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観光農業は新しい農業のカタチ!仕事内容や魅力について解説!

観光農業とは

概要(業種の基本情報)

観光農業とは“農業”と“観光”が結びついた農業経営のことで、代表的なものには「観光農園」や「農家レストラン」などがあります。
農産物の栽培・収穫・加工体験や、農産物・加工品等の直売を行う「観光農園」には、農産物の収穫時期にのみオープンするものから、多品目の農産物の栽培や加工体験などを組み合わせ、通年で観光客の受け入れを可能にしている農園までさまざま。
その土地で栽培した食材を用いた料理が味わえる「農家レストラン」も近年急増しており、農業経営に付加価値を与える取り組みとして、注目されています。

観光農業の仕事

観光農業の年間スケジュール(例)

イチゴ:12月~6月
サクランボ:5月~6月
モモ:7月~8月
ブドウ:8月~9月
リンゴ:8月~12月

様々な果物を扱う複合的な観光農園では果物の旬に応じて取り扱う作物を変えます。
一般的な観光農園は通常の栽培と並行して観光農園を営むことがほとんどです。例えばイチゴ農家ならば所持しているビニールハウスの何棟かをイチゴ狩り用に開放するなどしています。そのため年間のスケジュールは普通の農家と変わらないです。
いちご農園の求人一覧はこちら

観光農業の1日の仕事の流れ(例)

06:00~07:00 起床、朝食
07:00~07:30 支度、出勤
08:00〜08:15 朝礼
08:15〜10:00 農作業
10:00〜10:15 休憩
10:15〜12:00 農作業
12:00〜13:00 昼休憩
13:00〜15:00 観光接客
15:00〜15:15 休憩
15:15〜17:00 農作業、終業
17:00~17:30 退勤
17:30~19:00 外食
19:00~19:30 帰宅
19:30~06:00 入浴、娯楽、就寝

午前中に農作業を行い、午後になると観光農園の運営を行います。
観光運営のための事務作業も業務の一環であり、通常の農家よりは退勤時間が遅くなってしますことがあります。しかし、収入源が普通の形態よりも大きいため接客担当アルバイトも雇う余裕も生まれるため負担が特別増えるというわけではありません。

観光農業にはこんな仕事がある

仕事の種類

観光農園と子供たち

農場全体の管理

多くのお客様が「レジャー」を目的として訪れるので、「大人までから子どもまで楽しめる」ことを第一に、農場全体の雰囲気づくり、誰もが快適に過ごしやすい環境づくりをしなくてはなりません。畑や農場内の整備や植栽管理はもちろんですが、休憩所やアスレチックの設置などで子供たちを飽きさせないための工夫なども非常に重要です。

観光農園での接客対応

体験受付の対応・売店での接客

団体客も多く訪れる体験農園。予約の受付や管理なども大切な仕事です。また、農園で採れた野菜や果物、それらを用いた加工品などを販売する売店を運営している農場も多くあり、仕事の幅は生産~販売まで多岐に渡ります。

観光農園での収穫

収穫指導・サポート

体験農園のメインの仕事ともいえるこの仕事。野菜や果物の収穫方法や注意事項などを子供でも分かりやすく説明します。短時間でポイントを押さえて指導しなくてはならないので幼稚園児や小学生など、相手によっては説明用のパネルなどを用意しておくことも必要です。

観光農園が営むレストラン

農家レストランの運営・接客

農園で採れた農産物を生かした料理を提供する「農家レストラン」。オリジナルのレシピで季節感のある料理を楽しんでもらえるよう、レシピ開発から調理、また、接客までをトータルで任されることもあります。

観光農業の仕事のやりがい・働く魅力

観光農園で働くことのやりがい

たくさんの人とふれあえる

毎日多くのお客さまが訪れる観光農園。客層は子供~大人まで幅広く、臨機応変な対応が求められます。しかし多くのお客さまと触れ合うことで、作業内容は同じでも毎日違った刺激が得られるのはこの仕事ならではです。

観光農園での食育

“食”の大切さを伝えることができる

「食育」を目的とした収穫体験等も増えています。自分自身が持つ農業に関する知識や技術等を教えたりすることによって、お客さまの食に対する興味や関心を高めることができます。また、人に物事を分かりやすく伝えるということを通じ、さらに自身の知識を深めるなど、「教えることによって、自分も学ぶ」こともできます。

観光農園は地域活性化のカギ

地域活性化への貢献

話題性のある農園やレストランを展開し、都市部など他の地域からたくさんの人々を呼び込めば、地域のアピールにもつながります。また、農園と地域住民とが協力してイベントなどを企画・開催することで、多くの観光客を集めるだけでなく、失われつつある地域のコミュニティを取り戻すこともできます。

まとめ

観光と農業とが結びついたこの新しい農業には、農業を中心とした複合的な仕事内容が求められます。
人とのかかわりあいの中で農業を身近なものにし、地域社会にも貢献できる観光農業では様々なスキルを持つ人が活躍できます。
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観光農業のQ&A

観光農業とはなんですか?
観光農業とは、農作業や収穫体験を観光資源とし、訪問者に楽しんでもらう農業活動です。収穫体験、植え付け体験、農産物直売などを通じて地域振興や農家の収入増加を目指します。
どんな人が向いていますか
農作業はもちろんですが、接客も重要な仕事内容です。子供~大人まで柔軟に対応できるコミュニケーション能力を持っている方にはとても向いている仕事ではないでしょうか。また、お客さまを呼び込むためのアイディアも考えなくてはならないため、企画立案が得意な方も十分に力を発揮できるでしょう。
どんなキャリアが積めますか?
法人などに就職する場合は、まずは農園等で生産している農産物の知識を徹底的に覚えることから始まります。農園やレストランに訪れるお客様からの農産物に関する質問には何でも答えられなくてはなりません。レストラン運営に携わる場合は、飲食店を運営するにあたってのノウハウも必要にります。観光農業は、農業と飲食、農業と体験、農業と教育など、さまざまな組み合わせで多様な業態がありますので、自分がやりたい方向性に合った法人等に就職したり、自分がやりたいスタイルの観光農業で独立するという道があります。
長期休暇はとれますか?
観光業でもあるので、行楽シーズン(連休、春・夏・冬休み、GW等)に休暇を取ることは難しいでしょう。規模が大きく従業員が多い農園では、行楽シーズン以外に従業員同士のシフトを交代しながら連休の取得をしているところもあります。
体力面が心配。女性でもできますか?
農作業以外に接客等にも追われるため、タフな方でないと務まらないかもしれませんが、観光農園や農家レストランで活躍している女性は多くいます。
未経験でも働けますか?
農業経験が無くとも、接客・販売関連の仕事経験がある方は優遇されることが多いです。農園やレストランのHPにも力を入れている所も多く、WEB関係の知識を持ち合わせていたり、デザインなどが得意な方も歓迎されています。

野菜の値段を調査!平均価格や変動の理由

あの野菜の値段は?
季節毎の変動やリレー栽培などの取り組みまでご紹介

私たちの生活に欠かせない野菜。老若男女や収入問わず日常的に必要なものなので、野菜の値段は私たちの生活にも大きな影響を与えます。
そんな野菜の全国平均価格一覧や価格変動の理由、リレー栽培などの価格安定のための取り組みまで、ジブン農業がまとめてご紹介します。

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野菜の価格

日本で多く食べられている主要な8品目の野菜(キャベツ・ねぎ・レタス・じゃがいも・たまねぎ・きゅうり・トマト・なす)価格をご紹介します。 農林水産省発表の各都道府県10店舗(全国470店舗)の小売店へ訪問調査を基にまとめた、消費税を含む小売価格です。

主要な8品目の価格

1個・1本あたりの価格ではなく、各野菜の1㎏あたりの価格です。1個・1本あたりですと、例えばキャベツは1個で1㎏に対してなすは1個50~80gと総重量にかなり差が出てしまうため、1kg当たりの値段に統一しています。2019年10月~2020年3月の半年間の各品目の値段を表にまとめました。
※ジャガイモ、きゅうり、なすは冬季の価格が公表されていないため、表の上から順に2019年4月~2019年9月の情報です。

キャベツねぎレタスたまねぎトマト※じゃがいも※きゅうり※なす
2019年10月1週目171円752円460円238円958円340円550円705円
2019年11月1週目137円708円532円235円820円355円440円619円
2019年12月1週目144円682円507円233円865円351円441円564円
2020年1月1週目151円720円505円236円726円348円495円597円
2020年2月1週目120円549円445円232円675円392円513円616円
2020年3月1週目119円500円368円229円690円369円746円622円
資料:農林水産省『食品価格動向調査(野菜)』を基に作成

