすいというメリットがあります。高級志向のスーパーでは、価格よりも鮮度や安全性を重視する顧客が多く集まるため、ニーズが高まっています。

レストランへ直売

近年は、自家生産した食材や提携農家が生産した食材、地域の食材を使用している「農家レストラン」が増えています。また、農家レストランと謳っていない飲食店でも、食材にこだわるお店が多くなっていて、それがウリにもなっています。特に、有機栽培や自然栽培で作られた食材は需要が高まっています。

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民間企業のプラットフォーム

農産物を市場に出荷するよりも、市場外で取引を行った方が、多くの収入を得られるのは確かですが、取引先を確保することは簡単なことではありません。直売できる数量が限られている場合もあります。 しかし、近年は民間企業が間に立って、農産物を集荷してもらい、企業が提携している販売先に直送してもらえるサービスも登場しています。

都市部スーパーの直売コーナーをはじめ、全国の直売所など販路を拡大でき、取引をすべて行ってもらえることから、市場よりも高く販売できて収入を増やせるだけでなく、より良い農産物の生産に集中できるというのは大きなメリットでしょう。

直接販売拡大によるさらなるメリット

直接販売の拡大は、生産者の収入を増やすというメリットだけでなく、高品質で安心・安全な農作物の提供によって顧客から支持されたり、それによってやりがいを感じたり、多くのメリットがあります。しかしそれだけでなく、地域で採れた農産物を知ってもらうことにより、次に紹介するようなさらなるメリットも生まれています。

農家レストラン・体験農場併設など経営規模の拡大

農場にレストランや体験農場を併設し、美味しく安全な農産物を使った料理を提供したり、実際に収穫してもらったり、育てた農産物をウリとした新たなビジネスも生み出します。

地域の活性化

かつては農村から出荷された農産物が都市部で販売される流れしかありませんでしたが、近年は都市部の人が農村の直売所・道の駅を訪れ、購入する流れもできています。そして地域内外の交流が新しい産業の創出や観光の活性化にもつながり、さらには雇用が生まれ、賑わいを取り戻す効果なども生み出しています。

新規作物の試験販売

直接販売はどのような農作物が売れているのかがわかりやすく、消費者の声を取り込めます。新規作物の試験販売へのハードルが高くありませんし、情報収集によりどこにどのように出荷したらより多くの収入を得られるのか、経営のヒントもみつかるでしょう。

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この記事を書いた人

  • 農業ジョブ 編集部
  • 農業求人情報サイト「農業ジョブ」編集スタッフ。
    仕事の魅力やそこで働く方たちを日々取材しています。

    日本の農業・林業・漁業を盛り上げるべくさまざまな視点から情報を発信中!
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