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果樹栽培とは?第6次産業化が拡大する最新の農業領域を解説します!

果樹とは

概要(業種の基本情報)

現在、日本で生産されている果物は主要なものでも100種以上。大部分は年に一度の収穫に向けて、1年間かけて栽培します。
果樹生産は、季節ごとに旬の果物を生産し消費者に届けるのが仕事です。果樹に対し、一本一本の性質を見極め、水や肥料を与え、病気や害虫から守るという基本的な手入れを行います。日々変わる自然環境の中でも安定して果物を供給するため、年間を通じて絶え間なく作業が続きます。
産地毎のブランド化や、収穫した果物を加工品として販売する、いわゆる「6次産業化」に積極的に取り組んでいる生産者が多いのも、果樹生産の特徴です。

生産物例

収穫された果物は、流通を経て消費者に届けられます。一般的に、果物の流通は、卸売市場を経由する「市場流通」と卸売市場を経由しない「市場外流通」があります。果物の場合は市場流通が約8割を占めていますが、近年は直売やインターネット取引などの流通の多様化により、市場外流通が増加傾向にあります。また近年では、メイドインジャパンの品質を活かした、アジア諸国の富裕層に向けた輸出販路の開拓などの取り組みも活発化しています。

果樹生産の仕事

果樹の年間スケジュール(例)

【みかんの場合】
2~3月 剪定、施肥
3~4月 植え付け
6~7月 摘果(1回目)、施肥
8月 摘果(2回目)
9~10月 追肥、植え付け
10~12月 収穫

【りんごの場合】
1~3月 剪定・整枝
4月 肥料散布、苗木の植え付け
4~9月 農薬散布
5月 受粉、花摘み
5~7月 摘果
6~7月 袋かけ
9~11月 葉摘み、袋はぎ、収穫

果樹の1日の仕事の流れ(例)

06:30~07:30 起床・朝食
07:30~08:00 出勤
08:00~12:00 収穫
12:00~13:00 休憩(昼食)
13:00~17:00 収穫
17:00~19:00 選果・出荷準備
19:00~23:00 帰宅・夕食など
23:00~06:30 就寝

果樹にはこんな仕事がある

仕事の種類

果樹の収穫、出荷準備

収穫・出荷準備

熟した果物を収穫し、選果機や重量選別機にかけて選果。大きさや品質毎に分けて、箱詰めにして出荷します。果物によっては予冷や追熟を行い、食べごろに調整してから出荷します

果樹の花摘み、受粉

花摘み・受粉

りんごやももなどの場合は、花が咲く時期に花摘みを行います。一番最初に咲いた花を残し、それ以外を摘み取るこの作業は、花が咲いてから散るまでの10日間程に集中して行います。自家受粉をしない果物の場合は、人の手によって受粉作業を行います。受粉作業用の機械を使う場合と、マメコバチ等の昆虫を使う場合があります。

果樹の剪定

剪定

日当たりや風通しをよくし、実のなる枝が充分な養分を得られるように、枝を切り落としていきます。発芽前の冬や春に行うことが多いですが、樹形の調整のために夏季に行う場合もあります。剪定には、剪定バサミやのこぎりを使います。1本1本作業するため、非常に根気のいる仕事ですが、果実の収穫量や品質に影響する大切な作業です。

果樹の販路

その他

事業体によっては、加工品の商品企画、PR活動、イベントでの販促活動などの仕事があることもあります。

果樹の仕事のやりがい・働く魅力とは?

