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都市の農業

都市の近くで行う農業についてご紹介!

農業といえば、地方の大自然の中で行われている様子をイメージする方が多いかもしれません。一方で、都心の近くで行われる「都市農業」という農業があります。「都市農業ってなに?」「都市で行うメリットは?」「都市でやるから都市農業?」今回は都心で行われている農業について解説します。

都市農業ってなに?

都市農業とは

都市農業とは、市街地およびその周辺の地域にて行われる農業のことを指し、私たちの暮らしにさまざまな役割を果たしています。農業体験の場の提供、万が一の災害に備えたオープンスペースの確保、やすらぎや潤いといった緑地空間の提供など、作物の生産以外にも農業がもたらす効果は多様です。

都市農業のメリット

では、地方に比べてみて都市農業の利点とは何でしょうか?それは、人口が多く農産物の消費率が高い都心に、新鮮な野菜をスピーディーに供給できる点です。農地の規模から、農地面積の広い地方に比べると量、価格では負けてしまいますが、「消費者との距離の近さ」が強みになります。直売所や、地元の飲食店、スーパーや八百屋のほか、イベントに出向いての販売など、消費者からの生の声が聞きやすい利点を生かして常連客を増やすことができれば口コミや評判から販路を拡大することができます。

また、地方に比べると農地面積が限られていることから、多品目を少量栽培することで、消費者のニーズに合った作物を的確に提供することができる点も強みになります。

都市部で生産されている主な農作物

都市農業での生産品目を見てみましょう。生産している農産物の品目(回答農家数 2,487 戸)については、「露地野菜」が最も多く、次いで「水稲・陸稲」、「雑穀・いも類・豆類」の順となっています。

下記の図をご覧ください。都市地域の品目別農業産出額を見ると、野菜はトマト、ねぎなど、果実はみかん、りんごなどが多く、全国に占める割合では小松菜が8割と最も高いです。ちなみに、東京都では小松菜(36億円)、神奈川県は大根(78億円)、大阪府はぶどう(33億円)といった品目の農業産出額が多くなっています。

農林水産省「生産農業所得統計」

都道府県別でみる農業の特徴

福岡県の農業

それでは都市農業に該当する4つの都道府県を紹介します。まずは福岡県です。福岡県は、温暖で適度な雨量に恵まれ、平野から山間地域まで、変化に富む地形の中で多様な農産物が生産されています。耕地面積は8万1,400ha(平成30年)で、県土の16%を占めており、うち水田の割合が80%(全国平均54%)と高いのが特徴です。
全国順位が5位以内の主な農産物は下記のとおりです。

主な生産物ランキング

順位品目
1位洋ラン(切花)、種苗・苗木等
2位小麦、いちご、みずな、キウイフルーツ、ガーベラ(切花)、い草
3位二条大麦、冬春なす、セルリー、こまつな、かき、きく、トルコギキョウ、洋ラン(鉢物)、はかた地どり
4位大豆、しゅんぎく、ばら
5位冬春トマト、ぶどう、いちじく、普通せん茶
参照:福岡県庁

いちごの「あまおう」、ラーメン用小麦「ラー麦」など、商品のブランド化を図りながらさまざまな農産物を生産しています。福岡といえば、博多ラーメンが有名ですよね。これまで国内にはラーメンに適した小麦品種がなかったため、麺には外国産の小麦が使われてきていた一方、福岡は全国2位の小麦生産県です。同じく全国2位のキウイフルーツ。福岡のオリジナル品種「博多甘熟娘(はかたうれっこ)」は福岡の人気商品として親しまれています。ほかに、果実の中心が赤い「レインボーレッド」の生産も増えています。

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大阪府の農業

続いては、大阪府です。西日本最大の都市である立地を生かし、施設園芸など集約的な農業経営が営まれ、府民に対して新鮮な農産物を安定的に供給しています。しゅんぎくの生産量は全国第2位。他にも、小松菜、みつばなどの軟弱野菜やぶどうなどの果樹の栽培が盛んで、全国でも有数の産地となっています。

そんな大阪府では、平成17年10月から「なにわの伝統野菜認証制度」をスタートしました。この制度は、出荷する野菜が「なにわの伝統野菜」であること、販売する食品・調理品が「なにわの伝統野菜」を原料としていることをPRするために認証マークを表示することができる制度です。生産者が伝統野菜に認証マークを表示して出荷できる他、加工食品の製造者や小売店、料理店も商品や店頭などに表示することができます。生産や加工の奨励、料理店でのメニュー化などを進め、大阪の土地で育まれた伝統野菜をより多くの方々に味わっていただくことを目的に作られました。 下記が、「なにわの伝統野菜」の認証基準です。

1.概ね、100年前から大阪府内で栽培された野菜
2.苗、種子等の来歴が明らかな大阪独自の品目・品種
3.府内で生産されている野菜

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埼玉県の農業

次は埼玉県です。近年では、東京に近く移住先としても人気の県です。2020年には、県外からの「転入」が県外への「転出」を12,000人以上も上回り、全国で最多となりました。

そんな埼玉県の農業を見てみると、農業産出額は418億円(平成30年推計値)。県全体の売上1,758億円(平成30年)の約4分の1を占め、米麦・野菜・花植木・畜産など、幅広い農業が展開されています。農産物直売所や観光農園も各地に展開されており、農業の6次産業化の推進も行っています。農畜産物の生産状況は、さといも、ゆり、パンジーが全国第1位。小松菜、ねぎが2位です。

全国順位が5位以内の主な農産物は下記のとおりです。

順位品目
1位さといも
2位かぶ、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、ネギ、くわい
3位エシャレット、枝豆、きゅうり
4位つるむらさき、チンゲンサイ、みつば
5位うど、みずな、カリフラワー
参照:野菜情報サイト野菜ナビ

さといもが1位というのは意外な結果ですね。埼玉県の黒土で湿度のある土壌は里芋の栽培に適しており、盛んに栽培されています。2位以降を見ても、さまざまな品目の野菜で県上位を占めています。食料の消費が多い東京都に近い県だからこそ、需要の高さがうかがえます。

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神奈川県の農業

最後に紹介するのは神奈川県。農家一戸当たりの耕地面積は0.73haと全国平均の1.82haと比べて規模は小さいですが、野菜や花きを中心に、土地生産性の高い経営が行われています。大消費地に近い利点を生かし、野菜・果樹のほか、牛乳、豚肉など生鮮食料を中心とした生産が盛んであることが特徴です。

神奈川県の全国上位の野菜は「冬瓜」「モロヘイヤ」などです。冬瓜の順位は3位。収穫量は約1,252トンで全体の約13.6%です。昭和60年頃から、スイカ、カボチャなどの夏作の代替え作物として導入され、三浦市内で栽培が始まりました。モロヘイヤの順位も同様に全国で3位。収穫量は約68トンで全体の約5.4%です。モロヘイヤは、高い栄養価があることから「野菜の王様」と呼ばれています。原産国はエジプトで、昔から体に良い野菜として食されています。

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まとめ

いかがでしたか?都市農業では、それぞれの都道府県で都市近郊の特徴を生かした農業が行われていることが分かりましたね。あなたの住んでいる都道府県の農業の特徴も調べてみてください。自分の住んでいる場所が、実は意外な農作物の名産地だということが分かるかもしれませんね。

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この記事を書いた人

  • 農業ジョブ 編集部
  • 農業求人情報サイト「農業ジョブ」編集スタッフ。
    仕事の魅力やそこで働く方たちを日々取材しています。

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