【参考】1㎏の目安:キャベツ=1個、ねぎ=8本、レタス=3個、じゃがいも=6個、たまねぎ=5個、きゅうり=10本、トマト=5個、なす=12個

主要な8品目の価格の平年比

平年比とは、調査価格の過去5年の平均価格と比較したものです。2019年10月~3月の半年間の各品目の平年比を表にまとめました。
※ジャガイモ、きゅうり、なすは冬季の情報が公表されていないため、表の上から順に2019年4月~2019年9月の情報です。

キャベツねぎレタスたまねぎトマト※じゃがいも※きゅうり※なす
2019年10月1週目79%89%63%93%119%88%104%103%
2019年11月1週目63%95%93%95%102%84%89%96%
2019年12月1週目88%100%91%96%114%88%95%96%
2020年1月1週目70%92%67%95%96%91%99%105%
2020年2月1週目53%75%69%91%94%105%100%113%
2020年3月1週目61%73%72%88%95%103%107%98%
資料:農林水産省『食品価格動向調査(野菜)』を基に作成

以上の2つの表を見て分かるように、半年間という短い期間でも、毎月のように価格や平年比が変動していることが分かります。

野菜の価格変動とその理由

直近半年間という短い期間でも、価格や平年比が変動していることは先ほど説明しました。
ここでは代表的な野菜であるキャベツを例に、より長期的な期間での価格変動、そしてなぜ価格が変動したのかを説明します。

キャベツで見る3年間の推移

野菜は天候によって生育や収穫量が変動する上に、保存することも難しいので、供給できる量が変動することで価格も大幅に変動します。次のグラフで、平成28年~平成30年の卸売価格が平年価格(過去5年の月別価格の平均値)を上回った原因・下回った原因を説明しています。

資料:東京中央市場青果卸売会社協会調べ

値下がりすると、農家さんの意欲低下で逆に値上がりする!?野菜は品目の転換が比較的容易であることから、価格変動に応じて「作付面積」も変動しやすいという面があります。例えば、今自分が作っているキャベツが値下がりしてしまったから、玉ねぎに転換しよう!ということができるのです。こうなると、キャベツの作付面積が減る=キャベツの供給量が減ります。
すると供給量が減ったキャベツは、今度は値上がりするのです。
分かりやすく図にまとめてみました。

どんな業界でも、利益の無い商品よりも利益がある商品、つまり儲かる商品を作りたいですよね。農業界も同じなのです。

野菜の価格安定のための取り組み

野菜が価格変動する理由は説明しましたが、野菜は社会的影響が大きい分野なので、価格安定のために色々な取り組みがなされています。
いくつかピックアップしてご紹介します。

産地リレー

日本列島は南北に長いため、各都道府県で気候が異なります。その特性をうまく利用し、季節によって産地を切り替える「産地リレー」で生産を行うことで、野菜の安定供給を行っています。

関東で消費されるキャベツを例に挙げると、春は神奈川・千葉など都市近郊の関東平野部、夏から秋は、群馬などの冷涼な関東高冷地、冬は温暖な愛知県が主産地となっています。

生産者補給金の交付

14品目の指定野菜(国民消費生活上重要な野菜)と35品目の特定野菜(指定野菜に準ずる重要な野菜)の価格が、平均価格より著しく低落した場合に、生産者補給金を交付しています。
消費者への安定供給=価格の安定には、野菜が安定して生産・出荷されることが重要です。要するに、生産者を支援して安定した生産活動をしてもらうことが、結果として価格の安定につながるのです。

近年は台風や日照不足の影響で野菜価格が長期にわたり高騰するなど、異常気象に伴い高値で推移する傾向です。しかし平成29年度の場合、長雨や低温等の異常気象により高値で推移した時期があった一方、天候が良好で安値で推移した時期も長かったことから、結果的に前年度より交付金額が増加しています。

契約野菜安定供給事業

ニーズの高い加工・業務用野菜の生産拡大を図るため、契約栽培(太字)の促進が今後とも重要とされています。契約栽培とは、品質・数量・価格などの条件を生産前に契約し、それに基づき農家が農作物を栽培する取引のことです。飲食店などの発注側は一定の価格で必要な数量を通年で確保できるメリットが、契約農家としても安定した供給先=安定した売り上げを確保できるメリットがあります。
契約栽培促進のため、平成14年に野菜生産出荷安定法を改正され、出荷団体や生産者が中間事業者や加工業者等と契約取引を行う場合のセーフティネット措置が創設されました。
平成23年度にはセーフティネット支援強化のため、新たに価格×数量の差額を補てんする『契約野菜収入確保モデル事業』が導入されました。さらに平成25年度には、市場価格の高騰時も契約取引を維持しつつ、農家の所得安定が図られるような仕組みを同モデル事業に追加しています。

スマート農業とは?導入事例と今後の課題

スマート農業が日本の農業を変える!

スマート農業とは、ロボット技術やICT(情報通信技術)、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの先端技術を活用し、超省力化や生産物の品質向上を可能にする新しい農業のことを言います。
日本の農業は、農業従事者の高齢化・後継者不足に伴う労働力不足をはじめ、耕作放棄地の増加や食料自給率の低下などさまざまな問題を抱えていますが、スマート農業は日本農業が抱える課題を解決、成長産業化する試みであり、推進が急務とされています。
そんなスマート農業の導入事例や課題、今後の可能性を見ていきましょう。

スマート農業にはどんなものがある?

ポイントは見える化

スマート農業に取り組む高齢男性

農業で必要な生産技術やノウハウを習得するには、長い年月を要するため、農業は未経験者にとってハードルの高いものとなっていました。急速な人手不足が進む農業界において、これは非常に大きな問題です。
しかしスマート農業の登場により、熟練農業者の技術やノウハウ、判断などをデータ化して蓄積・活用することで、匠が長年の経験によって習得した「勘」や「コツ」を新規就農者でも短期間で習得できるようになっています。

ロボット技術の活用

農業機械を高精度で作業するには相当な経験が必要です。トラクターや田植え機などで真っすぐ走るだけでも初心者には難しいのです。さらにはきつくて危険な作業も多く、若者や女性が農業を始める妨げにもなっていました。しかしロボット技術の躍進で、さまざまな作業の自動化による農作業の負担軽減や作業時間の削減が期待されています。
また、ロボット技術は中山間地域等の農業の活性化にも貢献します。例えば、傾斜地でも利用可能な草刈機、ドローンによる生育観察などはがこれにあたります。中山間地域に多い耕作放棄地の改善も期待されます。

自動走行トラクター

自動走行トラクター

誰でも熟練者と同等の精度・速度で作業を行うことができるようになるほか、作業に係る疲労が軽減され、より広い面積での作業が可能となり、超省力・大規模生産の実現が見込まれています。 人手不足が深刻な地域における農業生産の維持にも期待されています。
田植機やコンバインについても、衛星測位等の技術による自動走行システムの開発が進められています。

収穫用ロボット

人の手で行っていた収穫作業を、ロボットが行えるようになってきています。センサーによって、障害物や路面の状態を検知しながら走行し、作物の状態を確認して最適な熟度のものを判別、アームを使って作物を落としたり傷つけたりすることなく収穫できます。

ぶどうを収穫するロボット

農業用ドローン

農薬を散布するドローン

農業用ドローンは、農薬散布をはじめさまざまな用途で活用されています。農薬の散布は重労働であり、無人ヘリコプターを使用すると大変な生産コストがかかってしまうのですが、農業用ドローンの活用で農薬散布の省力化・低コスト化が可能になりました。
また、ドローンで撮影した画像で生育状況のばらつきをマップ化し、ばらつきに応じて寮を調整した追肥を行うサービスも広がりつつあります。

技術革新によって働き方が変容するのは農業も同様です。今後も最新ロボット技術に目が離せません
農業ジョブ厳選!ユニークな求人特集はこちら

情報通信技術(ICT)の活用

土壌の状態や天候、肥料、作物の品種、行った作業などをすべてデータ化し、作物の生育管理に活用することによって品質を高め、収穫量を増やし収益向上につなげます。農業は自然や天候に左右されますが、どのような条件の時にどうすべきなのか、データをもとに適切な対応ができるようになります。
また、データに基づいた生育管理は発育の予測を行えるようになるほか、害虫の発生予測や農業気象災害の警戒・軽減も可能にします。