果樹栽培のやりがい

一年を通してじっくりと栽培に取り組むことができる

果物の栽培には一年間かかるため、じっくりと取り組むことができます。同じ作業を黙々とこなす根気強さが必要ですが、その分特定の果樹の栽培技術をしっかりと身につけることができます。

果樹栽培のうれしい瞬間

お客様からの「おいしい」の声

フルーツ狩りや加工品の生産・販売を行っている果樹園も多いため、消費者との接点が多いのが果樹の仕事の特徴です。
約1年をかけて育て上げた果物は果樹生産者の努力の結晶。 お客さんから「おいしい」という声が届いた時には、大きな喜びを感じることができるでしょう

果樹栽培で自然を満喫

自然の中で身体を動かして働く

果樹とは文字通り「樹」になる果物を生産・収穫する仕事。剪定や収穫のために高い所に登ったり、みかん生産の場合は収穫したコンテナを持って山肌を往復するなど、体力も必要とされますが、それだけに、自然の中で働いている充実感が得られます。

果樹栽培では第6次産業化が拡大中

六次産業化とは、第一次産業(農業、漁業、林業)を基盤に、第二次産業(加工)や第三次産業(販売、観光など)を組み合わせて、付加価値を高める取り組みを指します。
近年、果樹栽培を行う農家が生産物をジュースやジャムに加工したり、に農場の一部を観光農園として経営したりなどして収入源を増やす農家が増えてきています。
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果樹のQ&A

果樹栽培とは?
果樹生産は、季節ごとに旬の果物を生産し消費者に届けるのが仕事です。果樹に対し、一本一本の性質を見極め、水や肥料を与え、病気や害虫から守るという基本的な手入れを行います。日々変わる自然環境の中でも安定して果物を供給するため、年間を通じて絶え間なく作業が続きます。
どんな人が向いていますか
果樹の仕事は、1年間という長いスパンで、また、1つの作業にじっくり取り組むことが多いため、根気のある人が向いています。また、栽培する品目によっては花摘みや受粉などの細かい作業があるため、手先の器用な方も向いていると言えるでしょう。
どんなキャリアが積めますか?
まずは農業法人への就職や研修などで、生産する果物の栽培技術を一通り覚える事が基本です。一年に一度しか収穫できない果樹の場合、予期せぬ病気や天候に対応する技術や知識の習得には比較的長い年月が必要となります。そのため、 独立を目指す場合などは、野菜などの農産物と比べると必要な研修期間は長くなります。
長期休暇はとれますか?
果樹の生産は一年サイクルで行うため農繁期と農閑期があり、時期によってはまとまった休みを取ることも可能です。農園によっては、休暇制度を用意しているところもあります。ただし、農繁期(収穫期)になると収穫はもちろん選果や出荷作業もこなさなければならないため、休み返上で働く事もあります。
体力面が心配。女性でもできますか?
身体を動かす仕事になるため、ある程度の体力は必要ですが、女性でも働くことは可能です。
未経験でも働けますか?
ほとんどの農園では基本的な仕事から栽培技術まで一から教えてもらえるため、未経験でも問題ありません。加工品の製造・販売などを行っている農園であれば、企画、営業、販売など、農業以外の経験が活かされるケースもあります。

肉牛とは?酪農とは何が違うの?その仕事内容を解説します!

肉牛とは

概要(業種の基本情報)

乳や肉などを生産するために動物を飼育することを畜産といい、畜産で飼われる動物の中で、肉を生産するために飼われる牛を肉牛といいます。 肉牛の生産では一般的に、母牛に子牛を生ませ、その子牛を育てる「繁殖」と、市場で買った子牛を大きく育てる「肥育」の二つの工程に分かれており、それぞれを専門で行う牧場もあれば、両方を一貫して行う牧場もあります。酪農と同じ牛を飼う仕事ですが、肉牛の生産では酪農のような毎日の搾乳作業が無いなど、仕事のスタイルは異なります。牛の種類としては、黒毛和種、褐毛和種、無角和種、日本短角種、ホルスタイン種、交雑種などがあります。

