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魅力がいっぱい群馬県

皆さんは農業に興味を持ち、就農地を決めるにあたって何を重要視しますでしょうか?人それぞれですが、『その土地が自分にとって生活がしやすいかどうか』は誰にとっても重要なポイントです。
実は、群馬県は皆さんが知らない魅力の宝庫。
今回は隠された群馬県の魅力を紐解いていきます。

生活環境が充実

都心に出やすく『いろんな意味でちょうどいい』

群馬県は不便そうなイメージありませんか?
いえいえ、そんなことはありません。
日常の買い物に苦労はありませんし、都心が
意外と近いことも魅力の1つです。
実は東京から100km圏内、JRを利用して2時間かからずに都心の主要駅に到着します。
日常はバランスの良い環境で過ごし、年に何回かは本気のショッピングに出かけるのも群馬で生活する楽しみの一つです。

保育所が多くて中学校卒業まで医療費無料

『保育所不足』というニュースをよく聞きます。今は共働きの時代だからこそ子育て環境は整えなければいけません。
その点で群馬県は安心です。
保育所も充実していますし、医療費も中学生まで無料です。入院通院問わず所得制限や自己負担がない全国トップレベルの手厚い制度を実現しています。

自然災害が少なくて安心して暮らせる

群馬県は関東で最も震度4以上の地震発生件数が少なく、災害に強いところも魅力です。首都直下地震が発生しても群馬県のほぼ全域が震度5以下と想定されています。
また年間の日照時間は全国4位と晴れの日が多いことから、台風などの風水害も少ないので安心して暮らせます。

充実した自然環境

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豊富なレジャー環境

全国で人気のスキー場が多数あります。さらに釣り、キャンプ、カヌー、パラセーリングなど、四季を通して自然の中で楽しめるレジャーが充実しています。
仕事の日は農業で汗をかき、休日には思いっきりアウトドアで楽しむ生活は最高です!!

全国温泉ランキング上位常連

草津、水上、伊香保など群馬には各地に温泉が湧き出ています。その自然湧出量は日本一です。
源泉かけ流し温泉も多く存在しています。
泉質も塩化温泉や炭酸水素塩泉など大きく10種類にも分けられます。
「きれいになりたい」「元気になりたい」「ほっこりしたい」など、ご希望や体調に合わせて泉質を選べるのも地元民の特権です。

物価が安い群馬県

物価水準全国上位

物価水準という言葉を耳にしたことがありますか?物価水準とは毎年、総務省が調査し発表している地域ごとの物価の安さの指標です。実は群馬県は毎年上位にランクインしています!!
2019年度 全国1位
2020年度 全国1位
2021年度 全国2位
年々物価の高騰が続いています。永くその土地で生活をすることを考えると『物価水準』で就農地を絞り込むことも大切です。

安くて新鮮な野菜が充実

県内には至る所に道の駅や直売所が立ち並んでいます。実は群馬県は農業大国。
時期になればどこよりも安く新鮮で美味しい野菜が手に入ります。
ミニトマト1パックが99円なんて日も!?

日常的に安く美味しい野菜を食べれば幸福度も自然にアップ⤴⤴

群馬県の魅力を県ぐんま暮らし・外国人活躍推進課の方に聴いてみました!

群馬県地域創生部ぐんま暮らし・外国人活躍推進課
移住促進係 主事 飯島 さん

① ずばり群馬県の魅力ってなんですか?
東京から車でも電車でも1時間程度の距離に関わらず、上毛三山や谷川岳などの山々、尾瀬、利根川などの清流、草津や伊香保をはじめとした全国有数の温泉など、豊かな自然を四季折々身近に感じることができます。
また、県民所得は全国第8位(2018年内閣府調査)であるにも関わらず、物価の安さは全国第2位(2020年総務省調査)という家計に優しい環境、さらには、地震や水害などの自然災害が少ないなど、安心した暮らしができます。
なお、年間を通して多彩な農畜産物が生産され、おいしくて新鮮な野菜やお肉が安く買えるのも大きな魅力の1つです。

② 移住先として群馬県が選ばれるポイントは何ですか?
群馬県は、南部に平坦地が広がり、北部や西部は山地が多くを占める内陸県で、同じ県内でも、山間部での田舎暮らしから、都市部での利便性の高い暮らしまで、それぞれのライフスタイルに適した暮らしを選ぶことができることが大きなポイントです。
また、移住支援も充実しており、東京有楽町のふるさと回帰支援センターに移住相談員を配置しているほか、県内各地には現地で支援を行う移住コーディネーターなど、頼もしいミカタが多数いることもポイントです。

③ 群馬県に関する耳より情報を教えてください
私のオススメは「粉食文化」です。おっきりこみや焼まんじゅうなどは群馬県のソウルフードとして県民に愛されています。群馬に来たら、ぜひ、食べていただきたいですね。
また、私のライフスタイルにも欠かせないのですが、県内各地でウィンタースポーツやラフティング、サップ、ゴルフなど様々なアクティビティが充実しておりますので、そちらも楽しんでいただきたいです。

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群馬の農業の魅力と可能性~就農希望者へのメッセージ~

群馬県は令和2年度の野菜出荷量は全国6位です。なかでも、ほうれん草、夏秋キャベツ、夏秋なすは全国1位です。また、生乳生産量は全国5位、養豚の飼養頭数全国4位、肉牛の飼養頭数全国11位と農業が盛んな県です。
そんな群馬の農業の魅力と可能性について、群馬県農業法人協会松村会長、JAあがつま女性部星野部長、JAバンク群馬運営協議会唐澤議長による対談を企画し、群馬の農業に深く関わる3者にそれぞれの想いを語っていただきました。  
                         司会:農林中央金庫前橋支店 支店長波多信宏

群馬県の農業の魅力

本日は群馬県の農業に熟知されているお三方をお招きし、対談の場を設けさせていただきました。テーマは「群馬の農業の魅力と可能性」です。この記事を読まれる方の中には移住を伴って群馬で就農しようと考えている方もご覧になると思います。忌憚のないご意見をお聞かせください。
波多支店長
松村会長
全国的に群馬県は高原地帯のようなイメージを持っている方が多いと思いますが、実際には群馬県は10m~1,400mの標高差があり、平坦地から高原地まで農地が広がっています。ここ数年、群馬県は夏秋なすの生産量が全国1位になっていますが、私たち平坦地の農家が努力して生産量を増やしてきた結果だと思っています。
唐澤議長
私の地元である吾妻郡は山間部の高原地域で、平坦地の平らな農地に憧れを持っていました。主に山間部では露地野菜が盛んです。真夏になるとキャベツ、レタス、白菜が最盛期を迎えます。群馬県はその標高差を活かしてなすやきゅうりなどはリレー販売ができるため、1年を通して出荷できる環境に恵まれています。群馬県は多種多様な品種を生産できる点で素晴らしい産地だと思います。
星野さんは酪農をやられてますが、女性の視点も交えてご意見をお聞かせください。
波多支店長
星野部長
群馬は全国5位の乳量を誇る畜産県でもあります。特に山間部の北軽井沢や昭和村などは畜産が盛んですね。最近の畜産は実は女性の活躍が目立ってきています。多くの作業において機械化が進み力仕事が少なくなってきていますので、機械を扱えさえすれば女性にとっても働きやすい職場になってきているということだと思います。畜産農家で働くパート女性も増えていますね。女性は動物たちに対して優しく接することが多いので、動物たちも嬉しいのではないでしょうか。
酪農の現場では機械化が進み女性が活躍する機会が増えていると。野菜の現場ではどうでしょうか。
波多支店長
松村会長
野菜においても自動収穫機などがありますが、現状は人手で収穫している農家が多いと思います。当社の近隣でもキャベツの自動収穫機を一部で見かけることが増えてきましたが、加工用のキャベツを機械で収穫していると思います。やはり個人消費向けの野菜はひとつひとつの商品を大事にするので、手切りでの収穫が主流だと思います。
唐澤議長
キャベツ等の植え付け作業は自動定植機が発達していますので機械化が進んできています。あがつま地域では収穫作業で試験的に機械も使っていますが、丘陵地などはどうしても人の手で収穫しないといけないですね。機械化という面で見ると畜産の方が進んでいると言えますね。その分設備投資費用もかかるので資金面での負担もありますが。

