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『厩務員』になるには?どんな仕事をするの?気になる年収は?

近年の競馬業界はかつてないほどの盛り上がりを見せています。
昨年度、G1を六連勝し世間を席巻したイクイノックスや一つの社会現象となった『ウマ娘』などの影響で競馬の市場規模はオグリキャップなどが活躍した1990年代の最盛期に届く勢いで拡大を続けています。

このブームの中で馬にかかわる仕事への世間の関心が高まってきています。
その中でも最も注目を集めてきているのが『厩務員』です。
皆さんこの漢字、どう読むのかご存じでしょうか?

厩務員 漢字

『厩務員』
「この漢字最近よく見るけどどうやって読むんだろう」と疑問に思う方もいるでしょう。
これは厩務員(きゅうむいん)と読みます。「厩(うまや)に務める」と漢字を崩してみるとその成り立ちがよくわかります。

当サイトではこの『厩務員』について仕事内容や気になる年収などについて詳しく解説します!

厩務員とは

厩務員の過ごす一日

厩務員(きゅうむいん)は競馬において馬の世話をする専門のスタッフです。厩務員の仕事は多岐にわたり、馬の健康管理やトレーニング、厩舎(馬小屋)の管理などを担当します。つまりは競走馬のお世話をする仕事であり、馬が健康に速く走ることができるように育てるということが仕事の中心になります。
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厩務員と調教師は何が違う?

厩務員と並んで挙げられることの多い調教師ですが、厩務員とはいったい何が違うのでしょうか?
厩務員は馬の日常的なケアや健康管理を担当し、馬と直接的に接する時間が多い職務です。一方で、調教師は競走馬のトレーニング計画の立案・実行、レースの選択、馬主とのコミュニケーションなど、より広範な管理・戦略的な役割を担います。

厩務員は調教師の下で働くことがほとんどであり、一般の認識になぞらえると調教師は社長、厩務員は社員といえるでしょう。

厩務員の年収は?

厩務員の平均年収は400万円ほどです。それに加えて自身の携えわった馬がレースで勝つとその賞金の数パーセントを受取れる場合もあります。またJRAの厩務員になると年収は800万円ほどになり、1000万円を超えるような厩務員も存在します。

厩務員の仕事

【馬の世話】

馬の衣食住の世話をするのが主な仕事になります。

馬をブラッシング

:馬の体をブラッシングし洗うことで馬を清潔に保ちます。馬体の美しさ、健康さは当日のオッズにも影響にするので馬の身だしなみを整えることは大切な仕事の一つです。
また蹄を走りやすい形に整える削蹄を行います。蹄は走るために最も重要な器官、蹄の病気ゆえに引退、あるいはデビューできなくなってしまう競走馬は非常に多いです。厩務員は最新の注意を払って、蹄のケアを行います。

飼い葉を与える厩務員

:馬のコンディション、今後のレースローテを考慮して馬に飼い葉と呼ばれる餌を与えます。飼い葉とは濃厚飼料、粗飼料、サプリメント等の補助飼料、またはそれらを組み合わせたものになります。
成長期の馬には馬体を大きくして丈夫にするための配合をしたり、本格化を迎えた競走馬には体調を崩しにくいような配合をしたりするなどして競走馬のベストなコンディションを維持します。

馬房を清掃する厩務員


:馬房の清掃、放牧地の管理をします。馬の住む厩舎を清掃し、衛生的な環境を維持しなければ馬が快適に睡眠をとれなくなってしまいます。競走馬によっては狭いところが苦手な馬もいます。馬房を旋回してけがをしてしまうことも珍しくありません。厩務員はそのようなけがを防ぐためにも競走馬の快適な睡眠をサポートします。

【健康管理】

馬の健康状態を日々観察し、異常があれば獣医に報告します。毛並みや食欲、体温等から馬の以上を察知します。このためには知識と長年の経験に裏打ちされた観察眼が必要とされます。
レースや調教を行う際に馬の目に土埃が入り角膜炎になることがあります。厩務員は定期的に目薬をさして目の炎症を防ぎます。

【トレーニング】

調教師の指示のもと競走馬のトレーニングを行います。出走予定のレースに応じたトレーニング内容をこなします。坂路と呼ばれる傾斜のきついコースを走らせ脚力を増幅させたり、心肺機能や筋力をつけるためにプールでのトレーニングを行うなどその種類は様々です。

【競馬場での仕事】

レース当日に厩舎からレース場に馬を移動させて現地で上で述べたような馬の世話を行います。
警戒心の強い生き物である馬は見覚えのない人間に囲まれると調子を乱すことも少なくありません。そこで長期間面倒を見て信頼関係を築いた厩務員が一緒に行くことで、馬をリラックスさせレース本番に備えます。