生産物例、業界相関図

肉牛生産では、一般的に母牛に子牛を生ませ、その子牛を育てる「繁殖牧場」と、市場で買った子牛を大きく育てる「肥育牧場」の二つで生産工程が分かれます。企業経営の大規模牧場などでは、この繁殖と肥育の両方を一貫して行っている事業体もあります。繁殖牧場で生まれた子牛は、「素牛(もとうし)」と呼ばれる、生後6ヶ月~12ヶ月の肥育前の段階まで育成されます。そこで、素牛市場を経由するなどして肥育牧場に移されます。その後、牛は「肥育牛」として肥育牧場で肥育され、生後2年半から3年程で出荷されます。出荷後は、一般的に家畜市場、と畜場を経て枝肉となり、卸売市場、食肉加工業者などを経て量販店や肉屋などの小売店や飲食店に販売されます。

肉牛生産の仕事

肉牛生産の年間スケジュール(例)素牛

繁殖牧場では繁殖・育成・出荷、肥育牧場では肥育牛の飼養管理・出荷が主な仕事となります。牧草の自社生産を行う場合、春~夏頃に牧草の収穫の仕事がこれに加わります。肉牛の生産は他の酪農などの畜産業種と同様、動物相手の仕事となるため、一年365日休みはありません。そのためシフト制などを導入し、交代で休みを取るケースが多くあります。

肉牛生産の1日の仕事の流れ(例)

07:30~12:30 牛の状態観察、給餌、牛舎管理
12:30~14:30 休憩
14:30~18:30 給餌、治療、牛の状態観察

肉牛にはこんな仕事がある

仕事の種類

肉牛の繁殖過程

繁殖

肉牛の生産において、繁殖は牧場の経営を左右するともいえる重要な仕事です。確実に子牛を出産させることが求められる繁殖経営では、発情を見逃してしまうと、次の出産までの間隔が伸びてしまい、生産効率が悪くなってしまいます。そのため、牛の発情を見逃さないための日々の観察や、専門の獣医師等との連携、ITの活用など、さまざまな取り組みが行われています。一般的な繁殖牧場では、人工授精による種付けが行われます。これは獣医師や人工授精士等が行うケースもありますが、自社のスタッフが行う場合もあります。

子牛の哺育と育成を行う

子牛の哺育・育成

健康な素牛に成長させるため、子牛の哺乳や育成を行います。繁殖のみを行う牧場では、素牛市場でどれだけ高く牛が競り落とされるかが経営を左右するため、日々の体調のチェックや餌の配合などに特に気を配ります。

肉牛の肥育とは?

肥育

素牛を大きな肉牛に育てる工程が肥育です。最初は 粗飼料(生草、乾草、わら類等)を多めに与え、徐々により栄養価の高い配合飼料を増やしていく手法が一般的です。牛の生育段階や体調に合わせた飼料の配合が、肥育における重要なポイントとなります。

肉牛のための牧草の収穫

牧草収穫

自社で牧草を生産している事業体では、牧草の収穫も重要な仕事です。北海道などの大規模な敷地を有する牧場では、大型トラクターなどの機械を用いたダイナミックな農業がおこなわれます。

肉牛の仕事のやりがい・働く魅力

肉牛の仕事のやりがいとは?

自然の多い環境で動物を相手に仕事ができる

北海道など、肉牛生産牧場は周りに自然の多い環境にあることが多いため、自然の中で働きたいという方には魅力的な環境です。また、主に牛を育てる仕事のため、動物が好きな方にとっても魅力的な仕事と言えます。

肉牛の勤務時間は他業種でも安心

他業種の方も慣れやすい勤務時間

同じく牛を飼う仕事である酪農は早朝や夜の搾乳作業があるため、朝と夜がメインとなることが多いのに対し、肉牛の繁殖や育成の仕事では、基本的には朝~夕方の通し勤務です。なお、夜間の分娩等に対応できるよう夜のシフトがある牧場もあります。

まとめ

畜産で飼われる動物の中で、肉を生産するために飼われる牛を肉牛といいます。母牛に子牛を生ませ、その子牛を育てる「繁殖」と、市場で買った子牛を大きく育てる「肥育」の二つの工程に分かれています。牛をおいしく育てるためには健康管理、食事管理が不可欠であり、経験と知識が必要とされます。肉業の生産は日本の食卓を支える重要は仕事の一つです。
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肉牛のQ&A