ICTを活用する農家

農業データ連携基盤 WAGRI(ワグリ)

2019年4月から、データ連携・共有・提供機能を有するデータプラットフォームである農業データ連携基盤WAGRIが本格的に稼働します。 今までばらばらに存在していた行政や研究機関等の公的データや、農業 ICTサービスを相互に連携させることが可能になり、民間企業によるシステム開発等 が促進され、これまでにない質の高いサービスの提供が期待されます。 また、WAGRIの機能を生産だけでなく加工、流通、消費まで強化・拡張することで、 フードチェーン全体でデータの相互活用を可能にするスマートフードチェーンシステムが構築される予定です。

※参考:平成30年度食料・農業・農村白書(令和元年5月28日農林水産省公表)
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スマート農業の導入事例

滋賀県・有限会社フクハラファーム

システム概要

  1. 日々の作業実績や使用資材、スマートフォンの専用アプリで撮影した水稲の生育状況などの写真をデータセンター(注)に蓄積。
    (注:大量のサーバを収容し、インターネット接続サービスや保守・運用サービスを提供する施設。)
  2. 蓄積したデータをもとに作業時間や生産コストの分析を行うとともに、インターネット経由で必要な情報を参照しながら、作業の振り返りや栽培管理の改善に向けた話し合いなどに活用。
  3. ICタグや温度センサー、カメラ、GPSなどを活用して農作業ノウハウを詳細に記録・蓄積して熟練ノウハウの伝承を図る研究開発の実証実験にも参画。

導入の背景・得られた効果

有限会社フクハラファームでは、農業者の高齢化・リタイアに伴い、非農家出身者などの若者を雇用して経営規模の拡大を進めていました。その中で、安定した収量・品質の確保のために、新たな農場管理の仕組を構築することの必要性を感じたことが、ITの利用に踏み出したきっかけになったそうです。

平成20年から民間企業の協力により実証実験に着手し、平成22年度からは九州大学・滋賀県農業技術振興センターなどが実施するITを活用した熟練ノウハウ伝承手法の研究開発に向けた実証実験にも参画しています。

導入者のコメント

  • 「百聞は一見にしかず」で、現場の状況を即座に共有でき、リスク回避や従業員教育に貢献し始めている。
  • 作業実績を詳細に記録することで、作業の実態を具体的データに基づき把握でき、課題の抽出や改善策の検討に役立っている。
  • 新しい取り組みに参加しているということが従業員のモチベーション向上になっている。
  • ICタグなどを活用することで、これまで記録できなかった詳細な農作業情報を記録することが可能となり、農作業ノウハウの蓄積が図れるようになってきた。
農林水産省IT 利活用の事例調査(平成25年度)を基に作成

山形県・仲田牧場

システム概要

  1. ほ乳作業を自動化し子牛を牛舎において群れでの飼育管理をしている。
  2. ほ乳ロボットは子牛の生育期間により3通りのプログラムを設定して、1日の給与乳量、回数、1回の飲乳量、授乳間隔が決められている。
  3. 子牛がドリンクステーションに近づくと子牛の首に付けたICタグにより個体認識を行い各子牛の適量を指導調節する。
  4. 毎日の授乳量や授乳回数、時間等の成長状況を、システムを通して把握することができる

導入の背景・得られた効果

導入前は、カーフハッチという子牛を1頭ごと入れる小型牛車でほ乳を行っており、時間と労力が掛かる作業となっていましたが、ほ乳ロボットの導入で作業時間おや労力を軽減できるようになっただけでなく、子牛の個体管理が適切に出来るようになっています。

導入者のコメント

  • 子牛ほ乳に掛かる労力が減少した。(導入以前との比較では80%減少)
  • ほ乳作業の労力軽減で、他の牛の健康状態など個体管理に時間を回すことができる。
  • 子牛の感染防止、早期発見を図り、抵抗力のある牛を育て、良質で安定した生産を目指したい。
農林水産省IT 利活用の事例調査(平成25年度)を基に作成

スマート農業普及に向けた課題と対策

導入コストがかかる

スマート農業を実現するためには製品・サービスの導入が必要となりますが、多大な費用がかかるため、規模の小さな農家では導入したくても簡単なことではありません。
しかしリースでの導入によってコストを軽減したり、導入費用の一部が補助される制度を利用してすることも可能です。
さらに、農業経営コストの低減に役立つ機械を新たに製造するベンチャー企業などは、農林漁業成長産業化支援機構から出資を受けることもでき、スマート農業技術の低価格化が期待されています。

作業者の育成が必要

どんなに優れた技術が開発されても、実際に現場で活用されなければ意味を成しません。特に農業界は高齢者が多いため、最新技術の導入に消極的なケースも少なくありません。
政府は農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践することを目指し、農業者の事例紹介等を行うスマート農業推進フォーラムや、農業者・民間企業・研究機関が参加するマッチングミーティングの開催など、スマート農業普及のためにさまざまな取り組みを展開しています。

スマート農業の実現で、広がる可能性

農業は、「きつい」「体力が必要」という印象を持っている人が多いです。また、農業には経験や技術、知識が必要であることから、農業を始めることはとてもハードルが高いものだと感じている人も少なくありません。しかし、スマート農業の実現によって体力がない人も高齢者も、経験や技術を問わず活躍できるようになっています。

日本国内では人口減少が進んでいるものの、グローバルな食市場は急速に拡大しています。今後の日本農業は国内だけでなく、世界全体の多様なニーズを視野に入れ、成長産業としての発展も期待されています。その成長に「スマート農業」は欠かせない存在と言えるでしょう。

<特別レポート>国際 次世代農業EXPOで最新の製品をチェック!

2019年10月9日~11日の3日間に渡って幕張メッセで開催された、680社が出展する日本最大の農業・畜産の総合展「第9回農業WEEK」に参加してきました。
その中の「次世代農業EXPO」ゾーンで見つけた、これからの農業界を支えていく最新の製品を皆様にもご紹介します!

今回ご紹介するのは、産業機械などを取り扱う大手専門商社「ユアサ商事株式会社」さんのブースで展示されていた製品です。

まず最初に目についたのは、ホウレン草収穫ロボットです。

把持力を制御したソフトハンドにより、野菜を傷つけずに収穫作業を全自動で行えます。特殊なカメラで監視し、設定した箇所で根を切断することが可能とのこと。収穫した野菜はコンベアで収穫BOXへ収納されます。手作業に頼っていた収穫作業を自動化することで、省力化・低コスト化が実現できます。 また、葉物野菜は早朝に収穫するのがベストらしいのですが、早朝作業は人員の確保が難しいのが課題ですよね。そこをロボットが担ってくれることで、今後はベストなタイミング収穫された、より美味しいホウレン草を食べられる機会が増えるかもしれません! ちなみに、こちらのロボットは水耕栽培での他の葉物野菜への応用も可能とのことです。 生産現場で稼働している貴重な動画もご提供いただいたので、ぜひご覧ください!

次に注目したのは、「農業ハウス用燃料タンクの残量を遠隔で監視」できるサービスです。

『スマート農業』と聞くと、一般的にはドローンや収穫ロボットなどがイメージされやすいのですが、こうしたサービスも欠かせない技術の一つです!担当の方に詳しくご説明頂きました。
「実は農業ハウス用燃料タンクの小口配送は、配送担当者の経験と勘に頼った配送体制が一般的になっています。そんな現状の配送体制の問題点は①予想外の使用量により緊急配送が必要となる場合がある、②最悪燃料切れによる作物被害の可能性がある、さらに昨今の人手不足で③現状の配送体制を維持出来ない可能性が高まっている、という問題も出てきました。
燃料の使用者である農家の皆さまは、実は③の問題点に気付いていないケースが多いと聞きます。配送側は、来年も配送体制を維持できるのか、再来年は恐らく何処かに委託する必要が出てくる…などの恐怖に近い危機感を感じているようです。
このような問題点を解決できるサービスが、遠隔監視による残量監視ではないかと考えています。このサービスは電話線不要・電線不要で、LPWAという携帯電話の電波帯を使った画期的なサービスです。
某JAとの共同開発が複数のメディアにも掲載され、西都市では既に、今季から来季にかけて全タンクに設置予定というように、サービスの信頼性も折り紙付きです!」