農業のやりがい・楽しさ

皆様が感じておられる農業のやりがいや楽しさとは、どういったところでしょうか。
波多支店長
松村会長
農業は「生命産業」と言われることがあります。命を育むことが我々の仕事で、その結果が農畜産物となるわけです。種をまくということは命を最初に地上に落とすとても重要な作業なんだと、よく社員に話しています。動物も、人も、植物も同じ生き物で同じ環境で生きていて、みんな暑い、寒い、腹減った、喉乾いたと感じる。人もその気持ちがわかるのだから、動物や植物の気持ちになって考えれば、農業は難しいことではないです。農業は命と身近に接する仕事だから、何事にもかえられない素晴らしさがあって、そこがやりがいになり生きがいにもなるんだと思います。
唐澤議長
世の中には多くの職業がありますが、やはり農業は種まきから始まり、自然の中で一生懸命育てた農産物が収穫できたときには何ともいえない喜びを感じることができますね。食料安全保障の問題もあり、食料自給率が38%と低い状況のなかで、農家は国にとっても必要不可欠な存在。農家がしっかり生活できる所得を得られるような環境を整えていくことも必要ですね。
星野部長
酪農は種付けから始まり、9か月後に仔牛が産まれ、さらにそこから乳が搾れるようになるまで2年かかります。ですから私たち酪農家が理想とする牛となるまでに3年かかるわけですね。長い時間をかけて牛たちの成長過程を近くで感じられることが、一番の酪農の楽しさややりがいなのかなと思います。

群馬の農業の可能性と課題とは

松村会長
新型コロナウイルスやウクライナ情勢により多くの産業が大変な状況となっています。農業においても肥料や飼料、農業資材の価格高騰といった苦しい状況が続いています。こんな状況の時にこそ、JAには共同購入による力を発揮してもらいたいと思いますし、農林中金には資金面等で支援をお願いしたいと思っています。私たち農業法人協会でも組織の力を併せて何かできることがないか検討しているところです。国のみどりの食料システム戦略では有機農業についての方針が示されています。農業の根幹は有畜農業で、昔は家畜の糞尿を堆肥として肥料にしていました。堆肥があることでお米や野菜が生産できます。みどりの食料システム戦略を進めていくうえでも、私は畜産を守らなければすべての農業が守れないのではないかと考えています。
唐澤議長
かつては群馬県には酪農家は1,000軒以上あったが、後継者がいないところはやめてしまって、今は500軒を下回ってしまった。
星野部長
設備の機械化を進めて、規模拡大している酪農家は働いてくれる人材を求めていると思います。家族経営だけではとても人手が足りないですね。酪農は多額の初期投資費用がかかるため独立就農は難しいと思いますので、酪農に興味ある方はぜひ雇用就農で酪農に携わってみて欲しいと思います。
お話を聞いていて感じたのは、群馬県は野菜生産も畜産も盛んな県であると。改めて群馬県は農業の可能性のある県なのだということを感じました。
波多支店長
星野部長
あがつま地域では独立就農で野菜や山野草で成功している若い新規就農者も増えてきましたね。
成功する人と、そうでない人の違いはどういったところでしょうか。
波多支店長
唐澤議長
やはり本人の努力でしょう。成功する農家は何かしらの努力をしている。やることなすことが野菜のためになっていると感じます。
星野部長
そうですね、成功している方は聞く耳を持っていると思いますし、最初に厳しい農家のもとで修行したと言っていました。
私も群馬県で独立就農した方の話を伺ったことがあるのですが、やはり農業のことだけではなくて、地域の集まりには必ず参加するようにして、地域に受け入れられるような努力もしていると話していたのが印象的でした。
波多支店長
唐澤議長
厳しくても優秀な指導者のもとで一度就農して、農業の基本を身に着けた人が成功していますね。

農業に関心のある方へのメッセージ

松村会長
農業で成功する人は情熱を持っている人だと思います。冒頭でも話しましたが、農業は命を育てる仕事です。人も植物も動物も同じです。人の気持ちがわかる人が、植物のことも動物のことも分かるのだと思います。感性豊かにいろいろな場面で農畜産物と接して欲しいと思いますし、うちの社員でもそういう人材が活躍してくれていますね。これまで百数十人の人材を見てきましたが、共通して言えることだと思います。
星野部長
群馬県は首都圏に近く立地にも恵まれていますし、こども園にも入りやすく子育てしやすいところだと思います。特に山間部の方は空きが多いので、ぜひ群馬県で雇用就農してほしいと思っています。
唐澤議長
農業に興味を持っている方のなかには、将来的に独立を目指している方もいるかと思います。まずは松村会長のような立派な指導者のところで働いてみて、農業の基礎を覚えると良いと思います。群馬県農業協同組合中央会の担い手支援部にご相談いただければ、群馬県内各地のJAを通して信頼できる指導者をご案内することもできます。遠慮なく問い合わせいただければと思います。

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農業を志す学生に向けた安倍晋三氏からのメッセージ

日本の農業は世界的に質も生産力もトップレベルのものがあると思います

元内閣総理大臣 衆議院議員 安倍晋三

東京都出身(本籍山口県)
1993年衆議院議員に初当選。2003年自由民主党幹事長、2005年第3次小泉内閣官房長官を経て2006年戦後生まれ初の内閣総理大臣(第90代)に就任するが2007年第一次安倍内閣総辞職。
2012年自由民主党総裁として衆議院総選挙で圧勝して再度、内閣総理大臣(第96代)となる。2014年衆議院を解散し、総選挙で再び圧勝。第97代内閣総理大臣に就任して第3次安倍内閣を組閣。
2020年健康問題を理由に辞任。在任期間は第一次安倍内閣を含めて3188日と憲政史上最長。

今日は、農業界に入ろうという若い皆さんが集まるということで出席をさせていただきました。

日本の農業の生産性はだんだん上がってきている

農業の総生産額というのは、かつて11.5兆円あったんですが、今9.3兆円まで落ちています。
また、生産農業所得というコストを引いた農業全体の収入所得の面からいっても、これもかつては4.8兆円だったものが3.8兆円に落ちてこれはBADニュース風なんですが、GOODニュースはですね。実は総農業生産額も、一時は11.5が8兆円まで落ちたのが、また今回9.3兆円まで回復をしてきて19年間で最も高い水準になっている。
生産農業所得もですね。実はこれ2兆円台まで下がったんです。
5兆円から2兆円台まで下がったものが、3.8兆円まで回復をして。そしてこれもこの20年間で最も高い水準になって。と同時にですね。農業者の数は、今のが平成2年から比べているんですが、平成2年は400万人だった農業人口も、今、半分の200万人に減っています。
200万人まで減ってしまったということは、残念なことなんですが、今の数字で見てみれば一人当たりの総生産額も生産農業所得も相当増えている。
つまり生産性はだんだん上がってきている。また、一人当たりの収入も増えてきているということでありますからこの傾向、今の方向をしっかりと守っていけば、まさに皆さんあって未来もあると。

日本の農業というのは、意外と世界でも力があるんだなと再認識しました。
農林水産業全般においても、農林水産業のGDPは第8位ですし、農業だけでいけばもっと順位が上がっていくということにもなります。
ですから、この力をですね。もっともっと生かしていかなければいけないと思いますし。
もともと農家の皆さん大変真面目ですから一生懸命汗を流していいものをつくります。質の高いものを作る。でも、それをですね。どこにどう売れば高く売れるか。どうやって販路を広げていくか。
あるいは、どうやって輸出をしていくかということは、考えて余り来なかったのが事実であります。
考えてこなかったということは、そこにもっともっと大きな可能性が広がっているんだなと。
世界的には、その質においても生産力においても、やはりこれは、トップレベルのものがあるんだろうなと思います。

農業の評価は間違いなく上がっていく

農業の社会的評価。これはやっぱり守るという分野であってはですね。評価は上がっていかない。もちろん守る必要はあると思いますよ。
多面的な機能がありますからね。水を涵養し、環境を守り、自然を維持していく。
そして、日本の文化と伝統のまさにこれは基盤でもある。農は国の基(もとい)でもあります。
しかし、同時にですね。そこに行って自分たちの力で未来を切り拓いていくことができる分野となって、初めて魅力を持ってくる。
魅力を持つことによって、社会的な評価は上がっていくんだろうなと思います。

今日もこんなに若い皆さんにたくさん集まっていただいていること。
私も初めてこの説明会。特に農業でですね来て、大変驚いていますが、こうやって皆さんが集まってきてどんどん農業の評価は間違いなく上がっていく。
評価を上げていくためにもやはり労働環境を良くしていく。そして、それぞれの収入が上がっていく。
あるいは果たしている役割をもっと多くの皆さんに知っていただき、新しく環境を維持し、持続可能な社会にしていく上において農業がいかに大切かということも、皆さんにもっともっと広めていただきたいと思います。