肉牛とは?
畜産で飼われる動物の中で、肉を生産するために飼われる牛を肉牛といいます。 肉牛の生産では一般的に、母牛に子牛を生ませ、その子牛を育てる「繁殖」と、市場で買った子牛を大きく育てる「肥育」の二つの工程に分かれており、それぞれを専門で行う牧場もあれば、両方を一貫して行う牧場もあります。
どんな人が向いていますか
牛を育てる仕事ですので、動物が好きな方や牛が好きな方に向いているでしょう。また、牛のちょっとした体調の変化等に気づく事が大切ですので、日々の決まった仕事をこなしながらも、周りへの気配りができる方には向いているでしょう。
どんなキャリアが積めますか?
最初は法人や個人の牧場へ就職する事が最も一般的です。就職後は、経験を積んで農場長や経営幹部を目指すという道があります。肉牛に限らず、畜産は設備投資に多額の費用がかかるため、独立のハードルは非常に高い傾向にありますが、廃業した牧場施設を借りたり譲り受けたりして独立するケースや、経営を継承するかたちで独立するケースがあります。
長期休暇はとれますか?
毎日牛の世話が必要な仕事ですので、基本的にはシフト制で休日を取得するケースが多く、従業員の人数が少ない場合は長期の休暇は取りにくい傾向にあります。規模が大きく、従業員の多い事業体では、長期の休暇が取得しやすいケースもあります。
体力面が心配。女性でもできますか?
飼料の袋を運んだりと、ある程度の体力が必要な場合もありますが、機械化によって省力化が進んでいる牧場も多く、女性の活躍も多い業界です。
未経験でも働けますか?
獣医や人工授精士など、専門職の募集でなければ経験については問われないケースがほとんどです。未経験から肉牛牧場での仕事をはじめられた方も多くいます。

農業マーケティングの今

農業マーケティングの今
~新しい流通ルートで儲かる農業へ~

近年は、鮮度や品質を維持して消費者に農産物が供給される最適な流通ルートが増えています。流通の変化によってさまざまなマーケティング活動が可能となり、“稼げる農業”が実現されています。
また、農業マーケティングに関する本が多く出版されたり、セミナー・勉強会などのイベントが開催されたりもしています。農業マーケティング戦略は、農業従事者はもちろん起業家にも注目されています。
農業は農産物の生産活動における熟練の技術や知識に加え、それを生かす新しい発想により多くのビジネスチャンスが生まれているのです。

従来の農産物流通のしくみ

農産物は、農家から農協などの出荷団体、卸売市場、仲卸業者、小売業者を経て消費者に届きます。卸売市場を経て流通しているのは、野菜類の約76%、くだもの類の約47%とされます。
しかし、この流通ルートでは生産者から消費者にたどり着くまでに多くの事業者が関わっているため、中間マージンが高くなってしまうというデメリットがあります。各ステップで手数料等が引かれ、生産者が得られる収入が少なくなってしまうのです。

また、生産者は自分で作った農産物の価格決定権がなく多くの生産コストがかかったとしても、それを考慮した価格になるとは限りません。そのため「コストを気にせずこだわりの農産物を生産する」ということは簡単なことではありません。

流通ルート拡大!直接販売拡大でWin-Win

近年は農産物の流通ルートが多様化しています。農業にもマーケティングが必要であり、農産物を「JAにおろして終わり」ではありません。
卸売市場を経由せず、流通ルートを簡素化して利益を増やす農家や農業法人が増えています。さらに、顧客との密着を図り顧客ニーズを把握することで、ニーズにマッチした農産物を生産・販売できます。