※こちらのサービスに関するお問い合わせは、
ユアサ商事株式会社 新事業開発部担当 大島様(TEL:03-6369-1097)
にお願いします。

こうしたさまざまな技術・サービスが結集して農業が、そして、私たちの日々の「食」が成り立っていると実感した展示会でした。
今後もスマート農業の進化から目が離せません!
スマート農業に取り組む農家の求人はこちら

よくある質問

スマート農業とは、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)、ロボティクス、ビッグデータなどの先端技術を活用して農業の生産性や効率性を向上させる取り組みを指します。これにより、労働力の不足を補い、環境負荷を軽減し、高品質な農産物の生産が可能になります。

土壌の湿度、気温、降雨量などをリアルタイムでモニタリングするIoTセンサー、農地の監視や農薬散布に使用されるドローン、生育状況の分析や病害虫の予測、適切な施肥・潅水のタイミングを判断するAIなど様々な最先端技術が用いられています。

高額な機器やシステムの導入コストが必要であり、そのための教育も要求されます。また様々な法律規制も課題であり、現在コストの削減や規制緩和の試みが活発になっています。

農家の平均年収はいくら?高収入の儲かる業種とは

農業を始める人は、やりがいを求めて就農する人が多いかと思います。しかし、やる気だけでは生活は立ち行きません。実際の農家の年収はどれほどなのでしょうか?

年収といっても育てる作物の種類や資格の有無、営農方法などによって大きく異なります。本記事では農業の業種別の年収の現状や就農者の年収の上げ方のノウハウ、新規で農業を始める方へのお役たち情報を掲載します♪

農家の年収の現状

一概に農家とはいえ、業態によって年収も異なります。下記にそれぞれの年収をご紹介するのでぜひチェックしてください。

独立農家・雇用就農者の平均年収

就農には、個人で農業を営む「独立農家」と農業法人で働く「雇用就農者」の2つのパターンが挙げられます。

2022年の農林水産省のデータによれば独立農家の平均年収は415万円です。これは、主に家族経営の小規模農家を含むため、実際の年収には大きな幅があります。規模や作物の種類、経営の形態などによっても大きく変動します。

一方、雇用就農者の平均年収は344万円でした。やはり独立農家と比べると低い水準であることがわかります。

しかし農業に携わり一定の安定した年収が見込めるなかで、独立することを前提として技術を身に付けることができます。また、独立の際に負うリスクや金銭的な負担なしに農業を始めることができる点もメリットに挙げられます!

独立支援可能の農業求人一覧はこちら

雇用就農者は安定した収入を得ながら農業の技術を身に付けることができます。

主業農家・副業的農家の平均年収

主業農家とは、自分が独立して事業主となることです。農林水産省では主業農家を、農業所得が主(農家所得の50%以上が農業所得)で、1年間に60日以上自営農業に従事している65 歳未満の世帯員がいる農家、と定義しています。農林水産省の「農業経営の動向」によると、2018年の主業農家の平均年収は662万円です。

一方副業的農家は、自営農業に 60 日以上従事している 65 歳 未満の世帯員がいない農家(主業農家及び準主業農家以外の農家)と定義されています。副業的農家の平均年収は57万円で、農業以外の平均年収は426万円です。

副業などの農業一覧はこちら

副業的農家として収入を得ている人も多くいます。

新規就農・農業従事者の平均年収

新規就農者全体(就農経過年数1から5年目)の年間の平均年収は 178.4 万円という結果でした。新卒の平均年収は226万円なので、これらと比較しても新規就農者の平均年収はやや低い値であることがわかります。しかし就農から5年目以降からは、農地を拡大したり技術力が上がったりすることで徐々に年収が増加する傾向にあります。

参考:農林水産省「新規就農者の就農実態調査

地域別平均年収

令和4年における農業産出額の上位5都道府県は以下の図のようになりました。土地が広く、規模の大きい農地の多い北海道の農家の年収が長年1位を獲得しています。

令和4年における農業産出額は土地が広く、規模の大きい農家の多い北海道が長年1位を獲得しています。

北海道の農業求人一覧はこちら

作物別平均年収

1時間当たりの農業所得経営の概況
(1戸当たり平均)
年間農業所得
(1戸当たり平均)
経営講義面積・飼養
(販売)頭数
家族の農業労働時間
(合計)
水田作(都道府県)1,173円/時5.4 ha2,538時間298万円/年
水田作(北海道)1,989円/時15.6 ha2,966時間590万円/年
畑作(北海道)2,413円/時30.0 ha3,858時間931万円/年
路地野菜作(全国)893円/時2.9 ha4,008時間358万円/年
施設野菜作(全国)968円/時2.5 ha5,302時間513万円/年
果樹作(全国)902円/時2.3 ha4,073時間367万円/年
酪農(全国)937円/時39頭5,363時間503万円/年
肥育牛(全国)1,630円/時64頭3,256時間531万円/年
養豚(全国)2,072円/時1,325頭4,092時間848万円/年

資料:農林水産省統計部「営農類型別経営統計(個別経営)」

上記のように育てる作物によって年収は大きく変動することがわかります。畑作や養豚は特に時給・年収が高いことが注目ポイントです。

畑作の農業求人一覧はこちら
養豚の農業求人一覧はこちら

農家の平均初任給

全業種(栽培系・畜産系・アグリ関連ビジネス)、全職種(生産現場職や営業職など)、全地域を対象としたデータです。農業界の初任給は年々増加の傾向にあります。 他産業でも同じことが言えますが、ほとんどの農業法人で経験や能力を考慮し、初任給に反映します。そのため、平均初任給に幅がみられます。

平均初任給(月給)
2014年175,158円~ 249,041円
2015年182,420円~ 258,903円
2016年188,549円~ 264,008円
2017年193,413円~ 282,921円
2018年197,128円~ 288,487円
農業求人サイト・農業ジョブ調べ)

農業で年収を上げるには?

営農の方法は無限大であり、やり方によっては年収を上げることも難しくないかもしれません。

年収を上げる農業

高付加価値作物の栽培

高収益が期待できる作物を育てるに注力することが年収を上げることに直結します。今育てている・これから育てる予定の作物を見直してみましょう♪農林水産省の調べによると、キャベツやレタス、トマトなどの野菜の栽培が所得が多く得られるとされています。

有機農業や特別栽培

消費者の健康志向や環境意識の高まりを背景に、有機農業や特別栽培を行うことで、高い販売価格を実現することができるかもしれません。取り扱う作物をブランド化することやさらに質をあげることで価値を高めることもおすすめです。

観光農園の運営

直接的な農業の収入以外で利益を得るという方法があります。観光農園や農業体験施設を運営し、観光収入を得ることができるでしょう。

観光農園で働く農業人特集はこちら

農業体験施設を運営することで収入を増やすことができます。

生産量を増加させる

年収を増やすには、単に商品となる作物を増やすのが手っ取り早いかもしれません。耕地面積を広げたり、年に2回同じ種類の作物を収穫する二期作や、年に2回違う作物を収穫する二毛作を行い田畑を有効活用したりすることで生産量を増やすことができます。

また、先進技術を活用した「スマート農業」を実践することで効率的で生産性の高い営農が実現できるでしょう。

スマート農業に取り組む農業求人一覧はこちら

コストのかからない経営ノウハウ

機材をリース  :使用頻度の低い農業機材を購入ではなくリースで代替する。

栽培方法の最適化:育てる作物や地域に合った栽培方法をとる 栽培方法が最適化。

地産地消    :直売所やイベントを活用し直接消費者に販売することで中間コストを削減。

自然農法の実践 :有機農業や無農薬農業を実践することで、農薬や化学肥料のコストを削減を図る。また、自然農法は消費者からの高い需要も見込める。

このようにコストを削ることで年収を増加させることができるでしょう!

工夫を施しコストを削ることで年収を増加させることができます。

“伝統野菜”を生産している農園特集はこちら

補助金・助成金の活用方法

①就農にまつわる支援金

農業次世代人材投資資金、担い手確保・経営強化支援事業、青年等就農資金など就農にまつわる支援金は多く存在します。それぞれ運営元や対象者、基準が異なるので入念なリサーチをする必要があります。

②指定野菜を導入

「指定野菜」とは、農林水産省によって指定された特定の野菜を指します。特に消費量が多く生産や流通に影響を及ぼす可能性があることから国が安定した供給が必要と認めた野菜のことです。現在(2024年6月)の時点での指定野菜はキャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ピーマン、レタス、たまねぎ、ジャガイモ、ほうれんそうの14品目です。

2026年におよそ50年ぶりに新たにブロッコリーが追加されることであらためて注目されています!