若い皆さんの力が新しい発想 皆さんに生かしていただきたいなと思います

今、ライフスタイルも価値観も随分変わりましたよね。
特にこのコロナでですねやっぱり地方で住む価値が見直しをされていると思います。
地方には美しい自然もありますし、豊かな人生を歩む上においては、都会の真ん中あるいは周辺に住むよりもリモートなんかも活用すれば地方がいいねということにもなってくる。
実はこの10年間でですね、東京から地方に移住する移住相談の窓口があるんですが、その移住相談の窓口に来る人の数が10倍に増えました。
もう一つはですね。10年前はですね。移住相談に来る人の半数以上は、これは60代以上だったんですね。

会社もそろそろ退職して年金生活に入ったらですね、生まれ育った地元に帰ろうかなという人だったんですね。今どうなっているか。9割はですね50代以下なんですね。
つまり地方にチャンスがある。あるいは地方に住んだ方が、自分の人生や家族の人生豊かになるんではないのかな。

こういう大きな変化の中においてですね。地方がしっかりとしていくこと。農業を支えていく上においても大きいですから、その価値観が随分変わっていくということはですね。
いわば農業という職業に対する認識も変わってくるのではないのかなと思いますね。今、大きな変わり目ですから大きな変わり目にあるときこそですね。
若い皆さんの力が新しい発想、私の持っていない発想をですね、皆さんに生かしていただきたいなと思います。

間違いなく日本は世界の中でも飛び抜けた農業大国になっていく

コロナで輸出額減ってるんですが、全体の農業の輸出はですね。増やすことができたんですから。
コロナ禍を何とか克服すれば、さらに大きな未来を切り開いていくことができるのかなと思います。
ですから、その中で皆さんが若い新しい発想で自分たちで農業を変えていく。
その意思を持って頑張っていただきたい。
間違いなく、日本は世界の中でも飛び抜けた農業大国になっていく。
しかも、美味しくて安全で質の高い、健康にもいい。
そういう農産物を世界に輸出する国になっていくということを私は期待をしています。
日本よりも面積の全然小さいオランダがですね。これは、まさにハイテクを活用して世界第2位の輸出大国になっているんです。私も現地視察をいたしました。
皆さんの力を大いに期待しています。
また、日本もこれからもまさに世界の真ん中で輝く国になっていく十分にその可能性があります。
それはまさに若い皆さんにかかっていると思います。大いに期待しています。

衆議院議員 石破茂氏からのメッセージ

「農業は若い人たちにチャンス到来の時代!」「農業者は科学者である!」農林水産業の可能性と希望を、石破氏が大いに語る

衆議院議員 石破茂

鳥取県出身 自由民主党所属。
1986年初当選、2000年第2次森内閣で農林水産政務次官に任命されて以降、防衛庁長官、農林水産大臣、防衛大臣、自由民主党政務調査会長、自由民主党幹事長、内閣府特命担当大臣(国家戦略特別区域担当)兼地方創生担当大臣等を歴任。
日本を代表する政治家として現在も活躍。

コストを下げ、付加価値を上げるかを考えたとき、色々な可能性が間違いなく開けてくる

――本日はよろしくお願い致します。早速ですが、農林漁業のうち農業分野についてお話を伺いたいと思います。昨今農業界では様々な取り組みが行われておりますが、今後の農業分野での発展のカギはなんでしょうか。

石破:まず、日本ほど農業に向いた国は世界にはそうそうないということです。土が豊かで、水が豊かで、そして地形が急峻であるから老廃物が流されて連作が可能ですよね。気温が温暖で、日照量も作物の生育に適当である。この条件をすべて備えた国というのは世界 196 ヶ国あれど日本が一番です。

ではなぜ日本農業が衰退してきたか。それは今まで公共事業や企業誘致で地方の雇用と所得が確保されていたので、農業の潜在成長力を発揮して、目一杯稼ごうというマインドがあまりなかったからではないでしょうか。また、兼業農家が圧倒的多数を占め、消費者と生産者が直接的な繋がりを持つことが少なかったゆえに、コストを下げ、付加価値を上げるという挑戦があまりなかったのではないかと思います。

逆に言えば、消費者のニーズを直接吸い上げ、いかにコストを下げ、付加価値を上げるかを考えたとき、色々な可能性が間違いなく開けてくると思います。農業就業者が高齢化し減少しているという今は、逆に大きなチャンスだと思います。

当面、日本の人口は減ります。現在の出生率が上がったとしても、その子たちがさらに子供を作るようになるには 25 年かかります。そこで、日本人は今の二倍食べるようになるでしょうか?ならないですよね。だとしたら世界に向けて日本の高品質な、安全な、見た目も美しい農産物を売っていく。アジアの経済成長、あるいはアフリカの経済成長は、日本の農産品のマーケットがそれだけ広がるということですよね。

外国に出張して、日本のように美味しい作物を食べることはなかなかできません。土が違い、水が違いますから、同じものはできない。アジアの経済成長は日本の農業の発展に非常に大きな可能性を開くものだと考えています。

そういう環境の中で、若い方々が就農する。農業者というのは経営者であり、科学者である。また、自分の労働を自分で管理できるわけですよね。科学者としての能力や、経営者としての能力を十分に発揮しながら、自分で自分のライフスタイルを作っていくことができる。定年や解雇もない。意欲と能力のある若い人たちが、農業を担っていくのに今ほど大きなチャンスが到来したことはないと思います。

「地産他消」をどう考えていくか

――地方と農業というのは切っても切れない関係だと思います。では地方と農業という切り口から、どのように農業が地方に貢献していくのでしょうか。

石破:それは、一つには「地産他消」ということでしょうね。「地産地消」はずっと言われていることですが、当面地方の人口は減る中で、地産地消だけを続ければ経済は縮小しますから、地元で作ったものをいかにしてよそにも売るかが重要になります。

ポイントとして、「ここの地区にしかない果物、ここの地区でしか採れない野菜、ここの地区でしか作られない肉」という一種のブランド化によって「他消」が可能になっていくということでしょう。それぞれの地域を発展させていくためには、それぞれが外から稼がなければ発展もしないし雇用も増えていかないわけですね。

農業における「地産他消」をどう考えていくか。どうしたら売れるのかというマーケティングを経営者としての農家がきちんとやる。その中で、行政はそのサポートに徹していくということが必要だと思います。

企業と農業者のマッチング

――今後の農業経営者に期待することはなんでしょうか。

石破:本当にいいものをつくる匠の技を持つ農業者が、常にいい経営ができるとは限りません。良いものは作れるけど売るのは下手だという方もいるでしょう。そういう方には一番良いものを作ってください、その代わりマーケティングや販売は私がやります、というようなマッチングもあるべきだと思います。

販売という要素は必要不可欠なものです。ブランディング、マーケティングのような経営の基本的なスキルは、ともすると従来の農業者にはあまりなかったのではないでしょうか。そうすると「良いものを作ったのに買わない方が悪い」となってしまう。

また、今から十数年前、ある大企業が農業に参入して、結果的に大失敗した例もありました。それも、農産品の売り方を知らなかったからです。企業が参入する際にも、売り方を知っているという人たちと組むこと が大事でしょうね。

好事例では、愛知県でトヨタ自動車が農業をやってみたら非常にうまくいったという驚きがありました。トヨタの「カイゼン」のような意識は、実は農業者にも必要ですし、これからはITを使った農業という概念も必須になっていきます。こういった感覚は、自動車などのモノづくりでは当たり前の話しで、農業も自動車も基本的に「モノづくり」と言う意味では一緒なのです。ですから、製造業をはじめとする他産業からの知恵を受け入れていくということも大変大事だと思っています。

株式会社の農業経営というのも、農地所有も含めてもっとあるべきだと思います。ローソンファームも好事例だと思います。ローソンが販路を確保し、農地にセンサーを入れて、水や温度の管理をするため、農地を集約しなくてもコストダウンができます。それで美味しいコメなどをコンビニで売ることができます。企業と農業者のマッチングというのは一番大事じゃないかと思うんです。

農業の技術は70歳になっても現役で通用します。これから先、それを普遍化し、機械化、IT化が進めば、高齢者でもできる、初心者でもできるというのが農業の世界だと思います。