消費者にとっても、生産者の「顔が見える」という安心感が得られるほか、新鮮でおいしい農産物が購入できるので多くのメリットがあります。収入が増えるというだけでなく、“顔の見える”形で生活者に届き支持されることは、生産者にとってもたくさんのメリットがあります。

産直通販

ネット通販をはじめとする、通信販売で農産物を売る方法です。ネット販売を行うためWEBサイトを開設したり、大手のネットショップ・オンラインモールに登録したり、さまざまな方法でネット販売を行ったりしている農家が多くなっています。低予算、少ない予算で始められるというメリットがありますが、ネットショップは多くあり、競合が多いというデメリットもあるでしょう。とはいえ、全国に販路を拡大できる大きなチャンスを作れる方法として多くの生産者が挑戦しています。

小売業者へ契約出荷

小売業者と直接契約し、出荷する方法です。市場出荷の場合、取引価格が日常的に変動しているため収入が安定しにくいのですが、契約出荷の場合は、契約時に出荷する品目や数量、価格などが決まるため、収入が安定しやすいというメリットがあります。収穫した野菜をそのままスーパーや百貨店などで「新鮮野菜」「朝採り野菜」などと販売しているケースもあります。

生産した大半の野菜を契約先に出荷している農業法人も多いです。新鮮な野菜を販売できることから、リピート顧客獲得・ブランド化にもつながり、多くのメリットが期待できます。

直売所・道の駅

近年、直売所・道の駅は「鮮度の高く、美味しいものを安く買える」として周辺住民や観光客から注目を集めています。中には農家が独自に直売所を運営しているケースも。直売所・道の駅では、価格を自分で設定して販売できます。出店手数料が安いため、小売店などと比べて販売額から差し引かれる費用の割合が低く、利益率が高いというメリットがあります。

しかし小売店とは異なり、全量を買い取ってもらえるわけではないため売れ残りを引き取る必要があり、売れるようにするための工夫も必要です。直売所や道の駅は、農家の収入増はもちろん、地域の活性化などさまざまな機能が求められていることから、農産物の販売だけでなくさらなるビジネスチャンスを見出せるかもしれません。

スーパー・コンビニなどで直売

近年は、スーパーやコンビニの一角に地元野菜の売り場(直売コーナー)が設けられているケースが増えています。農家が持ち込んだ地元の新鮮な野菜が並んでいるため、身近なお店で手軽に新鮮な野菜を購入できるとして、多くの人に喜ばれています。

売り場に限りがあるため、陳列できる量は限られますが、持ち込む農作物や量の取り決めがない場合が多く、出荷しやすいというメリットがあります。高級志向のスーパーでは、価格よりも鮮度や安全性を重視する顧客が多く集まるため、ニーズが高まっています。

レストランへ直売

近年は、自家生産した食材や提携農家が生産した食材、地域の食材を使用している「農家レストラン」が増えています。また、農家レストランと謳っていない飲食店でも、食材にこだわるお店が多くなっていて、それがウリにもなっています。特に、有機栽培や自然栽培で作られた食材は需要が高まっています。

新しい取り組みを積極的に行う農業求人はこちら

民間企業のプラットフォーム

農産物を市場に出荷するよりも、市場外で取引を行った方が、多くの収入を得られるのは確かですが、取引先を確保することは簡単なことではありません。直売できる数量が限られている場合もあります。 しかし、近年は民間企業が間に立って、農産物を集荷してもらい、企業が提携している販売先に直送してもらえるサービスも登場しています。

都市部スーパーの直売コーナーをはじめ、全国の直売所など販路を拡大でき、取引をすべて行ってもらえることから、市場よりも高く販売できて収入を増やせるだけでなく、より良い農産物の生産に集中できるというのは大きなメリットでしょう。

直接販売拡大によるさらなるメリット

直接販売の拡大は、生産者の収入を増やすというメリットだけでなく、高品質で安心・安全な農作物の提供によって顧客から支持されたり、それによってやりがいを感じたりなど多くのメリットがあります。しかしそれだけでなく、地域で採れた農産物を知ってもらうことにより、次に紹介するようなさらなるメリットも生まれています。