「指定野菜」とは、国が安定した供給が必要と認めた野菜のことです。

指定野菜を育てると対象となる野菜の価格が下落した場合には補給金を得ることができます。ただ、指定野菜価格安定対策事業へ加入しないと補給金の交付対象とならいことに注意しましょう。

農業収入と生活費のバランス

これまで見てきたように、農業は一見するとほかの業界よりも年収が低いという印象を受けるかもしれません。しかし農家は田舎を拠点にしていることが多いことから、生活費があまりかからない傾向にあります。さらに、自ら育てている作物や地域の作物を安く(またはタダで)手に入れることができることからも、食費が都市部よりかさむことはありません。

年収を考えるときには、ただ高収入の獲得に囚われるのではなく”実際に生活していけるか” ”どんなリスクがあるのか”といった観点が大切なのではないでしょうか。

農家は田舎を拠点にしていることが多いことから、生活費があまりかからない傾向にあります。

農業を始めてで高収入をゲットするために

脱サラで農業は稼げる?新しく農業を始めた人の現状

今回は群馬に移住し新規で就農した方にお話を聞きました。ぜひご覧ください♪

雇用就農者が高収入を得るためのステップ

一般的に独立農家の方が雇用就農者よりも年収が高いといわれています。しかし、雇用就農者が年収を伸ばす方法もありますよ!

資格の取得

農業にまつわる資格を取得することで、スキルを身に着けたりキャリアアップしたりすることができます。結果的に年収が上がることにも繋がるかもしれません。

資格の取得で収入を伸ばすことができます。

資格取得支援のある農業求人はこちら

副業や兼業

観光農園や農業体験イベントの開催など、農業以外でも収入を得ることができます。また昨今ではリモートワークも広く普及しているため、農業に関わらない副業で収入を得ている方も増えています。

副業などの農業一覧はこちら

農業を始めるときにつまずくポイント

どんな業種に就くときもそうですが、入念な下調べは欠かせません。特に農業を新たに始める「新規就農」に注目すると、年収や生活費などお金にまつわることだけでなく、”実際に生活できるのか””本当に農業に向いているのか”といった農業生活のリアルな側面を考えることが必要です。農業を始める前にはしっかりとリサーチをしましょう。

まとめ

「農家の年収」と一括りでいっても、その業態や扱う作物により大きく変動します。努力や工夫で年収を増加させることは十分可能です!自分にあったやり方で年収を上げより良い農業ライフを送りましょう。

よくある質問

2022年の農林水産省のデータによれば、独立農家の平均年収は415万円です。一方、雇用就農者の平均年収は344万円でした。

農業法人も他産業の企業と同様に、ボーナスが出ます。もちろん、企業やその年の業績によって異なりますが、年2回、年間に月給4ヵ月程度の賞与が支払われている企業もあります。また、通勤手当や住宅手当、家族手当といった手当を支給している企業も多いです。収入面は就職にあたって大切なポイントではありますが、労働時間や休日など、その法人に就業規則が整備されているのか事前に確認することも大切でしょう。

農林水産省の調べによると、キャベツやレタス、トマトなどの野菜の栽培が所得が多く得られるとされています。

日本の「食料自給率」を解説

意外と知らない!
日本の食料自給率って何が問題なの?

「食料自給率」という言葉は聞いたことがあっても、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。また、日本の食料自給率が他の国に比べて低いということを知っている方は多いと思いますが、どれくらい低いかはご存知でしょうか?
ずばり、日本の食料自給率は38%(2017年度)です。単純に考えると、私たち日本人は食べ物の62%を輸入に頼っていることになります。

しかし、この数字には意外と知られていない食料自給率のカラクリも絡んできます。
今回は日本の食料自給率の定義や推移、世界との比較、問題点やその対策などを易しく解説します!

そもそも「食料自給率」とは?

「食料自給率」とは『国内の食料消費が、国産でどの程度賄えているかを示す指標』です。
簡単に言うと、国内の食べ物全体のうちどのくらい国内で作っているかを示す割合のことです。

食料自給率には総合食料自給率と品目別自給率の2種類がありますが、基本的には食料自給率=総合食料自給率のことを指します。
また、総合食料自給率は熱量で計算する「カロリーベース」と、金額で計算する「生産額ベース」がありますが、日本は2つの基準とも長期的に低下しています。

カロリーベース

食べ物のカロリー=熱量を使って食料自給率を計算する方法です。日本の食料自給率は、基本的にこの「カロリーベース」で計算された数字が採用されています。 国民1人に1日で供給される“国産の食べ物”の熱量を、国民1人に1日で供給される“食べ物全体”の熱量で割り算します。

出典:食料自給率とは:農林水産省

生産額ベース

食べ物の価格を使って食料自給率を計算する方法です。

出典:食料自給率とは:農林水産省

日本の食料自給率-推移-

資料:農林水産省『総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等』より作成

戦後直後の1946年度(昭和21年度)、日本の食料自給率は88%でした。ところがゆるやかに下がり始め、平成に入ると50%を割り込み、2000年代は40%前後でほぼ横ばいに推移しています。
2017年度には38%まで下がっていますが、政府は2025年には45%まで引き上げることを目標に掲げています。

戦前は国内生産が主な米・野菜などを使った食事が中心でしたが、戦後の復興に伴い食生活が欧米風に変化していきました。国内生産が少なく、外国からの輸入頼りの小麦を使ったパン、飼料や原料の多くを輸入に頼る畜産物(肉類)や油脂類の消費が増加したのです。
日本の食料自給率の低下には、こうした“食生活の変化”が大きな影響を与えています。

日本の食料自給率-品目別-

資料:農林水産省『総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等』より作成

主要な食品の品目別食料自給率です。(2017年度概算)
米(主食用)は100%、いも・野菜・きのこ類も高い数値ですが、それ以外は低い数値となっており、総合食料自給率は38%となります。

日本の食料自給率の特徴として、飼料用を含む穀物全体の自給率の低さが挙げられます。これは畜産物(肉・卵・乳製品)に影響を与えます。
上の表で牛肉の自給率は36%ですが、輸入に頼っている外国産飼料で育ったものを除外すると、自給率は10%にまで下がります。豚肉49%、鶏肉64%、鶏卵96%、牛乳・乳製品60%ですが、同様に外国産飼料で育てられたものを除外すると、それぞれ6%、8%、12%、26%と著しく低下します。

畜産物の生産には、その何倍もの飼料穀物を家畜に与える必要があります。例えば、牛肉1㎏の生産にはその10倍にあたる11kgの穀物が必要とも言われています。
戦後、日本で肉の需要が増加したことで急激に穀物需要が増加=穀物の輸入が増えたことも、自給率が低下した大きな一因と言えるでしょう。

日本と世界の食料自給率比較

資料:農林水産省『平成29年度食料自給率について』より作成

ほかの先進国に比べると、日本の食料自給率は最低の水準となっています。食料自給率トップのカナダはなんと200%を超え、続くオーストラリアやアメリカ、フランスも100%を超えています。
それに比べて日本は38%と低い数値になっており、単純に考えると日本国内の食べ物の6割以上を輸入に頼っていることになります。

しかし先述の品目別食料自給率で見たように、日本も米は100%、野菜は79%自給しており、全ての食料が輸入に依存している訳ではありません。
また、自給率100%を超える国でも、全ての品目を国産でまかなえているとは限りません。その国の気候によって生産できる・できないものは数多くあり、日本と同じ様に一部の品目についてはほとんど輸入に頼る、といったケースは珍しくないのです。

また、生産額ベースで食料自給率を考えると日本とほか先進国との差は少なくなります。

ポイント!

「日本の食料自給率は38%」「先進国の中でもダントツの最下位」と単純に考えるのではなく、食料自給率にはさまざまな指標・見方があると覚えておいた方が良いでしょう。

日本と世界では食料自給率の考え方が違う!?