農業でも、漁業でも、林業でも、各地の成功事例をもっと多くの方に見て頂きたい

――漁業に関しては、どうすればオープンになり、次世代に引き継がれていくのでしょうか。

石破:ポイントは資源管理、養殖技術、冷凍技術の3つだと思います。農業と漁業は農耕型と狩猟型ですから本来的には違うものです。そこで「略奪型漁業」と一部で言われたように、資源そのものが危うくなってしまったところがあります。その点の管理を行政がやらなければならないと思います。

養殖技術は、近畿大学のマグロが有名ですね。養殖は先ほどの例でいうと「農業に近い漁業」と言えるかもしれません。冷凍技術では島根県・隠岐諸島の海士町における CAS システムを使った岩かきの冷凍が有名です。これは解凍しても同じ鮮度で食べることができますから、高度な冷凍技術によって豊漁不漁の波を抑えることができます。資源管理、養殖、冷凍、この三つによって漁業は全く新しいステージに移行すると思います。

日本の海の面積は世界第6位、体積は世界4位です。この恵まれた環境で資源管理をしっかりと行う、養殖・冷凍技術を高める、そして経営という概念を取り入れる。これはある意味、白いキャンバスに絵をかくようなところがあります。だからこそ、他業種の漁業参入というのが出てきたのだと思います。そういう例はあちこちで増えてくると思いますし、企業型の漁業にもこれから先の可能性はあると思います。

食べ方の問題では、全漁連が提唱している「ファーストフィッシュ」というものがあります。昔と違って魚を丸ごとさばける人はほとんどいません。魚は切り身で売っているとみんな思っているわけです。だけど更にもうひと工夫して、少し温めれば、少し焼けば、出来立ての美味しい魚料理ができますよというところまで加工することによって、もっと魚の領域は増えていくはずです。

漁業の物流についても、氷水では重いですが、新しい冷凍技術を利用すれば重量はかなり軽くなります。離島の漁業を変えていくのはそういう最新の冷蔵・冷凍技術でしょう。これも面白いなと思っています。「いい魚取ってくるぞ」という漁師さんたちが別の業種とのコラボレーションをすることによって、魚が高く売れ、漁師さんの手取りが増えるようになれば良いと思います。

先ほどの海士町では、漁協が主体となって新規参入を募り、企業とコラボするという決断をしました。このような例が伝わっていけば、漁業は変わっていくと思います。

農業でも、漁業でも、林業でも、各地の成功事例をもっと多くの方に見て頂きたいと思います。私も「行ってみて初めて分かった」ということが多いですから。

うちの地元でできないだろうかというマインドを持つか持たないかが岐路

――日本の林業のビジネスとしての今後の発展についてはどの様に見通しておられますか。

石破:林業も農業、漁業と同様です。問題意識をもって成功事例を見に行く、そしてうちの地元でできないだろうかというマインドを持つか持たないかが岐路となるでしょう。

林業の将来の一つは CLT(Cross Laminated Timber=クロス・ラミネーテッド・ティンバー)だと思っています。岡山の真庭市という地域に銘建工業株式会社という日本一の CLT メーカーがあります。板をクロスに重ねて圧着した木材で、強度も高く活用の幅が広いものです。この技術はヨーロッパでは 1980 年代からあるのですが、日本の場合、山は林野庁、建物は国土交通省が担当しているためか、その技術が定着しなかったようです。これではだめだということで、銘建工業の中島社長が行動を起こされました。

ヨーロッパでは、オーストリア、ドイツ、ノルウェーでCLT建築がさかんです。木造の 5 階建ては当たり前で、10 階建ても立つようになって、今度はノルウェーで 16 階建てができました。木で軽いからそんなに深い基礎工事は必要ないし、面構造ですから一部屋一部屋を作って、持って行って、現場で組み立ててればよいので、ゴミが少なく、工期も短い。

今まで日本の林業は、「一本柱数千万円」という商売を中心にしていました。しかしそれだけでは、その他の間伐材などは金にならず、外材にやられちゃうわけです。林業における一人当たりの生産性は、日本はオーストリアの 3 分の1です。機械を入れることによって生産性を上げ、CLT によって需要を増やす、これだけでも日本林業は変わっていくのではないでしょうか。また、CLT を普及させても、外材の CLTを輸入するようでは本末転倒です。これを国産材でできるところまでもう一工夫が必要だと思っています。

宮崎の例ですが、木の直販というのをやっています。農業や漁業と似たような話で、今までどうやって売るか、ユーザーにどうやって届くか、ということには必ずしも関心がなかった。そこを乗り越え、産直で消費地へ運んで、そこの建築業者とコラボして、家を建てるというビジネスは成功しています。

日本の都市部に国産木造を使用した10階建てのビルがたくさん建ったら面白いですよね。可能性は大いにあります。

農業でも、漁業でも、林業でも、各地の成功事例をもっと多くの方に見て頂きたい

――漁業に関しては、どうすればオープンになり、次世代に引き継がれていくのでしょうか。

石破:ポイントは資源管理、養殖技術、冷凍技術の3つだと思います。農業と漁業は農耕型と狩猟型ですから本来的には違うものです。そこで「略奪型漁業」と一部で言われたように、資源そのものが危うくなってしまったところがあります。その点の管理を行政がやらなければならないと思います。

養殖技術は、近畿大学のマグロが有名ですね。養殖は先ほどの例でいうと「農業に近い漁業」と言えるかもしれません。冷凍技術では島根県・隠岐諸島の海士町における CAS システムを使った岩かきの冷凍が有名です。これは解凍しても同じ鮮度で食べることができますから、高度な冷凍技術によって豊漁不漁の波を抑えることができます。資源管理、養殖、冷凍、この三つによって漁業は全く新しいステージに移行すると思います。

日本の海の面積は世界第6位、体積は世界4位です。この恵まれた環境で資源管理をしっかりと行う、養殖・冷凍技術を高める、そして経営という概念を取り入れる。これはある意味、白いキャンバスに絵をかくようなところがあります。だからこそ、他業種の漁業参入というのが出てきたのだと思います。そういう例はあちこちで増えてくると思いますし、企業型の漁業にもこれから先の可能性はあると思います。

食べ方の問題では、全漁連が提唱している「ファーストフィッシュ」というものがあります。昔と違って魚を丸ごとさばける人はほとんどいません。魚は切り身で売っているとみんな思っているわけです。だけど更にもうひと工夫して、少し温めれば、少し焼けば、出来立ての美味しい魚料理ができますよというところまで加工することによって、もっと魚の領域は増えていくはずです。

漁業の物流についても、氷水では重いですが、新しい冷凍技術を利用すれば重量はかなり軽くなります。離島の漁業を変えていくのはそういう最新の冷蔵・冷凍技術でしょう。これも面白いなと思っています。「いい魚取ってくるぞ」という漁師さんたちが別の業種とのコラボレーションをすることによって、魚が高く売れ、漁師さんの手取りが増えるようになれば良いと思います。

先ほどの海士町では、漁協が主体となって新規参入を募り、企業とコラボするという決断をしました。このような例が伝わっていけば、漁業は変わっていくと思います。

農業でも、漁業でも、林業でも、各地の成功事例をもっと多くの方に見ていただきたいと思います。私も「行ってみて初めて分かった」ということが多いですから。

2016年8月24日 石破茂事務所にて

インタビュアー:株式会社 Life Lab 代表取締役 西田裕紀

2006 年に株式会社 Life Lab を設立して以来、農林水産業の人材分野で事業展開。同社の運営する「農業ジョブ」は農業求人情報サイトとして国内最大級まで成長。「未来の農業を創る」という理念のもと、今後もより一層農林水産業界への貢献度を高める。

衆議院議員 平将明氏からのメッセージ

日本の空港が国際食品市場(いちば)になればいい!青果仲卸業出身の政治家が独自の視点で見る農業ビジネスの近未来像とは

衆議院議員 平将明

東京都出身 自由民主党所属。
早稲田大学法学部卒。サラリーマン生活を経て、家業である大田青果市場の仲卸『山邦』に入社。3代目として後を継ぎ、1996年社長就任。2005年、東京都第4選挙区にて初当選し政治家に。経済産業部会長、衆議院決算行政監視委員会理事、経済産業大臣政務官、内閣府副大臣、行政改革推進本部 副本部長などを歴任。

「農地の流動化」と「担い手の多様化」

――本日はよろしくお願いいたします。日本の農業の近年の動きや課題、そして今後向かうべき方向、その辺りについて政治とビジネスの両方の観点を絡めてお話を伺いたいと思います。