農家レストラン・体験農場併設など経営規模の拡大

農場にレストランや体験農場を併設し、美味しく安全な農産物を使った料理を提供したり、実際に収穫してもらったり、育てた農産物をウリとした新たなビジネスも生み出します。

地域の活性化

かつては農村から出荷された農産物が都市部で販売される流れしかありませんでしたが、近年は都市部の人が農村の直売所・道の駅を訪れ、購入する流れもできています。そして地域内外の交流が新しい産業の創出や観光の活性化にもつながり、さらには雇用が生まれ、賑わいを取り戻す効果なども生み出しています。

新規作物の試験販売

直接販売はどのような農作物が売れているのかがわかりやすく、消費者の声を取り込めます。新規作物の試験販売へのハードルが高くありませんし、情報収集によりどこにどのように出荷したらより多くの収入を得られるのか、経営のヒントもみつかるでしょう。

6次産業化とは?事例で解説

6次産業化で生産物の価値を向上!所得増大へ

近年、健康志向の高まりとともに、「農家レストラン」や「体験農園」が注目を集め、地域の素材を生かした人気商品が多数登場しています。生産(1次産業)だけでなく、加工(2次産業)・販売(3次産業)を取り込む動きが広がっているのです。

6次産業化とは?

6次産業化とは、1次・2次・3次それぞれの産業を融合することにより、新しい産業を形成しようとする取り組みのことです。簡単に言えば、生産者(1次産業者)が加工(2次産業)と流通・販売(3次産業)も行い、経営の多角化を図ることと言えます。しかし、なぜ「6」次産業なの?と思う人も多いのではないでしょうか。6次産業の「6」は、1次・2次・3次のそれぞれの数字を掛け算したものであり、産業の融合を図り、新たな価値を生み出すことを意味しています。

具体的にどんなものがある?

「6次産業化」と聞くと、新しい取り組みのように思う方も多いかもしれません。しかし、農家が採れた野菜を使って漬物にして販売したり、漁師が魚を干物にして販売したりしているのは、馴染みが深い方も多いのではないでしょうか。これらも6次産業の一つであり、昔からある経営形態なのですが、近年は地域資源を活用した様々な新しいサービスが登場し、6次産業化が注目を浴びています。

農村レストラン・
生産品のブランド化などに
代表される
『地域複合アグリビジネス』

新しい余暇活動に
対応した収穫体験、農家民宿、
グリーンツーリズムなどの
『次世代ツーリズム』

地域紹介・住まい作りなど、
ふるさとへの移住を希望する方
へのサービスを提供する
『ふるさと回帰産業』など

第一次産業の成長や地域経済の活性化などを目的に、農林水産省によって「6次産業化」が推進されています。給付金の支給などの支援も多く、6次産業化の動きが活発化しています。

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地域資源と産業の融合

主な事例

加工品販売

生産物を使った加工品を開発・製造し、道の駅など店舗やインターネットなど、販路を開拓し、販売を行います。有機農産物やブランド農産物を使い、品質・ブランドを前面に押し出した加工品も登場しています。規格外品を有効に活用している事例も多くあります。

農家レストラン

「農家レストラン」は、生産物や地域の食材を加工、調理して提供する飲食店です。農場にレストランを併設して収穫体験も行えるようにしたり、直売所を併設して農産物販売を行ったり、幅広く事業を展開している農家も多いです。近年は、カフェ形式の「農家カフェ」も増えています。

農家民宿

農家民宿とは、農家の住居を宿泊施設として提供する宿泊施設です。農産物を使った料理を味わえたり、農業体験ができたり、農家の暮らしが体感できます。近年は「農家民泊」という言葉もよく耳にしますが、「農家民宿」は営利を目的とし、「農家民泊」は非営利であり、宿泊料を徴収しません。