日本で採用されているのは「カロリーベース」の食料自給率であることは先述しましたが、主要先進国をはじめ、国際的に主流となっているのは「生産額ベース」の食料自給率なんです。
この2つの基準の違いを、日本で自給率が高い「野菜」を例に考えてみます。野菜は低カロリーなので、国産の割合が多いにも関わらずカロリーベースの計算では食料自給率の増加にはあまり貢献しません。しかし生産額ベースでは野菜の割合は全体の20%を超えており、食料自給率の増加に大きく貢献します。
実は食料自給率の低下がメディアなどで叫ばれるのと同時に、国内の専門家の間では「なぜ日本だけカロリーベースを採用しているのか?」「他国と同じように生産額ベースの自給率を重視すべきである」という声が上がっているのです。

日本の農業を支える!農業求人はこちら

日本の食料自給率-問題点と対策-

日本の食料自給率が38%という数字は、多くの日本人にインパクトや危機感を与えています。
世界中で見られる異常気象や天候不順、あるいは国際情勢など何らかの理由で外国からの輸入が途絶えてしてしまった時、私たち日本人の食生活は大きな影響を受けてしまいます。
また、爆発的な世界の人口増加により地球規模での食料不足を懸念する声も上がっています。

日本は複数の国・地域と貿易をしているので、食料輸入の一部が途絶えたとしても完全に途絶える可能性は相当低いですし、地球規模での食料不足も今すぐに起こるわけではありません。
だからといって、このまま見過ごすこともできません。
一人一人が問題意識を持ち、政府・企業・消費者それぞれの立場でできることから取り組むことが食料自給率アップの第一歩となります。食料自給率向上にはさまざまな角度からの対策が必要ですが、ここでは私たち消費者にも身近な対策をピックアップしてご紹介します。

対策1.耕作放棄地の利用

日本の人口の多さは世界でも上位ですが、国土面積は約7割を森林が占め、農地として利用できる面積が限られていることから、1人当たり農地面積は3.6a(オーストラリアの約500分の1、アメリカの約40分の1、イギリスの約8分の1)と諸外国より小さくなっています。
元々小さい日本の農地面積ですが、近年は宅地等への転用や耕作放棄地の増加により、農地面積が最大であった昭和36年に比べて約25%減少していると言われています。
限られた農地を最大限に活用するために、まずは耕作放棄地を蘇らせることが大切です。

対策2.農業生産力の向上

農業を仕事にする人は、農村部から都市部への人口流出等によりこの50年間 で約700万人減少(マイナス81%)しました。さらに、農業を仕事にする人の平均年齢は67歳(2017年時点)と高齢化が進んでおり、このままではさらなる減少が見込まれます。
新規就農への支援制度を充実させたり、農業法人への就職を促進させるなど、行政・民間問わず人材確保への取り組みが緊急の課題となっています。

また人材確保と同時に、少ない人員でも生産量を増やせるように従来の農作業を省力化&効率化していく取り組みも必須です。
ロボット技術やICT(情報通信技術)、人工知能(AI)等の先端技術を活用し、省力化や生産物の品質向上を可能にする「スマート農業」が注目されています。

対策3.地産地消

私たちが住んでいる地域には、その土地の気候・地形等の環境に適した食べ物が育ちます。一人一人が地元で採れた食料を食べる「地産地消」の取り組みが、食料自給率を上げることにもつながります。
例えば、東北地方は全国平均に比べて高い食料自給率を誇っています。秋田県は東京の約200倍の食料自給率となっています。

資料:農林水産省『平成28年度(概算値)の都道府県別食料自給率』より作成

もちろん田舎と都市部によって農業生産量は変わってきますので、大都市にお住まいで地産地消が難しい方は、例えば普段食べるパンを、輸入がメインの小麦のパンではなく「国産米粉パン」に変えるなど、まずは「国産」から意識してみてはいかがでしょうか。

対策4.食べ残しを減らす

食べ残しを減らす努力をすることはとても大切です。
日本は食料輸入が増加する一方で、食料廃棄も増えています。約60%の食料を輸入に頼っている一方、スーパーなどの賞味期限切れの商品や、飲食店や家での食べ残しなどを大量に捨てています。
その量、なんと年間1900万トン。供給される食料の25%以上を廃棄していると言われています。
日本国際飢餓対策機構によると、いま飢餓で苦しんでいる人の数は全世界で約10億人。世界の7人に1人、アフリカでは3人に1人が飢餓の状態です。
わたしたち日本人は食料自給率に限らず、『食』に対する考えを改めなければいけないのではないでしょうか。

競走馬とは?生育の過程やロマンあふれるレースの世界を解説!

競走馬とは

概要(業種の基本情報)

競馬の世界で活躍する競走馬を育てる。これが競走馬牧場の仕事です。競走馬牧場には主に繁殖、生まれた子馬の生後から離乳までの世話を行なう「生産牧場」と、競走馬としての訓練を行う「育成牧場」があります。また、これらを一貫して行う総合牧場も存在します。

生産牧場では、競走馬生産の要となる「繁殖」を行います。繁殖牝馬の種付け・出産、そして誕生した仔馬が人とのスキンシップになれ、離乳をするまで育てます。育成牧場では生産牧場で育った若い馬を競走馬として教育・訓練を行います。鞍をつけ人が騎乗できるように教育するブレーキング(騎乗馴致)等の基礎からはじめ、「レースで勝てる馬」としてのトレーニングを行います。

競走馬牧場の仕事

競走馬の年間スケジュール(例)

■生産牧場
1~3月 馬の出産シーズン
4~6月 種付け
6~8月 セリ
9~12月 育成牧場への送り出し

■育成牧場
1~3月 各種トレーニング
4~6月 競走馬登録
6~9月 現役競走馬の休養・調整
9~12月 騎乗馴致

競走馬の1日の仕事の流れ(例)

■生産牧場
04:00~05:00 起床・準備
05:00~07:00 馬の手入れ、放牧、寝藁だし、寝藁敷き、寝藁干し
07:00~08:30 朝食
08:30~12:00 集牧、手入れ、飼い付け、放牧地の清掃、水やり、周辺の草刈り、干した寝藁返し
12:00~13:30 昼食
13:30~17:00 飼い付け、放牧、寝藁だし、集牧、手入れ
17:00~22:00 夜飼い付け、就寝

■育成牧場
04:00~05:00 起床・準備
05:00~11:00 朝の飼いつけ、馬の手入れ、収放牧、馬房清掃、調教など(朝食・休憩)
11:00~13:00 昼食・休憩
13:00~15:30 草地管理、場内整備、調教
15:30~16:30 馬の手入れ、収放牧
16:30~17:00 飼いつけ
17:00~22:00 夜の飼い付け、就寝

(騎乗調教)
04:00~05:00 起床・準備
05:00~07:00 騎乗
07:00~08:00 朝休憩
08:00~12:00 騎乗
12:00~14:00 昼休憩
14:00~17:00 集牧、馬の手入れ
17:00~22:00 就寝

競走馬にはこんな仕事がある

仕事の種類

競走馬の放牧と収牧

放牧・収牧

放牧はその名の通り、競走馬をリラックスさせるために牧場に放つことを指します。一方で、放牧させていた競走馬を厩舎に戻す作業を収牧と言います。放牧には競走馬をリラックスさせるだけでなく、適度な運動量を確保する効果もあります。

競走馬の馴致の過程

馴致(じゅんち)

若い馬に「競走馬であることを自覚させる」ための一連のトレーニングを馴致と言います。人を乗せて走るための騎乗馴致(乗り慣らし)に始まり、ウォーキングマシン等を用いたトレーニングや装蹄などを、人とともに落ち着いてこなせるように慣らしていかなければなりません。競走馬として目標をしっかりと見据え、馴致を通じて人と馬の信頼関係を築き上げることが重要です。

調教

競走馬をレースで活躍できるようにトレーニングを積ませる仕事が「調教」です。実際のレース場に近いコースや坂路(はんろ)と呼ばれる坂道を走らせたり、プール内を泳がせたりします。

また、調教の度合いも、競走馬の体調等を考慮して好きなように走らせる「馬なり」や、騎手がムチを叩くなどして、強制的に走らせる「一杯」などが存在します。

競走馬の仕事のやりがい・働く魅力

生き物の成長を間近で見ることができる

生まれた頃はあどけなさの残る馬も、牧場で働く人々の飼育によって次第にたくましさを帯びるようになります。
毎日の仕事が馬の成長を支え、その成長を間近で見ることで、生き物を育てることの醍醐味を感じることができるでしょう。

ロマンのある仕事

毎日愛情を注いで育て上げた競走馬が晴れ舞台で活躍し、勝利するという感動は、この仕事以外では決して味わうことのできない感動です。競走馬牧場で働く者は皆、その瞬間を夢見て日々の仕事に励みます。