平:本質的には「農地の流動化」と「担い手の多様化」ですよね。これらに関しては政治も国家戦略特区などを活用して後押しをしてきました。

次に、いかに儲けるのかという事になれば「大規模化してコストを下げる」と「高付加価値化して儲ける」の二つの手法があるわけですが、いずれにしても国内の人口が減っていく中で農産物の需要を増やさなければいけない。

だから今後は外需の獲得がものすごく大事になってきます。

「海外需要を取り込む」には流通がカギになる

――それは農産物の輸出を伸ばしていくという事なのでしょうか。

平:私は過去に大田市場の青果仲卸を経営していたので、議員の中でも農産物流通には詳しい方だと思います。農産物の外需獲得には2パターンあります。単純に輸出拡大というやり方もあるし、外需を国内経済にビルトイン(※built-in : 内蔵する)するという新しい方法も考えられます。

例えば、日本国内の主要な国際空港と卸売市場の機能を連結させます。そのような特別な役割を果たす市場では世界各国のバイヤーの参入を可能にし、彼らが農産物を買い付けて自国へ持っていけるようなシステムがあれば、なにも各々の産地が輸出に向けて取り組まなくてもよくなります。

今ある既存の流通の仕組みの中に外需をビルトインするだけでも随分と農業界の景色が変わるでしょう。

農産物流通の成功の肝はいかにして廃棄ロスを減らすかということです。産地が直接輸出に取り組む場合はここが問題になります。例えばイチゴ単品を5トン輸出するとしても、生食用の場合、瞬時に売り捌かなければ腐ってロスになってしまい、受け入れる側も困ってしまいます。市場流通をかませることでロスを合理的にコントロールすることが大事になってくるわけです。

外需の取り込みについて

――そういった国際空港直結の卸売市場のようなものが近い将来に実現するんでしょうか。

平:今述べたのは一つのアイデアで、農水省に宿題を出しているところです。外需の取り込みについては様々なやり方の研究をしている段階です。

日本米の輸出も可能性はあるでしょう。今10万円前後の高機能炊飯器が外国人観光客の方々に人気のようです。アジア、アセアンの方々が豊かになってきて日本式の炊飯の文化にも入ってきたわけです。

でもその炊飯器で調理するに相応しい米って、きっと日本のブランド米ですよね。それなのに最高品質の日本米でも、例えば中華人民共和国には輸出する際は燻蒸が義務づけられていて、大変な制約要因になっています。

どんなカタチであれ、いざ農産物を輸出するとなればそれは必ず国家間の通商交渉や検疫の制度などの調整をすることになります。そこはもう民間ではどうにもなりません。どうやったって政治でしか解決できないわけです。

そのためには政府に農産物輸出促進の強力な司令塔を設置し、いつまでにどの国にどの農産物を輸出できるよう目指すかという綿密な工程表を作成する必要があると思います。その準備は進めておきましょうという、今はその段階です。

海外需要がもたらす、農業の秘めた可能性

――将来海外の需要を取り込めた場合、日本の農業はポジティブに変化するのでしょうか。

平:農産物は国内マーケットだけをターゲットにしていると豊作になると値段が落ちてしまうのですが、ストレスなく外需を取り込めれば値段が落ちなくなるどころか、単価が上がり量も売れるようになります。そのためにも世界標準よりも高付加価値なものを作る必要ありますが、農業は一気に儲かるスパイラルに突入する可能性を秘めています。

儲かる農業に人材が集まる仕組みを

――弊社のメインの事業範囲でもあるのですが、農業における人材についてはどのように考えておられますか。

平:単刀直入に述べると、農業の人材獲得の一番のポイントも「本当にその農業は儲かるのかどうか」なのだと思います。儲からないのに無理矢理「跡を継ぎなさい!&補助金あげるから!」という政策はもうナンセンスです。

今は中間流通を抜いてコストをいかに下げ、農家の手取りを増やすかという議論ばかりしていますが、繰り返しになりますが、私は新たな需要(外需)の獲得と高付加価値化だと思います。

そこに今後は自動化の流れが加わってきます。2018年には準天頂衛星システムが稼働してGPSの誤差が数センチになるので、今後は農業分野での機械化や自動化も、さらに発達してくるでしょう。自動走行で種まきや収穫をし、ドローンが農薬を散布するイメージです。

日本の農業が置かれている状況と今後について

――農業を志す方々が今後、アジアのマーケットを意識しながら儲かる農業を模索する時、どのような事に注目していると良いとお考えですか。

平:EUについて考えてみてください。EUではオランダは農業、ノルウェーは漁業、ドイツは工業、イタリアはデザイン、フランスは観光、と言った具合に其々が得意分野でやっている。

日本は今まではトヨタに代表されるように工業製品を輸出してやってきたところがあるからドイツ的だったとも言えるのですが、現在の日本がアジアで置かれている状況はどんなでしょう。

これから日本はEUよりもはるかに大きなアジアのマーケットの中で、EUにおけるオランダにもなれるし、ノルウェーにもなれるし、イタリアにもなれるし、フランスにもなれるポテンシャルを持っています。アジアが発展して経済的に豊かになってきた事でそれができる状況になった。

地方創生担当の内閣府副大臣として政策を担当した立場から言うと、それをやっていきましょうっていうのが今の政府の地方創生の戦略だから、農業だって間違いなくさらに良い方向に進んでいくし、ビジネスチャンスは東京だけじゃなくてきっと地方にあると思います。

チャンスはものすごいいっぱいあるし農業は儲かると思いますよ。

2016年12月9日 平将明事務所にて

インタビュアー:株式会社 Life Lab 代表取締役 西田裕紀

2006 年に株式会社 Life Lab を設立して以来、農林水産業の人材分野で事業展開。同社の運営する「農業ジョブ」は農業求人情報サイトとして国内最大級まで成長。「未来の農業を創る」という理念のもと、今後もより一層農林水産業界への貢献度を高める。

農家に関連した法律

農業においても多くの法律があります。将来を見据えてしっかり法律を確認しましょう!

現代社会において、いかなる場面でも必ず遵守しなければいけない法律。もちろん、農業に携わるうえでも守らなければいけない、知っておかねばならない法律が数多く存在します。独立を目指す農業従事者の方や、将来的に農家を目指す方にとっては気になることの1つではないでしょうか。今回は、農家として知っておくべき法律を紹介します。
農家に関わる法律を知ることで、自分の農業に役立ててください。

農業全般および農家として知っておくべき法律

まず、農業に携わる方が基本的に知っておくべき法律をご紹介いたします。

食料・農業・農村基本法

この法律は、農業における基本法であり、国・自治体問わず農業に係る政策全般の理念を明確にし、施策を計画的に推進していくため、1999年に制定されました。
その理念の内容は多岐にわたり、主に「①食料の安定供給の確保」「②多面的機能(※1)の十分な発揮」、そしてその2つの基盤となる「③農業の持続的な発展」と「④農村の振興」の4点が基本理念となっています。
また、この基本法に基づき、おおむね5年ごとに「食料・農業・農村基本計画」が策定され、食料自給率の目標や農業や農村に対して講ずるべき施策の基本方針などが定められます。 直近では2020年の3月に新しい計画が策定され、SDGsを契機とした持続可能な取り組みの後押し政策の展開や農業のDX化推進、農業の次世代の担い手の育成・確保への施策など、今日の農家が直面しうる課題への農政の方針が取り決められました。
農業に携わっている方、将来、就農を目指す方はぜひ一度目を通してみてください。

※1 農業・農村の有する多面的機能とは、「国土の保全、水源の涵養(かんよう)、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等、農村で農業生産活動が行われることにより生ずる、食料その他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能」のことをいいます。

農業経営基盤強化促進法

農業を始めたいけど、経営基盤や管理方法には不安が伴いますよね。そういった意欲のある農業者に対して、農用地の利用集積や経営管理の合理化など、経営基盤の強化推進の措置を講じるために整備された法律です。その中で特に農家の方の一助となり得るのが「認定農業者制度・認定新規就農者制度」です。この2つの制度は、数年後の計画を明確に持ち、その計画を各市町村に提出した意欲の高い農業者や新規就農者に対して認定を与え、交付金や補助金の受給ができたり、人材事業からのサポートを受けることが出来るようになるなどのメリットがあります。新しく独立される方や、意欲はあるけど経営面でのサポートが必要な方にとってはメリットのある制度となっています。そのほかにも、農地を効率よく貸借できる制度についても定められており、知っておくべき法律の一つですね。