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6次産業化の主な4つのメリット

所得の向上

1次産業のみでは得られなかった所得が得られたり、農産物に付加価値をつけて販売したりできるようになるため、所得の向上が見込めます。また農産物を市場に出荷するのに比べ、価格変動の幅が小さく、収入が安定するというメリットもあります。

雇用の創出

単に業務拡大により雇用が増えるというだけでなく、農閑期を加工業務に当てられるなど労働の負担を軽減し、均一化を図れるという点もメリットです。また産業が育つことは、若い人の雇用にもつながってくるでしょう。

風土や伝統文化の保全

地域資源を事業に利用することで、地域の風土や伝統、食文化などの持続的保全が可能になります。また、地域産品と風土・伝統文化を結びつけること地域全体のブランド化を図り、さらなる観光客の増加、地域活性化も期待できるでしょう。

地域の活性化

6次産業化による所得の向上や雇用の創出、観光客の増加、地域のブランド化などにより、地域の活性化が期待できます。地域活性化は、地域の文化や資源を継承することにもつながっていくでしょう。

6次産業化のデメリット

メリットの多い6次産業化ですが、デメリットもあります。新たな事業をはじめるのですから、6次化に限らずデメリットはつきものですが、デメリットを事前に把握し対策することが求められます。長期的に経営が安定してはじめて6次産業化の成功と言えますから、一つひとつの作業工程においてじっくり取り組むことも大切だと言えるでしょう。

多額の投資が必要になる

商品開発やパッケージデザイン、設備、衛生管理、マーケティングへの投資など、加工品を商品として販売するためには多額の初期費用がかかります。

厳格な衛生管理が必要になる

食品加工には、徹底した衛生管理が求められます。適切な取り組みを行わず、食品事故を起こしてしまうと、信頼を失うだけでなく事業の存続にも影響しかねません。

専門的な知識が必要となる

生産の技術や知識、経験は豊富でも、加工や流通、販売の知識を持ち合わせている生産者は少ないでしょう。商品が完成しても、売り方を知らなければ在庫を抱えることになってしまいます。

6次産業化へのさまざまなサポート

6次産業化は、決して簡単なことではありません。「何から始めたら良いのかわからない」「事業プランを作成できない」「専門知識を身に付けるにはどうしたら良いのか」…など、6次産業化に取り組みたくても、「どのように進めるべきかわからない」という事業者は多いです。しかし、全国には6次産業化に関する相談センターがありさまざまな支援が受けられます。多くの事業者が頭を抱える費用に関する問題も、助成金によって解消できる可能性があります。国のサポートを上手に活用することで課題の解決、6次化の成功にぐっと近づいていくでしょう。

6次産業化サポートセンター

6次産業化に取り組む生産者のための相談窓口であり、全国に設置されています。商品開発から経営、マーケティング、事業計画作成まで、幅広い相談に対し指導・アドバイスを行っています。6次産業化プランナーの派遣も行っています。

6次産業化プランナー

加工や流通、衛生管理など、6次産業化に関わるさまざまな分野のプロフェッショナルです。6次産業化への取り組みについて相談・助言を行い、成功に導きます。

6次産業化推進に関わる補助金・助成金

認定事業者になると、補助金・助成金が受けられます。認定事業者になるには、6次産業化法・地産地消法に基づく「総合化事業計画」の作成を行い、認定を受ける必要があります。

6次産業化を仕事にするという選択肢

農林漁業の求人では、1次産業(生産)のみを行う事業者の求人が多いですが、近年は6次産業化に取り組み、さまざまな事業を展開する事業者の求人も増えています。6次産業化に取り組む事業者は、生産物の可能性を拡大するための新しいアイディアを常に求めています。そのため、「新たなことにチャレンジしたい」という人には、またとない職場環境になるかもしれません。農業には多くの可能性があり、創意工夫で大きなチャンスをつかめるかもしれません。6次産業化への取り組みも、職場選びの際には一つのポイントとなるでしょう。