厩務員のスケジュール

4:00 – 6:00出勤、厩舎の開門、馬の健康チェック
6:00 – 7:00朝の餌やりと水やり
7:00 – 9:00馬の手入れ(ブラッシング、蹄の掃除)
9:00 – 11:00馬の運動(放牧や調教)
11:00 – 12:00馬房の清掃、飼い葉桶や水桶の洗浄
12:00 – 13:00昼食休憩
13:00 – 15:00午後の運動や調教の補助
15:00 – 16:00馬の手入れ(再度ブラッシングや体調チェック)
16:00 – 17:00夕方の餌やりと水やり
17:00 – 18:00馬房の点検、馬の夜間準備
18:00 – 19:00厩舎の閉門準備、最終チェック
厩務員の一日のスケジュール一例

生き物の世話をする仕事であるため、競走馬中心のスケジュールが組まれます。
もちろんこのスケジュール通りに仕事が行われるわけではなく、馬の非常時にはどの時間帯であっても対応しなければなりません。

どんなひとが向いているのか

馬のお世話や体調管理は、毎日欠かさず必要となります。そして、厩務員の仕事が馬のコンディションに影響し、馬の不調や異変に気付いて適切に対応してあげる必要があります。
そのため、毎日欠かさずお世話を続ける責任感、馬の変化にいち早く気付ける観察力はもちろんのこと馬への愛情は必要不可欠でしょう。

厩務員になるには

厩務員になるには

厩務員には地方競馬の厩務員とJRAの厩務員の二つに大別されます。
まずは地方競馬の厩務員になるためのプロセスを紹介します。
実は地方競馬の厩務員になるために必要なことは厩舎を運営する調教師との地方契約、各競馬場主催者の認定の二つであり、資格や試験は必要ではないのです。もちろん、生き物を扱うための大切な雇用契約を結ぶわけですから全くの未経験者が飛び込みで行くのには不安があります。
しかし、それぞれの厩舎で研修制度が設けられているので競馬学校を卒業していない人でも厩務員になることができます。

JRA厩務員

JRA厩務員とは?普通の厩務員とは何が違うの?

まずJRA厩務員はJRAが運営する中央競馬に所属します。
JRA競馬学校の厩務員課程を受験し合格し、その後JRA競馬学校の厩務員課程(6か月間)の厩務員課程を卒業する必要があります。
また応募資格として「28歳未満であること」「体重が60kg以下(または65kg以下)」「健康であること」「中学卒業以上の学歴があること」そして「乗馬経験と競走馬の育成経験がそれぞれ一年以上」が求められます。

非常に狭き門であり、受験倍率は10倍以上とまで言われています。
しかし、その分年収や福利厚生は好待遇となっています。年収は高い人では800万円と非常に高い水準となっています。また調教師になるためには厩務員として働くことが必要不可欠であり、未来のキャリアのために働く人も多いです。

【コラム】引退場を受け入れる養老牧場

レースから離れた引退馬の余生の多くはあまり明るいものではありません。そのコストの高さから食肉として売りに出される馬が多いです。そんな中でこうした引退馬を引き取り、余生を穏やかに過ごしてもらうため養老牧場が存在します。
認定NPO法人引退馬協会が運営する『フォスターペアレント』では一口4000円、0.5口からの支援を募り引退馬を養う活動を行っています。レースに出走する競走馬だけに目が行きがちですが、引退馬の面倒を見るのも大切な厩務員の仕事の一つです。
認定NPO法人引退馬協会『フォスターペアレント』

まとめ

厩務員の仕事や年収について調べるとこの仕事の大変さがわかると思います。
生半可な気持ちではうまくいかない、馬への愛情が必須なやりがいのある職業といえるでしょう。
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厩務員(きゅうむいん)と読みます

地方競馬の厩務員になる場合調教師と雇用契約を結ぶ必要があります。この際試験や資格は必要事項とはされていません。また、JRA厩務員になる場合、JRA競馬学校の厩務員課程を受験し合格し、その後JRA競馬学校の厩務員課程(6か月間)の厩務員課程を卒業する必要があります。

厩務員の平均年収は400万円ほどです。それに加えて自身の携えわった馬がレースで勝つとその賞金の数パーセントを受取れる場合もあります。またJRAの厩務員になると年収は800万円ほどになり、1000万円を超えるような厩務員も存在します。

引退馬の多くは処分されてしまうことが多いです。しかし、引退馬支援が広く募られているため穏やかな余生を養老牧場で過ごす馬もいます。

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この記事を書いた人

  • 農業ジョブ 編集部
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