農地と農作物についての法律

次に、管理する農地や農作物に関する法律を紹介します。

農地法

読んで字のごとく、農地に関する法律です。「農地」の具体的な定義を定め、国内の生産性の増大と耕作者の地位の安定を図り、国民全体の食料の安定供給を目的としています。
元々は、耕作者自身が農地を所有することを定め、他業種からの参入や農地の権利の譲渡に際して高いハードルとなる法律でした。しかし、農地を貴重な資源とし、地域との調和促進を図るため、2009年に抜本的改正が行われ、農地の貸借の規制緩和や農地転用の規制が強化されました。これにより、豊かな農地が確保され、要件を満たした一般企業の農業界への参入が容易になりました。農事組合法人や株式会社として農業に参入されたい方や、農地の貸借を考えてる方は特に注目すべき法律ですね。

農業改良助長法

農業に関する有益かつ実用的な知識を普及し、農業に関連する研究を支援することで、農業従事者の経営や農法の発達を促す法律です。農家の支援だけでなく、農業の振興や農村生活の改善も目的としており、都道府県と農林水産省が協同して取り組んでいます。
具体的な取り組みとして、農業に関する研究を行っている研究機関に補助金を交付したり、研究内容に関して助言や共同研究の実施などが行えます。また、各都道府県に農業の普及のための交付金を支給し、農家間での情報共有の場や研修会を開催すること、普及にあたっての指導者として「普及指導員」を置くことを定めています。この普及指導員は、国家試験に合格した職員しか務めることができないので、農作物に関する技術的なアドバイスや、経営への質問先として頼ってみてください。

補償に関する法律

最後に、災害や事故があったときに補償を行うことを定めた法律を紹介します。

農業保険法

農業を営むにあたって心配事の一つが地震や台風などの災害があった時の補償ですよね。その災害時の保険制度を確立し、非常時の農家への影響を緩和することを目的としているのがこの法律です。

農業に関する保険とはいっても通常の保険制度と同じように、業態や品目によってプランや掛金が異なってきます。この法律に基づく補償の制度は「収入保険制度」と「共済制度」の2つがあります。

収入保険制度

2019年1月から運用が開始された制度です。青色申告を行っている農業者(個人・法人)を対象に、自然災害や収量減に伴う収入減少を幅広く補償しています。 農作物の品目に制限がなく、簡易な加工品も対象になるため、多くの農家が補償対象になりえます。加入にあたって、保険料・積立金・付加保険料の支払いが必要ですが、国庫からの補助もあります。 補填の仕組みは、保険期間の収入が基準収入の9割(5年以上の青色申告実績がある場合の補償限度額の上限)を下回った場合に、下回った額の9割を上限として補填されます。様々なリスクをカバーしたい農家向けです。

農業共済

各地域に設立された農業共済組合または市町村が主体となって運営する相互扶助の制度です。すべての農業者の加入が可能となっています。 共済事業は、事業内容ごとに分かれ、対象品目にも制限があるので、事前に確認が必須です。 また、補償内容にも細かい対象事故や補填方法などがあるので注意が必要です。 仕組みとしては、農業者があらかじめ掛金を出し合い、被害が発生した際にはその中から共済金が支払われる方式です。共済掛金の原則50%を国が負担するため、他の共済・保険より掛金が少なく済むというメリットがあります。

この法律に基づく2つの保険制度は加入が必須というわけではありませんが、知っておくこと、活用していくことが大切ですね。

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まとめ

事業主として農業を営んでいくには、法律は切っても切れない問題ですよね。今回紹介したように、農業全般で知っておきたい法律や、作物に関する法律、保険に関する法律など、多くの場面にあらゆる法律が関わってきます。時には、「知らなかった…」では済まない事態に発展してしまうこともあるかもしれません。法律に強い農家を目指すことで、国や地方自治体が設けるシステムを最大限に活用でき、より基盤のしっかりした農業が可能になるのではないでしょうか。ぜひ農業に関する法律に関心を持ってみてください。

HACCP(ハサップ)ってなに?

最近よく見る「HACCP」で何がどう変わるのか?その疑問を解決します!

2021年6月より国内にて完全義務化がされたHACCP。
ニュース等で耳にすることはあっても「どんなものなのかを具体的に分からない」という方もいると思います。それって農業に関係あるの?と思われる方もいるのではないでしょうか?
実はHACCPとは食品の安全性を守るために必要なものであり、国際的にも導入が推進されている大切な取り組みです。アメリカやEU諸国では既に10年以上も前から完全義務化が行われており、その他の国でも輸出品については義務づけている国も多くあります。食品偽装問題や異物混入などを防ぐこの取り組みを守ることで、これからの社会に貢献していけるようしっかりと理解を深めましょう。

そもそもHACCPってなに?

HACCPとは

HACCPとは何なのか?それは私たちの食の安全を守る大切な仕組みのことです!

元々HACCPとは、1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式でした。
Hazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字からとったもので、「危害要因分析重要管理点」という意味があります。日本語に直しても分かりづらいですよね?
分かりやすくすると、食品の危害が我々の食卓に届くまでに残ってしまう要因を分析し、低減・除去するための重要な管理ポイントをまとめたものです。
ちなみに食品の危害とは病原微生物などの生物的な要因、残留農薬・抗生物質など化学的要因、金属片・ガラス片などの物理的な要因が挙げられます。

こうしてみると、とても大切な取り組みであることが一目でご理解いただけるはずです。一見、当たり前のことと感じるかもしれません。しかし、HACCPが知られるようになるまでは、重要管理点という手法に基づいた衛生管理は「当たり前」ではありませんでした。

今までの衛生管理とはどう違うの?

では従来の衛生管理の方法とはどう違うのでしょうか。
実は今までの衛生管理の多くは、製造にかかわる施設・設備や食品への取扱い方法を定めており、最終的に製品が定められた基準を満たしているかを検査により確認するというものでした。
HACCPの最大の特徴は、特に厳重に管理する必要がある工程や危害の低減・除去が難しい工程において、管理基準を設定し連続的に確認することです。また、これらが十分に基準を満たしているかを検証し、必要に応じて改善します。

公益社団法人日本食品衛生協会図より

各工程において管理を徹底し、改善を重ねることで、より安全性が高まります。この手法により、最終チェックだけでは漏れてしまっていた問題点が、細分化していくことによって製造工程の段階で「見える化」されます。

HACCPは今後、食品を加工する工場などだけでなく、飲食店を含む「すべての食品等事業者」に義務付けられます。

チェックシートでマニュアル化し管理することで「誰でも・いつでも」食品の安全を守ること目指すHACCP。ちょっと難しそうでしたが、分かりやすく管理するためのシステムだったんですね!

HACCPと農業ってどう関係があるの?

農業とはどう関係があるの!?

ここまで読んで「食品加工から飲食店での提供までHACCPが関係しているのは分かったけど、それが農業にどう影響してくるの??」と思われたのではないでしょうか?
それはとても鋭い指摘です。実際に食品を生産する農家さんにはどのような影響があるのかを説明していきます。

ズバリ言ってしまうと、「農業は基本的に対象外。だけど関係がある場合もあるので注意しましょう!」です。

厚生労働省のホームページによると「農業及び水産業における食品の採取業はHACCPに沿った衛生管理の制度化の対象外」とされています。
一般的な農業である採取業の範囲内ではHACCPに沿った衛生管理や新たな営業許可・届出は不要であるということです!

しかし事業内容によっては採取業の範囲外とされ、HACCPに沿った衛生管理や営業許可・届出が必要となる場合があります。

業種(業態)又は品目採取業の範囲備考
野菜等の簡易な加工(4分割・8分割等した後ラップ等で包装)
消費の利便性のために行う調理や切断(茹で野菜、カット野菜、千切り等)×
収穫後の農林産物の保管(冷凍冷蔵を含む)及び集出荷施設までの輸送
農業者自ら生産したものを食品加工業者に直接販売農業者の行為は出荷に当たる
農業者自ら生産したものを流通業者を通じた委託販売農業者の行為は出荷に当たる
農業者自ら生産したものを未加工で直売(庭先、直売所(有人・無人)、通信販売など)農業者の行為は出荷に当たる
観光農園(収穫体験の提供)ブドウ狩り等
収穫した農林産物の輸送(集出荷施設〜卸売〜小売の輸送)(集出荷施設〜卸売)○
(卸売〜小売の輸送)×
卸売市場以降は営業(青果物の販売業)とみなす。ただし、輸送業は届出は不要。
厚生労働省 農業及び水産業における食品の採取業の範囲について

例えば野菜の簡単な加工(4分割・8分割した後にラップ等包装)については採取業の範囲内とされますが、消費の利便性のために行う調理や切断(茹で野菜、カット野菜、千切り等)については採取業の範囲外としてHACCPに沿った衛生管理や営業許可・届出の対象となります。

これはちょっと複雑ですね。このように販売方法によっても対象となる場合があるので注意が必要です!