競走馬を育てる【厩務員】の仕事

夢のG1勝利を目指して競走馬を育て上げるのが厩務員の仕事です。
農業ジョブでは厩務員についても解説しています。

まとめ

競走馬とは競馬で活躍する馬のことであり、育成がとても難しいです。
立派に育てた競走馬がレースで活躍するのを見ることはこの仕事以外では味わうことができないでしょう。
競走馬を育てる求人一覧はこちら

競走馬のQ&A

競走馬とは?
競走馬は、競馬などの競技に使用される馬のことを指します。これらの馬は、速さや持久力、スタミナなどが高く評価され、騎手によって駆けられます。競走馬は通常、特定の競技イベントやレースに参加し、優勝を目指します。彼らは競走馬の血統や調教、栄養管理など、様々な方法でトレーニングされ、最高のパフォーマンスを発揮するように育成されます。
どんな人が向いていますか
競走馬牧場では「いかに馬と信頼性を築き上げるか」が重要な条件になります。自分の子どもを育てるように馬に接し、飼育に愛情を込められる人が向いていると言えるでしょう。
どんなキャリアが積めますか?
まずは「厩務員」として、所属する牧場で競走馬の飼育に関する仕事を一通り覚えます。調教のために騎乗まで行う「調教厩務員」という役職もキャリアパスとして挙げられます。
長期休暇はとれますか?
牧場によって様々です。生き物が相手の仕事ですので、全てのスタッフが一斉に休みを取るケースは少ないでしょう。交代制での夏期休暇や冬期休暇を設ける牧場も存在します。
体力面が心配。女性でもできますか?
近年では女性厩務員はもちろん、女性騎乗員も活躍しています。馬と日夜付きっきりとなる職業柄、体力は必要となります。
未経験でも働けますか?
生産牧場では馬に乗る仕事がないため未経験からでも働けます。また、育成牧場でも一から騎乗の指導を行う牧場もありますので、乗馬経験は必須ではありません。

日本の農業人口の現状

若者の就農が増加!日本の農業人口の現状

農業界で大きな問題となっている、農業人口の減少や高齢化、そして後継者不足。農業就業人口全体で見るとその数は大きく減少・高齢化が進んでいますが、「49歳以下の新規就農者」に絞って見ると、実は増加傾向にあることをご存知でしたか?
個人経営体(農家)は減っていますが、法人化して農業を行う経営体が急増しており、“サラリーマン”として農業が出来る働き先が増えたことが、若者の就農が増えた要因の一つと言われています。
また、近年は就農をサポートしてくれる国の施策が多数あり、環境改善に向けてさまざまな取り組みがなされています。このことも、就農者の増加につながっていると考えられるでしょう。

従事者の現状

農業就業人口の減少

資料:農林水産省『農業センサス』『農業構造動態調査』

農業就業者の平均年齢(高齢化)

2000年2010年2017年
農業就業人口3,8912,6061,816
平均年齢61.165.866.7

単位:千人・歳
資料:農林水産省「平成29年 農業労働力に関する統計」

新規就農の実態

農家数・農業就業人口の減少、高齢化は進んでいます。その一方で、新規就農する若者は増えています。新規就農者の中でも、「新規雇用就農者」と「新規参入者」が増加しています。
また、農業の高齢化や後継者不足の問題を解決すべく、政府も『農の雇用事業』(企業の研修経費の一部を助成する制度)をはじめとして、若者の就農促進を支援する取り組みを進めています。

49歳以下の新規就農者の変化

資料:農林水産省『平成29年新規就農者調査』

49歳以下の新規雇用就農者 就農形態別の変化

資料:農林水産省『平成29年新規就農者調査』

新規自営農業就農者とは

自営農業のみに従事、または主に自営農業に従事するようになった人。実家を継いで新たに農業を始める人がこれに該当しますが、小規模な個人経営の農家は離農するケースが増えているため、今後も減少が予想されます。

資料:農林水産省『平成29年新規就農者調査』

新規雇用就農者とは

法人等で従業員として農業に従事している人(年間7ヵ月以上)。農業法人に就職する人がこれに該当します。個人経営の農家が法人化したり、一般の企業が農業参入したりと、農業経営体全体は減少する中、農業法人数は増加しています。それに伴い、雇用就農者の数は増加しており、今後もその需要が見込まれます。

雇用就農に興味のある方はこちら

資料:農林水産省『平成29年新規就農者調査』

新規参入者とは

新規就農者のうち、独自に土地・資金等を調達し、責任者として新たに農業経営を開始した人。新規自営農業就農者のように家業を継ぐのではなく、農業で起業する人がこれに当たります。

農業経営体

農業経営体

農産物の生産を行っている、または委託を受けて農作業を行っている経営体をいい、一定の基準を満たしているものを指します。主に「個人経営体(農家)」と法人化して農業を行っている「法人経営体」があります。
個人経営体の数が大きく減少しているので総数は減っていますが、法人経営体は近年急増しています。

農業経営体の総数

資料:農林水産省「2000年世界農林業センサス」
「平成29年農業構造動態調査」

農産物の生産を行う法人組織経営体の数

資料:農林水産省「2000年世界農林業センサス」
「平成29年農業構造動態調査」

一般法人の農業参入の推移

資料:農林水産省「平成29年一般企業の農業への参入状況」

2009年の農地法改正で、農業参入が全面自由化されました。近年は企業の農業参入が増加傾向にあり、安全性が高く安心な原料を自社で確保したい企業や、観光農園・農村レストランなどを経営する企業が増えています。新規雇用就農者数が増加していますが、このことが背景にあると言えます。

農業算出額ランキング

どこでどんな農産物が盛ん?
農業産出額ランキング[都道府県別]

農産物を購入する際に、産地を確認する人は多いと思います。しかし、その産地を意外に思ったことはありませんか? 「ジャガイモと言えば北海道」というように、容易に産地がイメージできる農産物も多いと思いますが、よく摂取している農産物が意外な場所で生産されていたりもします。農産物の生産量から地域の農業を見ていきましょう。

都道府県別にみる農業産出額ランキング(平成29年)

都道府県産出額(億円)
北海道12,762
鹿児島5.000
茨城4,967
千葉4,700
宮崎3,524
出典:平成29年農業産出額及び生産農業所得(都道府県別)

平成29年農業産出額(都道府県別)の順位は、北海道が1兆2,762億円で第1位。以下、鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県の順となっています。 第1位の北海道は、国内の耕地面積の25%、農業産出額は全国の13%を占めています。

農業産出額とは

農業産出額とは、最終生産物の総産出額のことで、農産物の生産量に価格を乗じて算出されます。
企業でいう「売上高」と同じように考えて良いでしょう。

全国の農業求人はこちら

主な農畜産物の産出額ランキング(平成29年)

日本で最も産出額が多い農畜産物と、その農畜産物の産出額が多い都道府県をランキング形式でご紹介します。

日本の農業産出額上位9品目

資料:農林水産省統計部『平成29年 生産農業所得統計』

品目ごとの産出額上位3都道府県

資料:農林水産省統計部『平成29年 生産農業所得統計』

日本は、地域によって地形や気候など自然環境が大きく違っていますので、多種多様な農産物が生産されています。農産物ごとのデータから、地域の農業の特色、日本の農業の現状も見えてくるでしょう。

養鶏は安定性、将来性No.1!?令和の養鶏ビジネスの実態に迫る!!

目まぐるしい勢いで進化し続ける現代社会。どの職種でも大きな改革が行われています。
様々な業務が最適化されていくなかでは第一次産業もその例外ではありません!

今回はその中でも異質な『養鶏』の最先端に迫っていきます!

養鶏とは

「”鶏”を”養”う」

養鶏とはその漢字の通り「鶏を養う」鶏を食用のために育てる農業形態になります。

鶏を育てるための栄養管理、病気にならないための衛生管理、生産物の出荷はもちろんのこと生産物の加工や販売までを行う形態も年々増加しています。

生産するのは卵?食肉?

養鶏にはその生産物の違いから二つに大別されます。

1.採卵用養鶏(鶏卵を生産、出荷するために鶏を育てる)
2.食肉用養鶏(食肉を生産、出荷するために鶏を育てる)

どちらもやっているというような農家はそこまで多くなく、基本的にはどちらか専業ということが多いです。

農林水産省(令和4年2月1日)よると採卵鶏養鶏の飼育戸数は全国で1,810戸、食肉用養鶏は2,100戸であり、肉用牛飼育戸数4万400戸、豚飼育戸数3,590戸と比べるとその数は大きく下回っています。

ここに養鶏という畜産業の大きな特徴が表れているのです!