農場HACCPってなに?

近年注目を集めている「6次産業化」というものがあります。1次・2次・3次それぞれの産業を融合することにより、新しい産業を形成しようとする取り組みのことです。
農家さんが生産物を加工したり、直営のレストランを経営したりするケースが増えてきており、そういった場合にはHACCPに沿った衛生管理が不可欠となってきます

この度の完全義務化の対象外とはなっていますが「農場HACCP」というものがあります。

※このロゴの権利は公益社団法人 中央畜産会に帰属しますので、
画像の無断転載は禁止させていただきます。

農林水産省では2008年8月に『畜産農場における飼養衛生管理向上の取組認証基準(農場HACCP認証基準)』を公表しており、畜産の衛生管理にHACCPの考え方を取り入れています。

この認定を受けた農場では、定められた衛生基準を遵守していることをアピールすることができるため、積極的に取り入れている農場も多く存在します。
こちらから農場HACCPを取得した、または目指している求人をご確認いただけます。ぜひご参照ください。

こうした農場からの生産品は安心して買い物かごに入れることができるのではないでしょうか。
このように農業とHACCPは実は密接な関係にあるということがお分かりいただけたかと思います。

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HACCPで何が変わるの?どんなメリットがあるの?

HACCPを導入することのメリットってあるの?

我々消費者にとってはHACCPによって食の安全が守られるのは大変喜ばしいことです。しかしHACCPによる恩恵を受けるのは消費者だけではありません!

以下のグラフはHACCPを導入した企業によるアンケート結果です。

導入側としても「社員の衛生管理に対する意識が向上した」「社外に対して自社の衛生管理について根拠を持ってアピールできるようになった」「製品に不具合が生じた場合の対応が迅速に行えるようになった」などさまざまなメリットがあったことが分かります。

管理がしやすく「見える化」することによってそれぞれの意識が強くなったこともさることながら、「生産効率が上がった」「ロス率が下がった」など直接利益にも貢献しているのが面白い結果です。生産者も消費者もWin-Winということですね!

またHACCPは国際的な基準であるため、今後は安全性を求める諸外国からも高く評価されることになり、販路が増える可能性もあります。
これから先の未来を考える上でもこの取り組みによるメリットは決して少なくないのではないでしょうか。

メリットだらけ?そんなこともない!

「じゃあHACCPっていいこと尽くめじゃないか!」
当然そんなこともありません。メリットがあればデメリットも当然あるものです。

厚生労働省のアンケート結果で、HACCPを導入したことによって企業からは「チェック項目が多く書類作成に時間がかかる」「すべてのリスクを削減できるわけではない」などという声も上がっています。こうしたデメリットを少しずつ改善しながらよりよい制度へとなっていくためにはまず私たちが制度をよく知り、必要な時には声を上げることも必要なのかもしれません。

人気の野菜!生産量・購入量ランキング

人気の野菜を
いろいろなデータで検証します!

肉や油脂類の消費が増加している一方で、野菜の消費は減少しています。
しかし、野菜は他の品目と比較して豊富な栄養素が含まれ、ビタミン・ミネラル・食物繊維等の重要な供給源です。
そんな私たちの生活に欠かせない野菜。今回はどの野菜が人気なのか、好きな野菜のアンケート調査、野菜の収穫量や家庭での購入数量ランキングなど、さまざまな視点から検証してみます!

アンケート調査!好きな野菜ランキング

「野菜は好きですか?」という質問に対するアンケートは次の結果になりました。(有効回答数4,853)

・大好き! 25%
・好き 41%
・どちらかというと好き 12%
・ふつう 17%
・どちらかというと嫌い 3%
・嫌い 1%
・大嫌い! 0%

総計で見ると、「大好き!」「好き」「どちらかというと好き」の【好き派】が78%に対し、「大嫌い!」「嫌い」「どちらかというと嫌い」の【嫌い派】は4%と、【好き派】が約8割なのに対して【嫌い派】はわずかひと桁という結果になりました。

出典:@niftyニュース

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「好きな野菜は何ですか?」という質問に対するアンケートは次の結果になりました。(複数回答可、有効回答数4,853)

男性

1位キャベツ71%
2位たまねぎ67%
3位じゃがいも61%
4位大根61%
5位トマト60%
6位きゅうり57%
7位ネギ56%
8位ほうれん草55%
9位レタス54%
10位ナス51%

女性

1位トマト66%
2位キャベツ63%
3位たまねぎ61%
4位大根61%
5位じゃがいも60%
6位アスパラガス60%
7位ブロッコリー59%
8位ナス57%
9位きゅうり54%
10位ほうれん草53%

男女総計の1位は「キャベツ」で69%、2位は「玉ねぎ」で65%、3位は「トマト」で62%、以下「じゃがいも」と「大根」が同率で60%でした。
また、すべての選択肢が40%を超えており、皆さん色々な野菜が好きなことがうかがえます。
男女で差が出ている野菜を見てみると、「アスパラガス」「ブロッコリー」は女性の方が男性より15%以上高く、 順位でも女性は10位以内ですが男性は11位以下となっています。逆に男性で7位と人気の「ねぎ」は女性では13位だったのも特徴的です。

出典:@niftyニュース

意外と知らない!
野菜の収穫量ランキング

ご存知の通り野菜には数多くの種類があり、生産量等がデータで把握されている野菜に絞っても約100品目あります。今回は指定野菜(全国的に流通し、特に消費量が多く重要な野菜)を中心にランキングを見ていきます。 ちなみに、指定野菜に定められている主要な14品目だけで、野菜全体の出荷量の7割近くを占めています。

収穫量の品目別ランキング

1位じゃがいも239万5,000t
2位キャベツ142万8,000t
3位大根132万5,000t
4位たまねぎ122万8,000t
5位白菜88万900t
6位トマト73万7,200t
7位にんじん59万6,500t
8位レタス58万3,200t
9位きゅうり55万9,500t
10位ネギ45万8,800t

以下11位もやし、12位なす、13位ほうれん草、14位かぼちゃ、15位里芋、16位ピーマン、17位ブロッコリー、18位ごぼう、19位レンコン、20位さや豆

資料:農林水産省『2017年作況調査(野菜)長期累年』

上位5品目の推移

資料:農林水産省『2017年作況調査(野菜)長期累年』

日本の食生活の変化に伴い野菜全体の消費量が減っているので、上位5品目の収穫量(生産量)も軒並み減少しています。
しかしその減少率には差があり、「じゃがいも」が大きく減少しているのに対し、「キャベツ」と「たまねぎ」はほぼ横ばいで推移しています。

お宅の冷蔵庫にもある?
野菜の購入数量ランキング

次に、家庭(2人以上の世帯)での生鮮野菜の品目別購入数量を見ていきます。
ここでも指定野菜を中心にランキングを見ていきます。

1位キャベツ17.9kg
2位たまねぎ16.2kg
3位大根13.4kg
4位トマト12.1kg
5位じゃがいも9.6kg
6位にんじん8.4kg
7位白菜8.2kg
8位きゅうり7.8kg
9位もやし6.6kg
10位レタス6.4kg

以下11位ネギ、12位ブロッコリー、13位なす、14位かぼちゃ、15位ほうれん草、16位ピーマン、17位さや豆、18位里芋、19位ごぼう、20位レンコン

資料:総務省『2017年家計調査 <品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,
購入数量及び平均価格 食料「野菜・海藻(生鮮野菜)」』

上位5品目の推移

資料:総務省『2017年家計調査 <品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額,
購入数量及び平均価格 食料「野菜・海藻(生鮮野菜)」』

重量野菜と呼ばれる「大根」が大きく減少する一方で、「キャベツ」「たまねぎ」「トマト」は増加または横ばいで推移しています。

苦手な野菜ランキング

人気の野菜を調べていると、その逆も知りたくなりませんか?
そこで、苦手な野菜ランキングのアンケート結果も公開します!(複数回答可、有効回答数4,853)
同率1位 パクチー・ゴーヤ
3位 セロリ
4位 ミョウガ
5位 春菊
独特の風味が強いパクチーとゴーヤが同率で1位でした。
しかし、「特になし」と答えた人も39%おり、皆さん好き嫌いは少ないようです。

出典:@niftyニュース

総合ランキング

好きな野菜ランキング、収穫量ランキング、家庭での購入数量ランキング、どれを見ても上位の顔ぶれは同じでした。 この3つのランキングを集計した、総合ランキングTOP5を発表します!