育てる数は何万羽!?養鶏は規格外!!

飼育戸数飼育頭(羽)数一戸当たり飼育頭(羽)数
肉用牛40,4002,614,00064.7
3,5908,949,0002,492.8
採卵鶏1,810137,291,000759,000
ブロイラー2,100139,230,000663,000

上の表からと見とれるように養鶏家は何十万もの数の鶏を飼育します。単純な数の観点からみると養鶏はもっとも大規模な畜産業の一つと言えるでしょう。

この数を管理するにあたって実際の現場では多くの作業が自動化されています。
大規模な養鶏場では餌やり、収卵、仕分けまでを機械によって自動化していることが多いです。

小規模な養鶏場でも一部が飼育場の温度管理などを農業用モニタリングシステムを用いて効率化しているところも増えてきています。

養鶏は日本を支える

私たちの食生活を豊かにする養鶏。データを見てみると日本人がどれくらい養鶏と密接かがわかります。

日本人は鶏肉と卵でできている?

「そんな大げさな…」と思うかもしれませんが次のデータをご覧ください。この表現があながち間違っていないことがわかるでしょう。

(参考)厚生労働省平成24年度日本人の食物別たんぱく質摂取量

養鶏生産物である鶏卵と鶏ももの2点が堂々のトップ3となっています。

二つの摂取量の合計値は主食であるお米に並びます。体を作るもととなるのがたんぱく質。私たち日本人の体は卵と鶏肉でできているといっても過言ではないのです!

日本の鶏肉、卵の市場規模

日本の農業全体から見ても、鶏肉と卵の市場は大きな比率を占めています。全体の農産物出荷額に占める鶏肉と卵の割合は、年々増加の一途をたどっており、その動向は農業界全体の重要な指標となっています。

農林水産省の『主要農産物の産出額及び構成比(100位まで)』によると令和4年度の鶏卵の農業産出額は5716億円(第3位)ブロイラーは3940億円(第4位)と高い順位となっています。

養鶏はその生産性の高さから、農家の収入源としても重要な位置を占め、その生産・消費が日本の食文化や食生活に深く関わっていることからその収入も安定しています。

このような背景のもと、養鶏業は今後も日本の農業全体を支える一角として、その地位を保ち続けると考えられます。

令和版!最新の養鶏ビジネス!

養鶏という仕事がどれほど重要かわかっていただけたでしょうか。
ここからは最新の養鶏のお仕事に迫っていきます。

ひよこから出荷まで

養鶏の作業は、大きく分けて以下のステップに分けられます。

ステップ内容
ひよこの選定養鶏はまずひよこから始まります。ひよこは養鶏場に運ばれ、そこで成長するまで飼育されます。
飼育飼育は鶏が健康に成長することが求められます。これには適切な飼料の提供、清潔な環境の維持、適切な温度と湿度の管理が含まれます。
成鶏のケア鶏が成長すると、そのケアはさらに重要になります。これには、鶏の健康管理、疾病の予防と治療、生産性の向上が含まれます。
収穫鶏が成熟すると、それらは収穫のために選ばれます。これは卵を産む鶏または食肉として処理される鶏によります。
出荷最後に、卵または鶏肉は出荷され、市場や店舗に送られます。

養鶏の仕事の流れはこのようなステップで進みます。基本的な工程は昔ながらの養鶏と変わらないですが、令和の養鶏では高度なシステムを導入しているところも存在します。

IoTを活用する養鶏現場

鶏を育成するにあたって最も重要なことの一つが養鶏場の温度管理です。
温度管理を効率化するにあたってIoTを導入する養鶏場が増加してきています。

  • IoT(Internet of Things):「モノのインターネット」を意味し、さまざまな物理的なデバイスや機器がインターネットに接続され、データを共有し、互いに通信することを指します。これにより、リアルタイムの情報収集や遠隔操作が可能となり、ビジネスの効率化や新たなサービスの創出が期待できます。農業分野では、畑や鶏舎の温度や湿度の監視、栄養管理、病気の早期発見など、多くの用途で活用されています。

IoTで変わる畜産のいま 自宅にいながら養鶏場を管理|法人のお客さま|NTT東日本

この記事で紹介されているほかにも餌やり、健康管理などの工程において最新技術を用いて令和の養鶏の現場は効率化を図っています。
大量生産可能な大規模な養鶏場は自動化を進め生産効率を向上する一方、小規模な養鶏はどのような生産形態をとっているのでしょうか?

第6次産業化していく養鶏ビジネス

小規模な養鶏場では生産から出荷まではもちろん販売、加工までを行うこともあります。
いわゆる第6次産業化される現場が増えているのです!

養鶏場の経営と卵料理レストランの経営をセットで行うなど様々な事例が成功しています!
現在、第一次産業の成長や地域経済の活性化などを目的に、農林水産省によって「6次産業化」が推進されています。給付金の支給などの支援も多く、6次産業化の動きが活発化しています。

養鶏農家のスケジュールは?

それでは実際の養鶏農家のスケジュールの一例を見ていきましょう

タイムスケジュール(一日)

時間活動
5:00 – 6:00鶏舎の清掃と健康チェック
6:00 – 7:00餌やりと水供給の確認
7:00 – 8:00卵の収集(採卵用養鶏の場合)
8:00 – 12:00鶏舎のメンテナンス、飼料のストックチェックなど
12:00 – 13:00昼食と休憩
13:00 – 15:00午後の餌やりと水供給の確認
15:00 – 18:00卵の収集(採卵用養鶏の場合)、鶏の健康チェック、鶏舎の清掃

朝は早いですが、夕方には上がることができるのが養鶏の良いところ一つです。
養鶏は他の畜産物である豚や牛とは違い人のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。

年間スケジュール

活動
1月年初めの鶏群の健康チェック、鶏舎の大掃除、リスク管理計画の見直し
2月春の来る準備、新たな放飼エリアの準備
3月春季の新たな鶏の購入、ひよこの調達
4月鶏舎の春季メンテナンス、新たなひよこの世話
5月卵の生産ピーク、出荷作業の増加
6月初夏の鶏群の健康チェック、熱対策の実施
7月夏季の鶏の購入、ひよこの調達
8月鶏舎の夏季メンテナンス、新たなひよこの世話
9月卵の生産ピーク、出荷作業の増加
10月秋の鶏群の健康チェック、寒さ対策の準備
11月冬季の鶏の購入、ひよこの調達
12月鶏舎の冬季メンテナンス、新たなひよこの世話、年末の清算作業

養鶏は前の項目で述べた通り自動化が進められた農業形態のため年間スケジュール通りに働くことができます。年度ごとの計画も立てやすく、反省も生かしやすい畜産業といえるでしょう。

養鶏は高収入で安定する仕事?

畜産業のなかで最も安定するお仕事?

畜産業の中でも養鶏はその安定性から見て特筆すべき点がいくつかあります。

これまでの内容をまとめてみると以下の4点があげられます。

養鶏ビジネスの特徴説明
短い生産周期鶏の成長速度が速く、卵からひよこ、ひよこから成鶏へと短期間で生産が可能。市場の需要に素早く対応できる。
高い生産効率大量生産が可能で、一度に多くの卵や肉を生産できる。安定収入を得ることが可能。
自動化の進展餌やり、収卵、清掃などの作業が自動化されており、労働力を節約し、コストを削減することが可能。
需要の安定鶏肉と卵は日常的な食生活に欠かせない存在で、その需要は安定している。

実際の収入はどれくらい?

農業求人サイト農業ジョブによりますと養鶏場スタッフの給与は月給20~30万ほどであり、農業全体でみればやや高い水準になっています!大型の養鶏場となれば寮や社宅、福利厚生が整っているところが多く安定収入を希望する就農希望者にはおすすめできる業種となっています!

養鶏ならではの良いところがこんなに!!

養鶏は日本の食生活に深く関わり、鶏肉と卵の市場は大きな比率を占めています。

最新の養鶏ビジネスでは生産工程が自動化され、IoTを活用した温度管理の導入など進化を続けています。また生産から出荷、販売、加工までを行う第6次産業化も進んでいます。

養鶏は安定した収入源であることは今後も変わりなく、将来性も期待できる令和のアツいビジネスであるといえるでしょう!!

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