1位キャベツ
2位たまねぎ
3位大根
同率4位トマト・じゃがいも

キャベツが総合1位でした!どのランキングでも1位or2位なので、安定した人気と言えるでしょう。
少し脇役なイメージのキャベツですが、どんな食材にも合うので使いやすいですよね。
また総合4位のじゃがいもは、収穫量は1位ですが家庭での購入数量は5位という結果になりました。じゃがいもは家庭での調理用より、加工・業務用としてのニーズが高いと推測されます。
余談にはなりますが、好きなサラダランキングの1位は『ポテトサラダ』というデータがあります。そう言われてみると、じゃがいもは生鮮野菜として購入するのではなく、お惣菜のポテトサラダとして購入する人の方が多い気がしますよね。

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世界農業遺産(GIAHS)とは?

世界農業遺産とは?
日本の伝統農業が新たなビジネスに

「世界農業遺産」という言葉をご存じでしょうか?

農業は人類の長い歴史の中で文化の形成や環境維持など、さまざまなものに影響を与えてきました。しかし、近年はロボット技術やICTといった新しい技術を駆使した農業も登場し、従来の農業を継承していくことが困難になってきています。 そうした中で、世界農業遺産は現在まで継承されてきた農村文化や田園風景といった伝統的な農業を未来に継承し、農村地域の復興・活性化につなげようとする取り組みを行っています。

世界遺産との違いは?」「認定の基準は厳しい?」「認定されたらどんなメリットがあるの?

当サイトではこのような質問にお答えします。

世界農業遺産とは?

世界農業遺産とは世界的に重要な伝統的農業(農林水産業)を営む地域をFAO(国際連合食糧農業機関)が認定する制度であり、「世界重要農業資産システム」とも訳されます。また世界農業遺産はGIAHS(Globally Important Agricultural Heritage Systems)ともよばれています。 世界農業遺産の認定により、農業や地域環境とともに育まれた文化や技術、景観、生物多様性などの「農林水産業システム」をトータル的に保全し、継承していくことを目指しています。

世界農業遺産の認定基準は厳しい?

①食料と生計の保障
農林水産業が地域の人々の所得や経済に貢献しているか

②農業生物多様性
農林水産業システムが生物多様性に貢献しているか

③地域の伝統的な知識システム
伝統的な技術がシステムに含まれているか

④文化、価値観と社会組織
農林水産業システムが生み出す文化的な面が含まれるか

⑤優れた景観と土地・水資源管理の特徴
優れた景観や土地・水資源の管理ができているか

世界農業遺産が創設された背景には、近代農業によって世界各地の環境問題や生物多様性、地域固有の文化・景観等が失われつつあるということがあります。 上記の5つの項目をはじめとした、農林水産業システムの維持・継承への取り組みがなされていることが求められます。

世界遺産との違い

世界遺産は有形の不動産が対象であり、厳正な保護が目的です。しかし世界農業遺産は農林水産業を営む地域が対象であり、保全はもちろん、持続的に活用することが目的です。世界遺産はユネスコ総会で採択されますが、世界農業遺産はFAOが認定します。また、日本での所轄官庁において世界農業遺産は農林水産省、世界遺産は文化庁となっています。 つまり世界遺産は現状を変えませんが、世界農業遺産は地域環境に適応し新たな技術を取り入れることが可能です。近代的な部分を取り入れ進化を続けながら、伝統的技術を残していけるのです。

世界農業遺産に認定されている日本の地域

世界で26ヶ国86地域、日本では15地域が認定されています(2023年11月10日時点)。

日本の認定地域一覧

資料:農林水産省「世界農業遺産とは」

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日本で初めて認定されたのは?

2011年、「新潟県・トキと共生する佐渡の里山」と、「石川県・能登の里山里海」の2地域が日本で最初に認定されました。

世界農業遺産に認定されるメリット・デメリット

メリット

地域の農林水産業が世界的に認められることによって、地域の活性化や農業システム維持が推進されることにつながるでしょう。 また世界的に知名度が高まるため、農産物ブランドとしての付加価値が高まるなど、観光や農業の復興の面でも効果が期待できます。

デメリット

とりたててデメリットとして挙げられるものはありません。しかし世界農業遺産に認定されることにより維持・継承していくための補助金などがもらえるわけではない点には注意しましょう。

日本農業遺産と何が違う?

日本農業遺産とは?

「日本農業遺産」は世界的・国内的に重要な農林水産業システムを農林水産大臣が認定する制度です。社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を対象としています。 2017年3月に初めて選定が行われ、2023年1月時点で24地域が認定されています。

資料:農林水産省「世界農業遺産とは」

世界農業遺産との違い

世界農業遺産は伝統的な農業システムの保全に取り組んでいれば認定されます。一方で、日本農業遺産はすでに地域ぐるみで6次産業化の促進など、積極的に行われていることが基準となります また、世界農業遺産は、世界的に重要な農林水産業システムが認定されますが、日本農業遺産は世界的、そして国内的にも重要な農林水産業システムを農林水産大臣が認定します。

世界農業遺産の活用例

紹介地域① 能登の里山里海(石川県)

2011年に佐渡市とともに日本で最初に認定された石川県能登地域では認定後、奥能登の4農協が同一の基準を設けた特別栽培米、能登棚田米づくりに乗り出しました。ブランド化を図った結果、生産者の数、作付面積、出荷量ともに飛躍的に伸び、2013年に124トンだった能登棚田米の出荷量は、2016年には270トンにまで拡大しました。 また、奥能登で人気の農家民宿群「春蘭の里」に訪れる観光客も、国内・国外双方から増加しています。

紹介地域② クヌギ林とため池がつなぐ(大分県)

国東半島・宇佐地域では、世界農業遺産の認定をきっかけに乾しシイタケや米についてブランド認証制度を創設しました。認定された農業システムが持続的に保全・発展していくよう商品を地域ブランドとして発信する取り組みとなっています。 また、地域の人たちが中心になって世界農業遺産を巡るウォーキングコースの開発したり、県内金融機関と共同で60億円規模のファンドを造成し、その資金で次世代に継承するための教育を行ったりしています。

申請方法

①提案
候補地域は国や地域の政府、NGO、地元のコミュニティなどから提案されます。

②評価
FAOの専門家チームが提案を評価し、その地域の農業の歴史、文化的・環境的価値、持続可能性などを考慮して、世界農業遺産にふさわしいかどうかを判断します。

③認定
評価の結果、世界農業遺産として認定される場合、FAOによって正式に承認されます。

④保護と管理
認定後、その地域は適切な保護と管理が行われるようになります。地元のコミュニティや関係者が参加し、持続可能な農業と文化遺産の保護に取り組みます。

よくある質問

世界農業遺産の認定結果はどのくらいの期間で出る?
通常、申請から認定までの期間は数年を要することがあります。プロセスは詳細な審査と評価が伴うため、地域や申請内容によって異なります。
世界農業遺産に認定後の維持管理はどのように行われる?
認定後は地域が自主的に維持管理計画を立て、FAOのガイドラインに沿って実施されます。このガイドラインには環境の保全、伝統的な農業技術の維持、地域コミュニティの支援が含まれます。
地域コミュニティの反対がある場合、どのように対処する?
地域コミュニティの意見は世界農業遺産へ申請する上で重視される点であり、すべての関係者が合意する協議を重ねる必要があります。このような場合、FAOから対話と調整を促進するための支援を受けることができます。

まとめ

上記のように世界農業遺産に認定された地域では、農業遺産の保全や継承はもちろん、農産物のブランド化や知名度の向上、観光誘致、農業遺産を活用したビジネスなど、地域活性化における一定の成果を挙げています。

世界農業遺産の知名度はまだまだ低く、即時的な効果は認められないかもしれません。しかし、世界や国内で重要性が認められることで、地域に住む人が地域資源の大切さを再認識し、地域の活性化や遺産の持続性、次世代への継承に漸次的につながっていくはずです。このような試みは地域の自信や誇りの回復となるでしょう。